↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
42/81

だから毒なんて持ってないって!

毒殺事件、正確には毒殺未遂事件。これは本当の犯人は分かっていない。

ただ分かっているのは、マリーが目を覚ました時に好感度が高い相手キャラが側についているシーン。相手はマリーが目覚めた事に喜び、そして愛を誓う中で、ロザムンドが犯人だったから幽閉されたってサラッと言われるってことだけだ。

犯人とされた理由も、隣国の王女を毒殺しようとしたロザムンドが処刑ではなく幽閉で済んでいる理由もわからない。


制作側、ここの設定は少しザルすぎるんじゃないでしょうか。


しかもその後もロザムンドが出てこなくなるだけで普通にゲームは進む。



「本当に不憫な立ち位置の人なんですね」

「悪役なら最後にやっつけられる、とか断罪のシーンとかありそうだけどそういうのもないのかい?」

ジェーン先生とメアリの感想は、ゲームのファンサイトでもたまに言及される。とはいえ大体が『不憫www』だったけど。

なに言う私もそっち側だった。

でも自分がそちら側になってしまうと草生やしてる暇もない。

「脇役になった場合のロザムンドに当たるスポットライトなんてないわ。そのままぬるっと退場するだけ」

「悪役じゃなくて、むしろ被害者といった感じだねぇ。ちなみに、その時、毒を飲まされたマリー様はどんな感じなんだい?血を吐くとか苦しげになるとか、そういった描写はなかったのかい」

描写としては、ロザムンドがやってきて、全く盛り上がらない話をしてそこで今一番好感度が高いキャラの話をしてくる。プレイヤーはそれで好感度の状況がわかる。けど物語としてのマリーからすれば『彼女は何がしたかったんだろう?』との感想になる。

その後しばらく普通にプレイしていて突然「意識が遠くなってきた!」とステータス異常が出て倒れる。だから

「描写はないわ。意識が遠のくってことだけしか分からないです」

「随分、適当なんだねぇ」

「そうなんです。ーーあ、そうか。とりあえず今出来ることは、ウチの庭にある薬草でそう言った効果がありそうなものはないかメイスンさんに聞いておくってのはどうでしょう」

「それくらいしかなさそうだね。あとはマリー様だけになにか食べ物を渡す事は絶対に避けること!ここにいる間は作ることもないだろうから心配してないけどね」




◆◆◆◆◆◆◆


ところ変わってシャポー家の面々は、主人がいない中で羽を伸ばしーーたりはしていなかった。

「お嬢様は今頃フォンテールについたのかしら〜」

「ご予定では昨日には着いているはずですよ。ほらリリー、シャキッとなさい!」

これまで手入れができていなかった食器類を磨きながらアンナとリリーが話をしていた。曲がりなりにも侯爵家、銀食器やカトラリーがいくつもあるが、数が多すぎなこともあり手入れができていなかった。

この機会に全部綺麗にしましょう!とアンナが言い出し、スチュワードとトムが倉庫から運び出し、アンナとリリーで磨くという作業に励んでいる。

「ですけどアンナさぁん、お嬢様がいらっしゃらないとお食事を作っても張り合いがないと言いますか〜」

「俺たちだって美味いって言ってるじゃないか」

隣で別作業をするベンが口を挟む。

「そぅいぅんじゃないの〜。もっとこう、ふあわぁ〜って幸せそうな表情を見たいのよ〜ぉ」

厳ついベン表情では足りないとリリーは唇を尖らせる。

「全く。主人と使用人が同じ卓に着くなんて、本来ならありえないことですからね!」

「と言いつつ、アンナさんも嬉しいんでしょ。絶対時間通りに来てるじゃん」

「そっそれは、お嬢様をおまたせするようなことがあってはならないからです!」

トムに図星を突かれたアンナは上擦った声を出し、その隣でスチュワードはニコニコとしていた。

「まぁまぁ、アンナ、実は私も楽しみなんですよ。お嬢様と色々な話をしながら食事をするのが。マナーとしては良くないのかも知れませんが、お陰でこの家の中が明るくなったとは思いませんか」

「作戦会議にも丁度いいっすしね。そういやリリー、お嬢様が言ってたクズ?とかいうのは出来たの?」

「出来ましたよ〜。お嬢様が言っていたように甘く煮た果物と合わせたら美味しくなりました!お嬢様が戻ってきたら試食大会ですよ〜」

とそこに、いつのまにかシャポー家の常連となったメイスンが言った。

「それは楽しみです。どうやって使うのか私は本でしか知らなかったので悩んでたんですがお嬢様がいいアイデアを持っていて良かった。ああそうだ、ベンさんの方はどうですか?」

「俺の方も見たことが無いものだったから中々手間取ったが、ようやく形になってきた」

ベンがロザムンドが描いた、決して上手くはない設計図を広げてメイソンに見せると彼は頷いてみせる。

大分近くなった。

しかしこの家具はどうやって使うのだろう?メイスンにはそれが全く分からなかった。

「これはどうやって使うんでしょう?」

「聞いたけどよくわからん。でもきっと帰ってきたお嬢様はこれを見て手を叩いて喜ぶだろうよ」

「それに『ベン凄いわ!どうもありがとう!』って言ってくれるだろーね。いいなー、僕もジャガイモのヤツ進めなきゃ」

「別に俺は褒められたくてやっているわけじゃ……」

もごもごとベンは否定するがトムは信じていない。そんなことよりも『揚げても美味しい』ジャガイモの使い方に意識を向けいる。

「たしかに、私も商売柄色々なお屋敷には行ってますが、シャポーのお嬢様のように家人に対する方は初めて見ました。お礼を言うのもありますけど、それとはなんか違うんですよねぇ」



そんな感じに皆で話したりしながら、せっせと作業を行なっている。使用人達は根が真面目なのか、アンナの監視のおかげなのか分からないが、主人がいなくとも皆せっせと言われていた事や彼女の為を思ってのことを進めている。

そして1日の最後には必ず誰かがこう言うのだ。

「お嬢様、いつ帰ってくるんですっけ?……まだそんな先なのかぁ」


シャポーの家では小さな主人が戻ってくるのを指折り数えて待っている。

誤字ご指摘ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。