10話 触れ合う熱
前期期末考査まで残り1週間を切った
平日は放課後、教室に残って大江と勉強している
「今日はここまでにしましょうか。」
「は〜い!あぁ〜疲れた〜!」
ぐったりと机に突っ伏すと、更に体の力が抜けて動きたくなくなった
(今日は筋トレさぼりて〜...)
だが、最近は頭を使っているため、いつも以上に食べすぎてしまっている。疲れていてもサボる訳にはいかない
力を振り絞り帰り支度を始める
「國塚さん、明日は勉強会どうしますか?」
「え?明日もすると思ってた」
「そっか。じゃあ10時半に市立図書館集合でいいですか?」
大江に言われてから気付いた
(明日土曜日じゃん!!)
図らずも休日に会うことになってしまった
なんだかんだで休日に会うのはこれが初めてなので、大江の私服が見られるかも、とテンションが上がる
「あ!図書館だと声出せないし、お昼ごはんも一緒に食べたいから、うちで勉強するのはどう?」
我ながらいい考えを思いついたものだ
「.........今度は親御さんは居ますか?」
「うん?休みだから居るよ?」
(それってわざわざ聞くほど重要なこと...?)
くるみは首を傾げるが、大江は安心した表情だ
「それなら行きます。」
ーーーーーーーーーーーーーーー
10時半ぴったりに家のチャイムが鳴った
どこかに集合したり迎えが必要かと思ったが、一度行ったことがあるから道は分かると言われた
方向音痴のくるみには考えられないことだ
(さすが、頭が良い人は違うな〜)
見当違いな感心をしつつドアを開ける
「お邪魔します。これつまらない物ですが、ご両親にお渡し下さい。」
制服姿の大江が立っていた
(何もかもテンプレかよ...!)
わざわざちゃんとした手土産持参+休日に制服姿のコンボに、ついついツッコんでしまった
「パパもママもリビングに居るから、直接渡した方が喜ぶかも〜」
どうぞ上がって、と招き入れる
大江を連れてリビングに向かうと両親がチラリとこちらを見て固まった
「ちょっと...!!くるみ!今日来るお友達って男の子だったの?!」
母親は慌てており、父親は固まったまま動かない
「あれ?言ってなかったっけ?」
「聞いてないわよ!もぉ〜いつもくるみがお世話になってます〜」
「えっと...こちらこそお世話になってます。これ、つまらない物ですが...」
母親が騒がしく絡むので大江が困っている
「も〜やめてよ!恥ずかしい!大江くん行こっ」
大江の手を取り、2階にあるくるみの自室へ向かう
まだ下から母親の興奮した声が聞こえてきて、ため息が漏れる
「......俺来ても大丈夫だった?」
「大丈夫!こっちこそごめんね...男の子連れて来るの初めてだったから、想像以上にうるさかった〜」
「初めてなんだ...」
なんとも言えない空気になってしまったので、切り替えようと勉強道具を机に広げると、大江もそれにならった
ーーーーーーーーーーーーーーー
「くるみ〜!ごはんの時間よ〜」
下の階から呼びかけられて、ようやくお昼だと気付いた、自分でも驚くほど集中していたようだ
伸びをしてから立ち上がる
「大江くん、ごはんにしよっか!」
「うん。ご馳走になります。」
「ここで待ってて!リビング行ったら絶対うるさいから!」
立ち上がる大江を留めて昼食を取りに行く
案の定、根掘り葉掘り聞かれたが、全て無視して食事を用意する
「お待たせ〜」
大江は机の上の勉強道具を片付けておいてくれたようだ
頭を使ってお腹が空いていたのでペロリと食べ終わる
大江には山盛りよそって来たのに、もう完食している
流石に食後すぐは勉強する気になれず、休憩を持ちかけた
「そうですね。30分くらい休憩しましょうか。」
快諾されたので、流れるような動作で大江の隣に座る
「じゃあいっぱいお話ししようよ♡」
イタズラっぽく笑うと、いつも以上に近い距離感だからか大江の顔が赤くなる
(よしよし、これは良い感じ!)
「ごめん。お話しは良いんだけど、あんまり近いと緊張する。」
赤らんだ顔を手で軽く隠しながら言われた
全身がゾクっとするのを感じる
(やばい。もっとイジワルしたくなる...!)
自分の中の知らない欲に驚く暇もなく、体が動いた
逸らした顔を覗き込むように大江に近付く
「ねぇ...顔見たい...♡」
そう言いながら顔を隠している手を掴んだその瞬間
視界がぐるっと回った
顔を覗き込もうとし過ぎて倒れたのかと思ったが、大江が上に覆い被さっており、押し倒されたのだと気付いた
「.........」
大江が無言で見つめて来る
くるみの心臓がバクバクと音を立てて、大江にも聞こえてしまいそうだ
頭を撫でられる
そのまま髪の毛を耳にかけられ、耳元で手が止まる
耳を優しく撫でられ、思わず声が出た
「んっ...」
「!!!...ごめん!嫌でしたよね。」
大江が慌ててくるみの手を引いて起き上がらせる
潤んだ目で見つめると、気まずそうに目を逸らされた
「嫌じゃなかった...よ」
何とか絞り出すような声で伝える
「あー......ごめん。お手洗いどこにある?ちょっと頭冷やして来る」
敬語も崩れていて、物凄く焦っている事が伝わってきた
大江がお手洗いに行って1人になっても、胸のドキドキは治らなかった
その後の勉強は記憶がない
ずっと大江に触られたところ、くるみを見つめる表情を思い出していたら、いつの間にか解散する時間になっていた
(全然集中出来ない...!テストやばいかも...)




