密談計画検討中
「いないところで話したかったんですが」
ギルはそう前置きして話し始めた。
「ロスは今回の件、どこを落としどころにしたいですか?」
「落としどころ?」
考えてもみなかった。
始めは、おば様達に迷惑がかからないところ、次がウチの商売を継続出来るようにすること、途中ではモーリー夫人に抗議する……。おば様達含めグーピュル商会にはすでに多いに迷惑がかかっているから、なんとか元に近いところに持っていきたいかな。
「例えばですよ?」
ギルは前置きとしてそう言った。
「例えば、グーピュル商会の言われようのない非難を消すこと。これは噂が元なので完全になくすのは難しいでしょうね。ただ先ほどロバートも言っていましたが何の違反もないのでそれが公になれば時間が解決してくれます。次にモーリー氏への抗議をすることは、簡単でしょうね。グーピュル夫妻が名誉毀損で訴えればすぐにでも勝てます。さらに失脚…といってもすでに近いですが、もうロスに関わらないようにも日の目を見ないようにもできます」
「やだ、僕の弟怖い」
「ヤバいわよ、本気で怒ってますわよ。ロザムンドへ危害を加えた事は当然ですけど、その所為で自分が被った迷惑料をもらおうとしてますわよ」
「ちょっと、そこの『ご夫婦』は黙っていただけますか」
「「まだ『婚約者』だよ/です!」」
声が綺麗にハモっていた。
仲良しだな。
「よく私が考えている事が分かりましたね。でも『日の目を見ない』までは考えていませんでした」
「そこはね、僕らも王妃が関わっているから、妥協したくないんだよね」
と、言ったのはロバートだった。
確かに犬の肉を出しているお店に王妃が足しげく通っているのは風評被害になる。
「申し訳ないです。王妃様にまでご迷惑かけてしまって……」
「いやいや違うんだ。お母様は『あのお店のお茶が飲めなくなったら肌が汚くなった気がするの!』って慌てていてね。いままでこんな事なかったから僕らも驚いてるんだ。そうやって言ってるお母様に対してギルが『お母様は別に黒くありませんよ。お茶を飲んでいた時もロスの方が白いですし』って言ったもんだから…」
アルバートが心底困った様子だった。
ギルよ、悩んでいる母親に対してなんてことを言うんだ。
確かに私は客観的に見て白い。けどそれは青白い白さであって、美白とは違う。
「いえ、でもアルバートもロバートもロスの方が白いと思いますよね?」
肯定も否定も嬉しくない。
脱線しそうなので、そっと軌道修正させる。
「まぁ、それはそれとして。ですが王妃様が犬の肉を楽しんでいると思われるのはよろしくないですよね。そこはなんとしても否定したい部分です」
ちらりと私の足下にいるジョセフをみた。
ジョセフ含め、私は愛犬家なのにそれを食べているなんて想像もしたくない。
私に取ってはわんこはかわいがる物で美味しがる物ではないのだ。
「そこは、むしろ使って行きましょう」
「「「使う?」」」
私たち、含め近くにいたメアリもスチュワードもアンナも同じように声を出していた。




