ゲーム要素
エレナは一通り話したいことを言い終えると、こちらの反応を待とうともせず
「では、私は忙しいのでこれで失礼しますね」
と言い残し、私にギル宛のプレゼントを渡して来た道を戻って行った。
その後ろ姿を見つめていると、ある種、感嘆するように声が自然にでた。
「なんと言いますか‥まぁ…凄い」
今まで人付き合いをしてこなかったから知らなかったけど…あれが普通の令嬢なのだろうか?押しが強いと言うか、積極的と表現すれば良いのか、自己中心的なのか、上手い表現が出てこないけども、あの態度が一般的だとしたら、前世の社会人経験なんてまったく意味ない。
女の人同士の嫌味の応酬なんてしたことないし、あんなタイプは居なかった。
「あれが普通の令嬢・・・ならやっぱり私は引きこもっていたい・・」
「普通なわけないじゃない!あり得ない、非常識、いくら私的な場でも礼儀知らずとしかいない。田舎者って感じしかないわ」
私の弱音をぶった切るようにマリーが叫ぶと、続けてこう言った。
「田舎から出て来てマナーがないし、王都でのツテを作りたいから積極的になってるんでしょうけど、王族に会うには100万年早い子ね」
マリーが苛つきを振り払うように、その綺麗な髪をばさりと後ろに払っていた。
その仕草は、ゲーム中にも何度も目にしたポーズで、いわゆる高飛車なお嬢様のポーズっぽかった。
なるほど、エレナVSマリーは現実でも起きるのか。
「ウチのような名ばかりの貴族と逆に、男爵家でも権力があるのですかねぇ」
というか、ロードバーグって貴族は居るけどそこまで階級社会じゃないというか、階級=富ではないよな。
ウチなんてまさにそれだし、前にロバートに教えてもらったけど公爵家でも断絶した家もあるらしいし。
マリーのフォンテールに関しては、絶対王政ってレベルみたいだけど・・・。
って、マズイ。
「・・・マリー様、本日の件で、エレナ嬢やドニ男爵家に何かされるのはなしでお願いしますね」
念のため釘を打っておく。
「なによ、急に他人行儀になって」
「私宛にいらしたので、あの無礼さは私に向けたものです。マリー様に無礼な人間をお目通りさせてしまったのも、あの方をお通ししてしまった当家の非です。ーーなので罰は私に」
「ーー家同士の面倒ごとは避けたいって魂胆ね」
「です!今回の件が大事になったら、まずはシャポーとドニの問題になりますからね!ドニ男爵家って主教と関係があるってことはある程度の権力ありそうですし」
「珍しく意外に考えてるのね〜。主教ってロードバーグだとどんな権力があるのか、いまいち私は理解出来てないけど、確かに主教関係というのは王権とは別ベクトルの権力があるのよ。フォンテールだとほぼ同権力ね。高位貴族が司教になったり、嫁に行けない王族が女司祭の位をもらったりしてる経緯があるわ」
そんな設定知らなかった。
ゲームで宗教的要素といえば、外交とか調略の時に利用するってとこしかなかった。
やっぱりゲームとはいくらか違うのかな。
そう思うと、ここでエレナに敵対することはロザムンドとしてあまり良くなさそうだ。ロードバーグでの主教の関係を知ってから、今後の動き方を考えるべきだよね。宗教とかの話ならロバートに聞くべきかなー?でも政治ならアルバートの方が良いかしら。
「ーー痛っ」
「何考え込んでいるのよ」
押し黙って考えていると、マリーが私の鼻先をピンと弾いた。
「大事にしたくないのは分かったわ。でも、あの子の態度はいただけないわ。あなたが侯爵家の令嬢として毅然とした態度で対応すること!」
「・・・わかりました」
さて、シャポー侯爵令嬢としてどうしようか。
主教=この世界の宗教の名前




