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努力は恋を裏切らない  作者: 杷木 うきは
第一部 高校1年生編

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4/26

4話 お弁当大作戦



思わせぶりな態度を取ろうとしたら、逆に思わせぶりな態度でドキドキさせられてしまった訳だが、ノートは引き続き借りることにした


(仲良くなれるし、成績も上がりそうだし一石二鳥よね)


数日後にゴールデンウィークが始まり、そして休み明けにテストなので、休みの間もノートを貸してくれると言われている


(お礼の事も考えなきゃ。大江くんが喜ぶものは...)

日中は授業そっちのけで大江の観察をしてしまった



分かったことは、お昼休憩の最中まで単語帳と睨めっこしている事と、片手で食べられるようになのか、おにぎり2個しか食べていない事だった



(はぁ?!ありえない...!あんな栄養バランスじゃ肌も髪も荒れちゃうじゃん!)


普段自分で栄養バランスを考えた料理を作っている くるみ には考えられない事だった



--------------------------


翌日



「おはよ!大江くん♡」

名前は呼べば呼ぶほど好かれやすい(当社調べ)ので可愛く呼びかける


「おはよう。國塚さん。」

(ふぅん。そっちも中々やるわね)


名前を覚えててくれているのは嬉しいが、謎の悔しさの方が勝る


「ノートありがとね!大江くんもテスト勉強あるのに、このまま持っててもいいの?」

「うん。大丈夫だよ。」


「あと、ノートのお礼なんだけど...お弁当作ってきたから、一緒にお昼食べない?」

上目遣いでおねだりするように聞く



...だが全く刺さっていないどころか、心底驚いた顔をしている


「ごめんね。そこまでしなくても大丈夫だから...」


(もう作ってきてるんだから断られる方が困るわ!)

内心キレながらも外面は崩さない


「そうだよね...私の手作りお弁当なんて食べな...「要ります。」

席から立ち上がりながら食い気味に言われた


(ビックリした〜!なんなのよもう...!)

今までのターゲット達と違い、どういう心境なのか全く読めない


いそいそと弁当を受け取り鞄にしまっている

「あと渡せてなかったノート。これと、これどうぞ。」


「あっ、あとお弁当頂いたので、もうお礼は大丈夫です。」

残りの教科分のノートを渡しつつ先回りで断られた



(うーん...もしかして手作りが苦手とか、偏食・少食だったりしたのかな...)

お弁当作戦が早くも失敗しそうで少し落ち込む


うじうじしているうちに、あっという間にお昼ご飯の時間になっていた



ーーーーーーーーーーーーーーー



教室で一緒に食べると、変に茶化されて計画に支障が出そうだったので、人気の少ない階段の踊り場で食べようと誘い出した


(さて、何を話そうかな...)

大江が喜びそうな話題を頭の中で並べていると、いつの間にか大江はいただきますと言って弁当を食べていた


「國塚さん。」

「...はいっ!」

考え事をしてたせいで反応が遅れた上に声が上擦ってしまった


咳払いをしつつ調子を整えて仕切り直す

「なぁに?大江くん♡」

「お弁当凄く美味しいです。作ってくれてありがとう。」

まっすぐ目を見ながら、まっすぐな言葉で伝えられると流石に照れる


「うん...こちらこそノートありがとう...」

しどろもどろになりつつ返事をするが、大江は気にせず、見た目も綺麗だとか、栄養バランスも考えられているだとか、言葉を尽くして褒め称えている


なんとか話題を逸らそうと慌てて話しかける

「そういえば!大江くんって頭良いのに何でここ受けたの?もっと偏差値高いとこ行けたと思うの」

「あぁ......うーん。家が...近いからかな...?」


いつも以上に歯切れが悪い返事だったが、それよりも

「えっ...そんな理由??」

驚きのあまり思ったことが口から出ていた


毒舌キャラじゃないのですぐに共感する方に舵を切る

「家が近い方が便利だよね!移動時間少ないとその分勉強出来るしっ!」

「うん。そうだね。移動時間もったいないなって思って。」


(頭が良いから、てっきりもっと深い理由があると思ってた...)

という感想は胸にしまっておく



その後は授業や先生の話など、取り留めのない話をして昼休みが終わった


弁当箱は洗って返すと言ってくれたが、自分で洗わないと気が済まないたちなので半ば無理矢理返してもらった



追加のお礼も断られてしまっているので、次はどうしようかと悩んでいるうちに、ゴールデンウィークに突入してしまった



------------------



「暑い....」

まだ5月上旬なのにエアコンをつけるレベルの暑さだ


高校に入ってから出来た友人は、まだ休みの日に遊ぶと言うほど仲良くは無い

そして日焼けは美容の敵なので、出来れば室内に居たい



そう、つまり引き籠もっていて暇なのだ


もちろん貸してもらったノートは読んだが、そこから参考書や過去問を解くほどやる気がある訳ではない

それに、こう何日も休みだと、いつも以上の筋トレや料理の作り置きなど、美容に関わる事もやり尽くしてしまった



(暇だ〜...誰かに通話かけよっかな〜......あっ!!!そういえば連絡先交換してないじゃん...!)


いつもなら真っ先にやっている事だが、今回は完全に失念していたことに気付いた


(ゴールデンウィーク中なんてデート誘いたい放題だったじゃん!やらかした〜...)


うだる暑さに後悔が混ざりどろどろと溶けるようだった




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