一日でどっと老けた気がする
「お誕生日おめでとう」
そう言われながら一人一人からプレゼントの大きな箱を渡されて、私は一つずつ丁寧に開けていった。
マリーからは横に大きくパニエの入ったバラ色のドレスとそれに合わせた靴。レースには可愛らしい青い花が刺繍されていた。
アルバートからは緑のレースが重なった、ワンピースに近いようなドレスに揃いの傘。
ロバートからはサテンの光沢があるロングドレスに扇と鞄で、少し和服を思い出させるような物だった。
そしてギルからは白地に藍色のタッセルや飾りリボンが着いているドレスに帽子と靴であった。
みんな、2週間もなかったのにどうやって用意したんだろう。
そして服を送るって言うのは子ども同士のプレゼントとしてはどうなんだろう。
私の疑問をよそに、王妃様筆頭としたお姉様方はどれを開けても興奮気味に拍手をしており、素敵ね!だとか確かにこんな物は持っておりませんね!と歓声を上げていた。
取り残された感は否めないが、お礼を言って私のお誕生パーティは無事に終わったのである。
・・・むしろここからが大変な気がするけども、今この場で私の心のうちに気がつく人はいない。
孤独、孤独だわっ。
「誰の誕生日が一番近いのかしら?」
「ロバートじゃない?」
「違うよ、マリーだよ」
やっぱり皆当初の目的を忘れてないのか。舌打ちをしそうになりながら、皆様をお見送りしてこれからの事で少しブルーになる。
行きたくない訳ではない、けれども参加して良いようにも思えない。その上、王族に頂いた服を着ていくなんて、また悪い噂がたちそうである。
今度は『シャポーの娘が王族に浪費をさせている』とか言われても否定出来ない。
「メアリ・・・今日頂いたお洋服ってきっと物凄いよね」
「はい。私もあの場では興奮して感動しかしておりませんが、改めて見るととんでもないですね」
目の前に燦然と輝くドレス達を焦点の合わない目で私たちは見つめた。
「はっ!意識を飛ばしておりました。お嬢様、汚したら大変です、はやく保管しませんとっ」
メアリ・・・しまうじゃないんだ。保管なんだ。
言うなれば『賜った』物だもんね。
細部を確認しながら保管したすべきとなり、アンナとリリーも呼んで4人で改めて服を丁寧にしまい始めることにしたが・・・
「お、お嬢様」
アンナが震える声でアルバートから貰った服の袖口を持ち上げた。
「どうしたの?」
「ここ、ここをご覧下さい」
袖口に着いている飾りボタンを見ると2匹の獅子が描かれている。あら芸が細かいわねーーでも見た事がある気がする。
「これって・・・まさか・・・」
息を飲んでそう言うとアンナが神妙な面持ちで頷く。
「ロードバーグ王家の紋章ですわ」
「ぎゃーっ!!いえ、多分、そんな、たまたまよ!偶然!!きっと職人さんが間違えただけよ!!!!」
「お嬢様〜こちらにも〜」
リリーはそう言ってロバートからの扇につけられた飾りを持ち上げた。
「もう当然かと思いますが、勿論こちらにも!リボンの中心部と帽子、靴全てに入ってます!!」
メアリはそう言ってギルからの一揃え持って来て、恐ろしい事を付け足した。
「しかも帽子の内側には王家の紋章とシャポー家の紋章がリボンで結ばれてます」
「「「・・・」」」
「婚姻の時みたいですね〜素敵〜」
リリーの暢気な感想に、私たちの声が屋敷にこだました。
なお、マリーからのドレスに関しては、後々分かった事であるが刺繍された青い花、忘れな草は彼女の側近や近しい友人にのみ送られる印であるそうだ。
これを知った時の私の顔ったらないだろう。絶句している中、ジェーン先生からの「多分、外国の人間でその印を持っているのはお嬢様だけじゃないかな?」という一言で本当にぶっ倒れた。
家宝にすべきレベルだった。
これを着て、フォンテールに行く勇気を誰かわけてくれ。




