2話 標的はきみ
今日はしんどいなって日でも、毎日可愛くなる努力を重ねてきたつもりだ
それでも追いつけない可愛さの人は世の中大量にいる
(しかも当の本人の佐倉さんからは同情される始末...)
こういう落ち込んだ時にはいつも“恋愛ゲーム”をして自尊心を取り戻している
女の子に興味ないですよって態度の男子に告白させたら勝ち、簡単なルールだ
自分でも性格悪いなとは思いつつ、中毒性があって中々やめられない
ターゲットに決めた男子の好きな物を、読んでる本やキーホルダー、友人との会話から探って話しかける
それから連絡先を交換して、しばらくやり取りする
そろそろ告白してきそうだなって雰囲気を感じたら、通話をすると大体成功する
みんな面と向かってや、文章残る形では中々告白してこないので、通話にすると格段に成功率が上がる
そして告白してきたら、決まってこう答える
「ごめんね。友達としては大好きなんだけど、今は誰ともお付き合いするのは考えてないの...」
ポイントは、「俺だから断ったんじゃなくて、誰でも断っていたんだ」と思わせるところだ
自分の自尊心の為に相手の自尊心を傷つけるのは流石に気が引ける
中学生の頃からやっているが、実際に誰とも付き合っていないし、告白されたことは誰にも言わないので大きな問題にはならなかった
ただ、中学を卒業する頃には男子生徒の間で
“くるみの思わせぶりは本気にするな”
と注意喚起がされていたらしい
幸い今の高校には中学時代の知り合いは居ないので、さっそくターゲットを見繕う
教室をぐるっと見回すと、めぼしい人が3人居た
1人目は、休み時間も常に勉強をしていて友達が居なさそうな人
2人目は、二次元の女の子の話しかせず三次元には興味がないと言っている人
3人目は、バイトばかりしていると噂の授業中いつも寝ている人
ターゲットを1人に絞るため、まずは近くに行く
女の子に興味ありませんって顔をしてても、近くに行くと意識をしたり、チラチラとこちらを見てくることがある
(うーん...オタクくんはハズレか...)
(ガリ勉くんとバイトくんはこっちを見向きもしない...こういう人を落とすのがいいのよね)
寝ている人をわざわざ起こして話しかけるのはハードルが高いので、今回のターゲットはガリ勉くんに決めた
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「ねぇねぇ♡大江くんっていつも勉強してて偉いよねっ」
「.....?ありがとう。」
急に話しかけられて困惑しているようだが構わず続ける
「くるみなんて、もうすぐテストなのに全然勉強ついていけてないの〜」
「あぁ。そういうこと。」
じゃあと言って一冊のノートを手渡される
「どれが苦手か分からないけど、とりあえず数学でいい?」
「......うん!ありがと〜♡」
(いいね、燃えてきた!)
中々の難攻不落ぶりにやる気が出てきた




