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224 下準備 上

「フレイムランス!」


「ウィンドスピア!!」


「「ゲコォォォ!!」」


 俺とアメリアの魔法で沼地のゴブリンとも呼ばれるフロッガーを片っ端から殺す。人の体に蛙の頭を持つこのモンスターは沼地を住処に村人を攻撃する。彼ら相手にパワーレベリングを始めて九日経つ。結果は芳しくない。


「殺さず沼地から引き揚げるのがこんなに面倒だとは!」


「倒すだけなら楽なのに」


 パワーレベリングの肝はレベルの低いメンバーに止めを刺させる事だ。経験値が低く、毒のある沼を飛び跳ねるフロッガーは美味しい敵では無い。その上で毒を使うは、舌を伸ばして人間を毒沼に引き摺り込もうとするはと見敵必殺したくなるのは道理だ。


「「アンチドーテ」」


 ハンナとマリーメイアが足元の毒沼を解毒している。ここまでの調査で二人が毎日8時間ほどアンチドーテを掛けると毒沼の範囲が狭まる。一見すると非効率的だが、Cランクダンジョンを攻略するのなら常識的な準備でしかない。少なくても村からダンジョンの入り口近くまでは解毒し水抜きをやる。これにはアメリアも同意しているので問題無く進めることが出来る。


「姫様、この近辺にモンスターはいないみたいですぜ」


 村付きの狩人が恭しく言う。ここの狩人は村の外で過ごす時間が多いらしく、俺が作った人間台帳には当初記載漏れ状態だった。四人までは確認できたが、もう数人隠れていても驚かない。


「今日もハズレかしら。ダンジョン内でやるべきなのかもしれないわね」


 アメリアは諦め気味だ。村の男衆が四人護衛の名目で付いて来たが、彼らは早く帰りたいみたいだ。積極的にモンスターの領域に出向き狩るなんて狩人と冒険者だけなので仕方が無い。


「居るよー!」


 だがシエルには見えている。そして俺の【風魔法】も水に潜むモンスターを感知する。帰る前にこいつくらいは狩らせるか。最初の数日には居なかった。アンチドーテの効果で生息地域が狭まった影響で出て来たか。それともこれはダンジョンの防衛機能の一つか。


「ちょっと下がっていろ」


 俺はそう言って膝上まで沈みそうな沼地に大きな音を立てて飛び込む。


「ガァァァァ!!」


「「キャアアア!!」」


 ダイアクロコダイルが沼底から回転ジャンプをしながら俺を一飲みしそうと現れるのと女性陣の悲鳴はほとんど同じだった。気付いていなければ完璧な奇襲が決まって俺だって危ない。攻撃が奇襲噛みつき特化ゆえに対策さえ取っていれたら軽自動車に撥ねられる程度の事でしかない。前世の俺なら死んでいたが、今の俺は4トントラックに撥ねられたらトラックの方が破壊される程度に強い。10トントラック相当のモンスターで試す勇気はまだ無い。


 ダイアクロコダイルが噛みつく瞬間に【アイテムボックス】から大きい樽を取り出してモンスターの口に入れる。樽を破壊されたら腕ごと持っていかれるが、いずれ来るシーナが治してくれるので気にしない。普通の樽なら一瞬でかみ砕かれるが、この樽の中身は固い岩だ。ルルブを参考に【地魔法】を使う奴隷に命じて用意した対ダイアクロコダイル必勝のアイテムだ。


 ダイアクロコダイルに小突かれて陸地を転がる。ダイアクロコダイルは破壊出来ない樽を何とかしようと首を左右に振っている。樽を咥えて水の中に戻るわけにはいかず、完全に立ち往生している。


「手足を焼け!」


 俺の指示を聞いてアメリアが左の手足を燃やす。俺は右側に回りそちらの手足を斬り飛ばす。他の人間は3メートル級のダイアクロコダイルを見て固まっている。困ったな。この程度のモンスターは毎日10体は狩りたいのに、遠いのも含めて3体しか発見できないのが一番の問題かもしれない。


「大人しくしろ!」


 俺はダイアクロコダイルの首筋に大きい切れ目を入れる。マリーメイアの腕ではダイアクロコダイルの鱗を突破出来ない。両腕が無いハンナでは打つ手がないので他のモンスターを見つけないといけない。


「マリーメイア、その槍で刺せ! なんだそのへっぴり腰は!? 元冒険者だろう!!」


「はい~~~!!」


 泣きながら近づくマリーメイア。ダイアクロコダイルの頭と体は俺が腕力で押さえつけているから安全だと言うのに。狩人を始めとした男衆もちょっと手伝ってくれても良いんだぞ?


 グサッグサッと六回ほど槍を突き刺すとダイアクロコダイルが息絶える。冒険者として素材を持ち帰る依頼で無くて良かった。


「死んだぞ」


「ほ、本当……ですか!」


 涙と鼻水を垂らしながら言われると俺が悪者みたいだ。証拠を見せるために【アイテムボックス】に収容する。


「明日からこいつが狙いだ! 目指せ一日10体!!」


「ええ!?」


 マリーメイアはそれを想像したのか、ヘナヘナと大地に崩れ落ちる。


「それだけ居るのかしら?」


 アメリアが沼地を睨みながら言う。


「残念ながら3体しか感知出来ない。リルの有難味が分かる」


「そうね。ダイアウルフを5体もチェインして引っ張って来た時は死を覚悟したけど」


「メアが居たら腕の一本や二本を犠牲にして楽勝だろう?」


「腕を犠牲にする前提の作戦は止めなさい」


「アメリアがそう言うのなら検討する」


 心配させ過ぎたか? だが強いモンスターを無傷で倒すのは難しい。ルルブ的にはタンクの腕を犠牲に倒すのが最善だ。そうか! 俺はタンクじゃなくて軽装備の魔法戦士だからか。今のストックスキルでタンクを作れるか考えてみるか。

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