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努力は恋を裏切らない  作者: 杷木 うきは
第一部 高校1年生編

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3話 初撃そして撃沈



大江 和は入学当初から目立っていた


入学式では当たり前のように代表だったし、教科書が配られてからの休み時間はずっと勉強していた


まだ皆がそれぞれの性格やカーストを押し計っている時期だったが、彼の立ち位置はすぐに決まった


勉強ばかりで友達のいない“つまらないやつ”

いわゆるカースト下位の人間だ、と



しかし、授業が始まり課題や予習が増えてきた頃、変化があった

1人の勇者もといアホが大江に話しかけたのだ


「大江!予習忘れたんだけどノート見せて!」


真面目君がそんなことしてくれる訳がないと皆が思っていたが、予想に反して二つ返事でノートを貸したのだった


そこからは早かった

誰かしら課題や予習を忘れる度に大江にノートを借りに行き、快く貸してくれる事を繰り返し


いつの間にかクラスの救世主とまで呼ばれ、皆から頼られるカースト上位の存在になったのだった



------------------------------------



恋愛ゲームの攻略を考えつつ家に帰り、いつもの美容ルーティンをこなす

さて、そろそろ寝ようとベッドに潜り込んだ時に思い出した


(あっノート!!流石にすぐ返さないと印象悪いよね)


寝る気分になっていたがなんとか切り替えて机に向かう


軽くで良いかなとパラパラとノートをめくったが、あまりに綺麗にまとまっていて驚きで目が覚めた


カラーペンを使って重要な部分を目立たせるだけでなく、参考書やテストで扱われやすいポイントを、なぜか猫のキャラクターが解説をしていたりと、読みたくなる工夫がされていた


(頭が良い人って、分からない理由が分からないって感じだと思ってた...)


すっかりテスト範囲の部分を読み終え、時計を見るといつの間にか寝る時間を3時間も過ぎていた


「終わった....」



------------------------------------


翌日


「大江くん♡ノートありがとう!」

さっそく朝イチで返却しに行く


「あのね!すっっごく分かりやすくて感動した♡」

「猫ちゃんも可愛かったし〜、あ!これお礼!」

登校前に買ってきたラムネ菓子を差し出す


「甘いもの好きか分からなかったけど、勉強には糖分かなぁと思って...甘いの平気だった?」

矢継早に捲し立てたので、大江はキョトンとした顔でこちらを見ている


(寝不足のせいかテンションを間違えた!)

(いつもはもっと完璧なのに〜!)


大江がラムネを受け取る

「わざわざありがとう。お菓子はあまり食べた事ないけど平気だと思う。」


そう言ってさっそく一粒食べる

「うん。美味しい。」


こちらを見て微笑んだ


「あの!さすがに1個じゃ少ないかなと思って、もう1個買ったの!」

グイグイともう一つのラムネ菓子を押し付ける



女の子慣れしていないと決めつけて油断していたのに、普通に会話をして笑いかけられて調子が狂った


(なんか思ってた感じと違う!!)

もっとオドオドしてるもんだと思い込んでいたが、どちらかというと落ち着きがある大人な感じだ



「それじゃ!」

焦ってその場を離れようとすると、腕を掴まれた


心臓が跳ねる。


緊張して顔が見られない。


(なに?!なんで引き留めるの...!)





「他の教科は貸さなくて大丈夫だった?」



「...........」

(私のドキドキを返せ!!!)



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