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努力は恋を裏切らない  作者: 杷木 うきは
第一部 高校1年生編

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5話 拒絶の予感



久しぶりに教室に入ると、いつもよりガヤガヤとした雰囲気だった


ゴールデンウィークで息抜きをした人や、入学してから初めてのテスト週間が始まるドキドキ、まだぎこちない距離感の友人との再会...様々な要因が入り混じっているのだろう


かく言うくるみも久しぶりの大江に何と声をかけようか朝からそわそわしていた


「おはよう!くるみ」

先に声をかけて来たのは友人の柚香(ゆずか)だった

「おはよう♡柚香」

「くるみは休み満喫した?私はね〜...」

柚香の話はホームルームの時間まで続いたため、大江に話しかけられないまま仕方なく席につく



結局、朝の時間に得られた情報は柚香がライブハウスでバイトを始めたことと、そのバイト先にバ畜と噂の相良が居たことだけ

相良はターゲット決めの際に候補に入っていたが、今となってはどうでも良かった


(それだけ今のターゲット、大江くんに本気...いや、好きって訳じゃないけど、難易度が高くて楽しいのよね〜)



ーーーーーーーーーーーーーーー



その後、授業の合間や移動教室、お昼ご飯の時間などチャンスは沢山あったが未だ話しかけれていない


休み前に変に仲良くし過ぎたので、どういうテンションで行けばいいか無駄に悩んでしまっている



ようやく決心がついたのは帰りのHRが終わった頃だった


大江は部活に入っていないらしく、いつもHRが終わるとすぐに帰宅する


テスト前でくるみも部活が無いため、すぐさま大江を追いかけて教室を出た



ーーーーーーーーーーーーーーー



「大江くん!」

校門を出て人通りが少ない場所まで来たので呼びかける

大江は立ち止まって振り返った


「あれ?國塚(くにづか)さん。どうしたの?」

ノートの貸し忘れがあったと勘違いしたのか鞄を漁り始めた


「あ!ノートの事じゃなくてね!連絡先聞いてなかったなぁ〜って思って...」

そこまで言ったら伝わるだろうと思っていたが、返って来たのは想定外の答えだった



「あ〜...ごめん。携帯持って無いです。」



「..........は?」



「それじゃあ、また明日。」

颯爽と帰っていく後ろ姿を見ながら、くるみは呆然と立ち尽くした



ーーーーーーーーーーーーーーー



(断るにしたってもっと良い言い訳考えろよ!!!)

「.....でさ.....なんだよねー」

(今時高校生にもなって携帯持ってないって何?!)

「........くるみ?聞いてる?」


イライラし過ぎて柚香の話を聞き流していたことがバレたらしい


「ごめ〜ん♡考え事してた!」

なら仕方ない、と怒らず話し直してくれるところが柚香の良いところだ



しかし、あからさまに嘘だと分かる理由で断られたと言うことは、遠回しに拒絶されていると受け取れる


(私だから断られたのか、勉強の妨げになるから〜とかの理由で全員断っているのか確認しなきゃね)



「ね〜柚香?大江くんの連絡先聞いてきてくれない?」

「え?!くるみの方が仲良いでしょ?!」

流石に急なお願い過ぎて驚かれた


(うーん...頼む理由考えてなかったな...)

連絡先を聞いて断られたと正直に言うのも癪なので悩ましい


「まぁ良いけど...くるみの名前は出さないでってこと?」

話が早すぎて助かる

こういう理解力が高くて踏み込んでこないところも柚香の良いところに追加しておこう


「ありがと♡柚香大好き!!」

はいはい、と言いつつすぐに聞きに行ってくれた



どうなることやら、と眺めていたが、2、3回やり取りしてすぐに帰って来た



「携帯持ってないらしいよ」

「やっぱりそうなんだ...」

「ん?今時珍しいよね〜」

くるみだから断られた訳じゃない説が濃厚なのは嬉しいが、携帯を本当に持っていない説が浮上して項垂れる



(どうやって距離詰めたり告白させたらいいのよ...)

いつもの必勝パターンを封じられてしまい、難攻不落どころの話じゃなくなってきた


ーーーーーーーーーーーーーーー


家に帰りながら、どうしたものかと悩んでいるが答えは見つからないままだった

(ターゲット変えようかな...)


丁度最近、柚香からターゲット候補だった相良の情報も得たし、バンドが好きって体で近付くのもアリかもな、と考えていたら聞き覚えのある声に呼び止められた


「國塚さん。ちょっといい?」

ビックリし過ぎて体が少し浮いた


昨日くるみがした事と同じではあるが、完全に気を抜いてる下校中に声をかけられるのは衝撃的だなと反省した



「大江くん...なぁに?」

「昨日、連絡先聞いてくれた件なんですけど...」

なんだなんだ、と脳内がざわつく


「今日、小松さんからライン教えてと言われて、勘違いしてたことに気付いて...」

そう言いながらノートの切れ端を渡された


そこには電話番号が書かれていた

「家の固定電話です。連絡ならこっちで取れるので。」


満足して去っていく背中を、またしても呆然と見送ることになった


(携帯は持ってないからラインは無理だけど、連絡先なら渡せるよ...ってこと?)



分かるか!!!



大江のせいで最近心の中のツッコミのキレが増してきている

全く嬉しくないが



家の固定電話に電話した事など人生で一度も無いのでハードルが高すぎる

家の誰が出るか分からない上に、相手の親に大江に対して気があると思われるのもキツい


(親公認の仲になるって、そんなの無理!告白ゲームで遊んでるだけってバレたらシメられるじゃん!)



そして、通話料金もかかることを思い出し、結局考え事の振り出しに戻ってしまったのだった





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