15話 夏の終わり
あの後、箱の中身を使った
「これはコンドームって言って、性行為をする時に、妊娠や性病を防ぐ目的で使う物です。」
「ふむふむ」
「まぁ、実際見た方が早いか。」
そう言って新品の包装を破って中身をひとつ取り出す
ピリッと開けるとピンクの丸い物体が出てきた
「これをどうするの?」
「これを広げるとこんな感じ。これを着けて性行為するんです。分かった?」
本格的な保健体育の授業だ
「なんとなく分かった気がする!」
「なら良かったです。」
大江はげっそりしている
「じゃあ練習着ける練習していいっ?」
子供のようなキラキラした目で見つめる
「はぁ?!ちょっと待って!それは流石に恥ずかしいから無理!!!」
大江が慌てて後退りする
よくよく聞くと、これはくるみに着ける物ではなく大江に着ける物だったらしい
「な〜んだ。じゃあ練習要らない?」
「全然要らないです...」
もっとげっそりしてしまった
「大江くん、色々準備してくれてありがとね♡」
ぎゅっと抱きしめてキスをする
「いえ。どういたしまして...」
「でも、どうしてそんな準備万端なのにしないの?」
大江が固まる
「だって......」
「だって?」
「...体目当てだと思われたくないからです!」
「!!!」
「まだ付き合って1週間だし、知り合ってからも4ヶ月くらいしか経ってないから...」
確かに言われてみれば、付き合ってすぐ彼氏から誘われたら自分もゲンナリするだろう
(大江くんに嫌な思いさせちゃってたんだ...!)
「私!大江くんの体目当てじゃないからね!」
一応弁明しておく
「いや、それは分かってます。俺の体は別に...貧相だし...」
「そうなんだ?」
「國塚さんは...その、魅力的だから。勘違いされたくなくて。」
とりあえず大江は許してくれるようだ
「まぁ、そういう事なので。せめて1年付き合ってからにしたいです。」
「1年記念日にするってこと?それ良いね!」
「...うん。まぁそれでいいです。それまではデートとかしましょう。」
話しながら頭を撫でられたり、手で髪を梳かされて気持ちがいい
甘やかされているのを感じる
(大江くんの特別枠って凄く心地いい...)
こうしてまったりと過ごしつつ、お家デートは幕を下ろした
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夏休み5週目
祭り囃子の音が聞こえ、屋台からいい匂いがしてくる
今日は近場で1番大きな夏まつりに来ている
くるみはもちろん浴衣を着ており、大江はもちろん浴衣を着ていない
たまには現地集合でも良いかと思ったが、浴衣を着ていくと言ったら、心配なのでと家まで迎えに来てくれた
祭りの屋台で食事をする気は無いが、せっかく祭りに来ているので何か買いたい気はする
今日の思い出に残る物は無いか辺りを探す
(スーパーボールもお面も要らないなぁ...)
一通り見て回ったがこれといって見当たらない
「大江くんは屋台で何か買いたいものあった?」
「うーん...ごめん。特に無かったかも。」
大江も悩んでいたようだ
「前は食べ物系好きだったけど、國塚さんのご飯のが美味しいって考えちゃって今はあんまり...」
可愛い事を言ってくれるので顔がにやける
特にする事がなくなり、近くのベンチに腰掛けて花火が始まるまで待つことにした
「そういえば、今日聞きたい事があって...」
「ん?なぁに?」
「2人きりの時は名前で呼んで良いですか?」
暑さと恥ずかしさで大江の顔が少し赤くなる
「もちろん!好きなだけ呼んでいいよ!」
「......くるみ...さん。」
「もう1回言って♡やまとくん♡」
恥ずかしがる大江を揶揄っていたら花火が始まった
ドーン...
最後に一際大きい花火が上がって祭りが終わった
みんな一斉に帰ろうと歩き出すので、混雑に巻き込まれないよう電車を数本見送る事にした
騒がしかった音が徐々に消えていき、夏の終わりを感じさせる
物寂しい雰囲気になったからか、もう少し一緒に居たいと思い大江を見つめる
「......くるみさん。そろそろ行きましょう。」
大江が先に立ち上がり手を差し出してくれる
素直に従って立ち上がると、抱き寄せられ軽くキスをされる
「今日も可愛いです。」
そう言った大江は耳まで赤くなるほど恥ずかしそうにしていて、自分より可愛いように思える
家まで送り届けられて、流石にもう夜も遅いので、そのまま玄関先で解散した
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夏休み最終週
今日は元々勉強会の予定だったので、デートをしようと思っていたのだが、大江が風邪をひいてしまったらしい
急に電話がかかってきて驚いて出ると
「今日会う予定だったけど、風邪をひいたので無理そうです。すみません。」
大江がゴホゴホと苦しそうに咳をしていた
1週間ぶりに会えると喜んでいた分ショックがでかい
(和くん風邪辛そうだったなぁ...)
くるみは健康的な食事と運動をしている超健康優良児なので、中学の頃からずっと風邪をひいていない
(そうだ!ご飯作ってあげたら元気になるかも!)
タッパーに風邪に効きそうな食事を詰め込み家まで届けに行った
チャイムを鳴らすとおばあちゃんが出て来た
「和くんが風邪をひいたって聞いたので、これお見舞いです」
持って来た食事を渡す
「あら!わざわざありがとねぇ。上がっていってと言いたいところだけど、風邪を移しちゃ悪いし...」
おばあちゃんがどうしたものか、と思案している
「大丈夫です!また来週元気になって学校に来てねとお伝えください!」
ぺこりと頭を下げて帰路に就く
(早く良くなるといいな〜)




