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223 毒沼の村 下

明日からはダンジョン攻略までほぼノンストップで冒険です。

 当面の方針を決める会議を終え、ダレンを呼び出す。半ば予想通り開拓中隊長の任を辞退する。次にネイサンを呼び出す。ネイサンは拒否権が無いと知っているのか了承する。その際に「毒沼のダンジョンコアを砕く時にコアルームに招く」と言う至極真っ当な条件を提示されたので了承する。俺はガイルズ達三人を最初からコア破壊の現場に呼ぶつもりだった。ただ開拓中隊長の肩書から考えてダンジョン攻略から除外されると心配したのかもしれない。ネイサンは自分の任務が今回のダンジョン攻略に置いてもっとも重要な任務だと言う事に気付くだろうか?


 今頃ネイサンはグイードと打ち合わせをしている事だろう。ガイルズは明日からの部隊編成に頭を悩ませていると信じたい。ダレンはその他の奴隷の監督と明日は俺と一緒に行動する様に伝えてある。俺はすっかり暗くなった部屋で人材リストを整理する。他の人間は見えないだろうが、俺は【暗視】スキルのおかげで良く見える。


 俺の遊んでいたTRPGでは町の支配者になれる。その町の民はただの数字だが、税収を始めとした様々なボーナスを与えてくれる。勿論、町がモンスターに狙われる事があるので、面倒事も増える傾向になる。一体人数ごとに特殊スキル持ちが居たりして、そう言う人材は更なるボーナスを与えてくれる。押し付けられた奴隷を使って似たことが出来ないか考えてみたが、一日で匙を投げる。異世界に来てまでこんなチマチマした計算をやってられるか!


 だが得るものはあった。この世界にはレアな人間台帳を用意出来た。名前、解放までの期間、欠損の有無、位階レベル、そして所有スキルしかない簡単なものだが、書式が一枚一枚違う100枚近くの書類より遥かに見やすい。明日からの行動を前に再確認しておく。【剣術】スキル持ちを開拓作業に送っても活躍は出来ない。


 現在村に滞在している俺の手勢は俺を含めて104人だ。リルが帰還すれば105人になる。人には含められないが、老齢の輓馬が三頭居る。人の内訳をグループ分けするとこうなる。


  2人 アッシュ、エミール

  9人 ガイルズ、ダレン、ネイサン、従士×6

 93人 奴隷


 俺とエミールは俺の家の人間だ。エミールは未成年なんで仕事を任せられないが、正式に俺の従騎士としたので秘書の真似事は出来る。【スキル操作】が発動しないのは未成年だからかそれとも俺との距離が大きいからか。


 ガイルズ、ダレン、ネイサンは宰相家の人質騎士爵だ。人質だろうと手が足りないので全力で重大事業の中核を担ってもらう。従士はガイルズのが三人、ダレンのが二人、ネイサンのが一人みたいだ。部下の部下について余り詮索するのは良くないので従士に関しては完全にノータッチだ。ただし従騎士が一人も居ないのは少し気になる。ロドニーは宰相家の寄子子爵なのに籠城戦末期まで騎士爵を名乗っていた事を考えると、額面通りの従士では無いのかもしれない。


 奴隷のハンナ、ダン、マリーメイアの三人はシーナとの約束を果たすために購入した【光魔法】スキル持ちだ。他の奴隷同様に俺の【スキル操作】で所有スキルで有用なのを限界近くまで上げている。ただし新しいスキルを付与する事はしない。俺の持つスキルが【育成】みたいな成長促進スキルと誤魔化すためだ。それでも上がり幅がえげつないので何処まで誤魔化されてくれるか?


 魔法系は他に【地魔法】四人、【水魔法】二人、【風魔法】一人の計七人だ。レア属性の【天魔法】、【闇魔法】、【冥魔法】持ちは当然いない。一般的な【火魔法】は侯爵家が全員買い取ったのでいない。魔法使いの七人はダンと同じ様に【農業】スキル持ちだ。農作業に役に立つと言う事で自然と覚えたのだろう。基本的に開拓事業に回すが、必要があれば他の仕事に引き抜く。【光魔法】の三人同様に解放される日まで休みは無いだろう。全員レベル3まで上げたので魔法使いとしては一人前になっている。【農業】スキルも同じくレベル3まで上げなければ魔法スキルをレベル4まで上げられた。【風魔法】レベル3になるとシエルが朧げに見えるのは新しい発見だ。俺のストレスが生み出したイマジナリーフレンドじゃなくて一安心だ。


 パワーレベリング出来れば魔法のスキルレベルをもっと上げられるが、解放後の事を考えると【農業】スキルを優先した方が良さそうだ。この件についてはアメリアに叱られたので少し凹み気味だ。アメリアなら魔法スキルを限界まで伸ばして使い潰せと言うだろうし、貴族としてはそれが正しいのだろう。他人の幸せを優先する俺は人の上に立つのは難しい。将来的に押し付けられる城爵の件は本当にどうしよう。王都のこじんまりした一軒家で数人の仲間に囲まれて平和裏に生活する未来は夢のまた夢になってきているな。


 他には戦闘スキルを持たない【農業】スキル持ち30人。ハッキリ言って何の役にも立たないし、値段も100人で【地魔法】スキルレベル1と同等だ。犯罪歴の無い借金奴隷なのが唯一の取り柄だ。彼らは明日からネイサンの指揮下に入って開拓事業に従事する。次は戦闘スキルを持つ【農業】スキル持ち15人。他の貴族と熾烈な戦いを経て適正額の三倍で何とか手に入れた。得意武器に関するスキルのレベルを3~4に上げ、金で買える常識的な装備を与えている。ガイルズの指揮下で頑張ってレベルを上げて貰おう。懸念としてはこの時点で従士六人よりスキル面と装備面で上回っている事か。俺の方で従士の装備を用意する事は出来ないし、問題が起こらないと信じよう。


 ここからが完全な無駄飯食らいだ。欠損持ちの冒険者20人と十歳以下の子供18人だ。輓馬を売ってくれないと欠損持ちを引き取らないとゴネて馬を手に入れたのが一番の収穫だ。冒険者の中にはCランク冒険者まで居るが、全員ラディアンド籠城戦で重傷を負った者達だ。大神殿の神官に莫大なお布施を払ったら治る冒険者は既に他の貴族が買いあさった後だったので、一般的には治す術が無いとされている。それでもシーナなら一日で20人全員が戦線復帰出来る。ダンジョン攻略に有益なスキル持ちが多いし、経験もバッチリだ。俺がシーナが来るまでダンジョン攻略を開始しないのは彼らの回復を待っているからだ。【光魔法】スキル持ちのパワーレベリングが上手く行けばちょっとだけ計画を前倒しに出来る。


 子供18人は【農業】スキル持ちの家族だ。ラディアンドでは子供は奴隷落ちせず孤児院行きと決まっているが、農村から避難して来たからラディアンドの市民と扱われなかった。買う必要は無かったが、親元から引き離す事は俺が出来なかった。アメリアにも「甘い」と詰られたが、彼女も笑顔だったので良しとする。


 俺の指揮下に無いが、村の人間台帳も不完全ながら作っておいた。【光魔法】の治療で村内を回った三人とシエルの偵察の合わせ技だ。アメリアに即没収されたので手元にあるのは予備だけだ。多少の抜けがあるとして181人の村で戦える人間は12人と見た。グイード、グイードの嫡男、騎士爵一人、従騎士二人、農民従士七人が戦力だ。俺たちの長期滞在に難色を示すのも分かる。俺の戦える農民15人と魔法使い10人を投入すれば人質騎士の力を借りずとも村を一瞬で制圧できる。


 もう少し強い立場で交渉できそうだが、余り高圧的だとアメリアの手腕にケチが付く。そんな事よりダンジョン周辺の拠点化の有無を自分の目で確認した方が良さそうだ。俺の魔法使い達のスキルレベルがグイードの想像より高い部分は勘案するが、グイードは独立した武装勢力が防御拠点を村から半日の地に築くのを看過出来ないはずだ。

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