【ルナEND】 〜月下の怪盗が盗んだ『最後のお宝』と、二人だけの永遠の誓い〜
世界を覆っていた呪いが解け、男神・相沢タツヤを巡る世界の狂乱がひとまず落ち着いた頃。
世界中の国々やヒロインたちが挙って婚約を迫る中、俺が自分の生涯のパートナーとして選んだのは——どんな絶体絶命の危機も軽やかに笑い飛ばし、その華麗な手腕で俺を救い出してくれた神出鬼没の怪盗、ルナだった。
ある日の深夜。俺の自室の机の上に、一羽の黒
い紙飛行機が滑り込んできた。
広げてみると、そこにはルナ特有の綺麗な流線型の文字と、黒猫の刻印が残されていた。
『世界一の男神様へ。今夜、あなたの「生涯」を盗み出しに参ります。月が見える時計塔のてっぺんでお待ちしておりますね♪ ――愛を込めて、怪盗ルナより』
「相変わらず、気取った呼び出し方をするなぁ……」
俺は苦笑しながら、夜風の吹き抜ける学園都市の大時計塔へと向かった。
螺旋階段を上り詰め、屋上のバルコニーへと足
を踏み入れると、そこには蒼い月光を背に受けて佇む美しい少女の姿があった。
いつもの怪盗服ではなく、今夜のルナが身に纏っていたのは、月光を透かすような薄いシースルーのドレス。背中と胸元が大胆に開き、しなやかなボディラインが浮かび上がっている。紫銀色の髪が夜風に揺れ、仮面を外した素顔のルナが、小悪魔のような妖艶な笑みを浮かべて俺を振り返った。
「ふふ、時間通りですね、タツヤさん♪ 予告状を受け取って駆けつけてくれるなんて……私は『狙ったお宝』は逃がさない主義なんですけれど、自ら飛び込んで来てくれるのは大歓迎ですよ?」
「ルナ……。呼び出さなくたって、俺はもうルナのものだよ。世界中のどんな誘いも断って、ルナを選んだんだから」
俺がそう言って歩み寄ると、ルナの小悪魔的な瞳が一瞬だけキュッと揺れ、彼女はドレスの裾を少しつまんで上品にお辞儀をした。
「ええ、知っています。あなたが私を選んでくれたこと……夢みたいに嬉しくて、私、胸がずっと痛いんですよ? でもね……私、怪盗ですから。世界一のお宝を手に入れるには、ちゃんとした『お盗み(盗み出し)』の儀式が必要なんです」
ルナはそう言うと、袖口からシャキーンと冷たい金属音を響かせ、小道具を取り出した。
それは、繊細な銀の鎖でつながれた、光沢のある手枷(手錠)だった。
「さあ、腕を出してくださいな、タツヤさん♪」
「手枷……? まだ俺を捕まえる気か?」
「ふふ、捕まえるんじゃないですよ。『繋ぎ止め
る』んです」
俺が大人しく両手を差し出すと、ルナは手際よくカチャリと俺の右手首と自分の左手首を細い銀の鎖で繋ぎ合わせた。二人の距離が一気にゼロになり、彼女の甘い香水の香りと体温がダイレクトに伝わってくる。
「これで……逃げられませんね?」
小悪魔的に微笑むルナ。しかし、俺の手首に触れる彼女の指先は、驚くほど冷たく、微かに震えていた。
「ルナ……震えてるぞ?」
俺がそう指摘すると、ルナの完璧な笑みが一瞬だけ崩れた。
「……ずるい人。そういうところ、目ざといんだから」
彼女はぽつりと呟くと、俺の胸元に小さく額を預けてきた。
「……怖かったんですよ。私、ずっと……」
「え……?」
「怪盗なんて言っても、私は日陰の住人です。華やかな生徒会長や、天才魔導士の彼女たちと違って、あなたに差し出せる高貴な身分も、巨大な権力も何一つ持っていません……。だから、あなたが私を選んでくれたって聞いた時……本当は、嬉しさと同じくらい、不安で押し潰されそうだったんです」
ルナの口から漏れたのは、いつも強気で飄々とした怪盗の顔ではなく、一人の恋する少女としての切ない本音だった。
「ルナ……」
「世界中の誰よりも、私を愛してくれますか? 盗み出すことしかできない私を……ずっとずっと、側に置いてくれますか……っ?」
彼女が顔を上げると、その美しい紫銀の瞳から、大粒の涙がぽろぽろと零れ落ちていた。
「当然だろ。俺を命懸けで盗み出してくれた時から、俺のハートはとっくにルナに盗まれてたんだ。ルナ以外の誰も、俺の隣にはいらない」
俺は鎖の繋がれた手で彼女の細い腰を抱き寄せ、涙で濡れた彼女の頬を優しく包み込んだ。
「あ……っ……タツヤさん……っ」
「怪盗ルナ。今夜は俺が、お前の全部を奪わせていただくよ」
「……っ! ふふ……言いましたね? 私のすべて……残さず盗み取ってみなさいな……♡」
泣き笑いのような甘い微笑みを浮かべたルナを、俺はそのまま横抱きにして、時計塔の奥に用意されていた隠れ家のベッドへと運んでいった。
柔らかいベッドにルナを横たえると、シースルードレスの裾がはらりと乱れ、白くしなやかな脚が露わになった。鎖の音があでやかに響く。
「タツヤさん……手加減なんて、したら許しませんよ……♡」
ルナは自らドレスの肩紐を滑らせ、豊かな胸元と美しい素肌を俺の前に曝け出した。その瞳は潤み、熱い吐息を漏らしている。
俺は彼女の上に覆いかぶさり、小さな唇を力強く塞いだ。
「んむ……っ♡ ……ふあぁっ……♡ んあ……タツヤさん……っ♡」
深く、濃密なキス。
互いの舌を絡ませ合うたび、ルナの口から甘い悲鳴が零れ出る。怪盗としての余裕はどこへやら、彼女は俺の首に必死にしがみつき、愛をねだるように何度も唇を重ねてきた。
俺の手が彼女の滑らかな肌を滑り、可憐な乳房を優しく包み込む。
「あんっ……!? あぁっ……♡ そこ……ダメです……っ♡ 指先が……熱い……っ♡」
「ルナの身体……すごく柔らかくて、温かい
な」
「当たり前……ですよ……っ♡ あなたに……触れられるために……今日まで生きてきたんですから……っ♡」
俺が彼女の胸の先端を優しく捏ね上げると、ルナの身体がビクッと跳ね上がり、鎖がチャリンと甘い音を立てた。彼女の頬は真っ赤に染まり、全身が歓喜の熱で打ち震えている。
「あぁっ……♡ タツヤさん……私……もう我慢できません……っ。私の中に……あなたの愛を注ぎ込んで……っ♡」
彼女は太ももを自ら大きく開き、濡れそぼる最も秘めやかな場所を露わにした。
「ルナ、愛してる」
「私も……世界で一番……愛しています……っ♡ 私をあなたのものにしてぇっ……!」
二人の身体が一つに重なり合った瞬間。
「はあぁぁぁぁっ……っ♡♡♡」
ルナの口から、この上なく甘く艶やかな絶頂の悲鳴が響き渡った。
彼女の狭く熱い体腔が俺を強く締め付け、逃がさないとばかりに激しく脈打つ。
俺は彼女の腰をしっかりと抱え込み、月光が注ぐ部屋の中で、何度も、何度も彼女の奥深くへと愛を突き立てていった。
「あぁっ……♡ んっ……タツヤさん……タツヤさんっ……♡ 私を……私のお宝を……もっと甘く壊して……っ♡」
鎖の響く音と、情熱的な二人の結合音。
怪盗の仮面を完全に脱ぎ捨てたルナは、ただの愛おしい女として、俺の名を叫びながら何度も快楽の頂へと昇りつめていったのだった。
翌朝。
時計塔の窓から、柔らかな朝の光が差し込んでいた。
目を覚ました俺の胸元には、すやすやと心地よさそうに眠るルナの姿があった。
乱れた紫銀の髪、うっすらと赤みの残る白い肌、そして腕にはまだ昨夜の絆である銀の鎖が繋がれている。
俺が彼女の鼻先を優しく突くと、ルナは「ん……ぅ……」と可愛らしい声を上げて目を覚ました。
「おはよう、ルナ」
「……おはようございます、私の素敵な泥棒さん♡」
ルナはうっすらと瞳を開くと、心底幸せそうに目を細め、俺の胸にすり寄ってきた。
「ふふ、昨夜はすごかったですね。私のハートどころか、身体も何もかも……全部タツヤさんに盗まれちゃいました」
「ルナが『盗んで』ってねだってきたんじゃないか」
「〜〜っ! もう、野暮なことを言わないでくださいな!」
ルナは真っ赤になって俺の胸をポカポカと叩いたが、すぐに満足そうに微笑んで、俺の手をぎゅっと握りしめた。
「タツヤさん。私、決めました」
「何を?」
「これから二人で、世界中を旅(逃避行)しましょう! 世界中の追手から逃げながら、美味しいものを食べて、綺麗な景色を見て……二人だけの思い出を盗みまくるんです♪」
ルナは悪戯っぽくウインクしてみせた。
「世界一の男神を盗み出した大怪盗と、その男神の駆け落ち……最高の物語だと思いませんか?」
「ああ、最高だな。ルナとなら、世界の果てまで逃げ出してやるよ」
俺がそう答えると、ルナは嬉しそうに声を上げて笑い、俺の唇にちゅっと軽いキスを落とした。
「決まりですね♪ それじゃあ出発です、私の旦那様♡」
朝日に照らされながら、手枷の鎖がチャリンと心地よい音を立てる。
世界を救った大英雄と、世界一美しい怪盗の、二人だけの甘く果てしない大冒険が、いまここから始まるのだった——。




