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『女が絶滅した異世界で、伝説の『男神』の血を継ぐ俺が、世界に残りし『5人の乙女』を護り抜く件』

100年前——世界は「男が絶滅する呪い」に覆われていた。


そこに現れたたった一人の異世界人・相沢タツヤは、過酷な争奪戦をくぐり抜け、ヒロインたちと共に世界を救い、伝説の『男神』として歴史にその名を刻んだ。


……だが、歴史は皮肉な螺旋を描く。


タツヤの偉業から一世紀。世界は今、100年前とは正反対の絶望に見舞われていた。


原因不明の遺伝子変異『紅の沈黙(ルージュ・サイレンス)』。


16年前を境に世界で女の赤ん坊が一切生まれなくなり、古い世代の女性たちが次々と世を去った結果……現在、人口の99.999%は男となり、10代後半の少女たちを最後に人間の女性は完全に途絶えてしまった。


そして今、世界に現存する『人間の女性』は——たったの5人。


人類存続の希望であり、最高の価値を持つ存在『ラスト・ヴィーナス(最後の5人)』。


男だらけの荒涼とした世界で、かつての英雄・相沢タツヤの血を直接受け継ぐひ孫の少年——相沢ハルトの運命が、静かに動き出そうとしていた。








「おいハルト! さっさと荷物をまとめろ! 『黒鋼公国』の重装機甲部隊がこの街を包囲したぞ!」


「なんだって……!? クラインじいさん、目標は!?」


「決まっているだろうが! ここに潜伏している『最後の5人』の一人……森の聖女・クロエ様だ!」


地下研究所の警報ランプが真っ赤に点滅し、重厚な金属音が地上から響き渡る。


俺——相沢ハルトは、曾祖父譲りの大剣を背負い、冷や汗を拭った。


俺の体に流れているのは、100年前に世界を救った伝説の男神・相沢タツヤの血だ。曾祖父譲りの黒髪と漆黒の瞳、そしてどんな逆境でも折れない強い意志。


「ハルト様。敵部隊の先頭が第3防衛線を突破しました」


静かで透明感のある声で報告をしてくれたのは、俺の隣に立つ美少女——アイリスだ。


白銀の髪とルビーの瞳を持つ彼女は、100年前に曾祖父タツヤと共に戦った古代の自立型アンドロイド。


姿形は若い女性そのものだが、彼女は生殖機能を持たない機械の身体であるため『人間の女性』には含まれない。しかし、曾祖父のひ孫である俺を「新たなマスター」と認め、その圧倒的な知識と戦闘力でサポートしてくれる頼もしい相棒だ。


「アイリス、状況は!?」


「はい。現在、世界に存在する生殖可能な人間の女性は以下の【5人】のみです」


【森の聖女】クロエ(16歳)(コレットの血を継ぐ奇跡の治癒師。今、俺たちが保護している少女)


【聖皇国の美姫】セシリア(18歳)(旧王族の血を継ぐ高貴な姫君。巨大宗教国家に軟禁中)


【黒鋼都市の軍総督】ヴァルキリア(20歳)(ドSな女将軍の血を継ぎ、自ら軍隊を率いる武闘派)


【不夜城の支配者】ヴェロニカ(26歳)(歓楽街の女王の血を継ぎ、裏社会の男たちを繰る妖艶な美女)


【影のくノ一】レン華(17歳)(忍びの血を継ぎ、世界中を単身で逃亡し続けている無口な少女)


「……この5人が、世界中の数億の男たちや国家から命と身体を狙われています。もしどこかの大国が彼女たちを独占すれば、戦争の道具として非人道的に扱われ、世界の勢力均衡は崩壊するでしょう。さらに、彼女たち5人が一箇所に集められれば、一網打尽に奪われるリスクが跳ね上がります」


アイリスはルビーの瞳を俺に向け、粛々と分析を口にする。


「……なるほどな。どこかの国に独占されてもダメ、一箇所に集めても狙われる。なら、答えは一つだ」


俺は大剣の柄を固く握りしめた。


「俺たちが一人ずつ彼女たちを国家や軍閥の魔の手から救い出し……誰にも奪われない、それぞれの安全な隠れ家(聖域)へ逃がす! 彼女たちを道具にさせず、一人の人間としての自由と笑顔を守るんだ!」


アイリスの表情に、微かな温かい光が宿る。


「……了解いたしました。かつてタツヤ様が女性たちの心を守ったように……ハルト様、私もあなたと共に参ります」






「見つけたぞ! 最後の5人のうちの一人、聖女クロエだ!」


「捕まえろ! 彼女さえ手に入れば、我が国は世界の覇権を握れるぞ!」


地下シェルターの隔壁が爆破され、漆黒の重装甲兵たちがなだれ込んでくる。


その奥で、震えながら薬草の包みを抱きしめていたのは、栗色の髪をした可憐な少女——クロエだった。


「ひっ……! た、助けて……っ!」


「安心しろ、クロエ!」


俺は疾風のごとく踏み込み、大剣を一閃。強烈な衝撃波で襲いかかる兵士たちを一気に吹き飛ばした。


「なっ……なにか!? たった一人で重装兵を撃破しただと!?」


「あいつのあの黒髪……まさか、100年前の伝説の『男神』の血族か!?」


動揺する兵士たちを余目に、俺はクロエのもとへ駆け寄り、その小さな手を強く握りしめた。


「怪我はないか、クロエ! 俺は相沢ハルト。曾祖父さんの名にかけて、君を絶対に道具になんかさせない!」


「ハルト……さん……っ」


クロエの大きな瞳からポロポロと涙が溢れ出す。


「私……ずっと怖かったんです……。みんな私を『人類の資源』みたいに見て、奪い合おうとして……。でも、ハルトさんの手……すごく温かい……っ」


「ハルト様、追撃の第2波が来ます。脱出ルートを確保しました」


アイリスが両手から光の防壁を展開し、敵の銃砲撃を完璧に弾き返す。


「よし、脱出するぞ! アイリス、クロエを頼む!」


「了解。主(マスター)の言に従います」


地上へ飛び出すと、そこには広大な荒野と、彼女を奪おうと群がる無数の男たちの軍勢が広がっていた。


100年前、曾祖父タツヤは「世界中の女性たちから追われる」という過酷な逃亡劇を繰り広げた。


だが今、その血を引く俺・相沢ハルトが挑むのは——「男だらけの世界で、世界中に散らばる5人の乙女たちを支配と欲望から救い出し、その自由を守り抜く」という、果てしない戦いだ。


「ハルト様。次の目的地ですが……聖皇国に軟禁されている『セシリア姫』、ならびに不夜城の『ヴェロニカ』の動向が怪しくなっています」


アイリスが白銀の髪を風になびかせ、俺の隣で冷徹かつ正確にナビゲートする。


「分かった。まずはクロエを安全な隠れ里へ送り届けたら、次は聖皇国へ向かう!」


俺は隣でぎゅっと俺の服の裾を掴むクロエを守るように引き寄せ、大剣を青空へと掲げた。


「待ってろよ、世界に残された乙女たち! 俺とアイリスが……絶対にお前たち全員を救い出してやる!」


男神の血を引く少年と、サポートに徹するアンドロイド、そして世界に残された5人の乙女たち。


100年の時を超えた、新たな愛と救出の逃亡劇が、いまここに開幕したのだった——!


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