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【第41話】 黒き死の絶壁最深部と、真の黒幕の正体

ゴゴゴゴゴゴ……ッ!!


重厚な古代の鉄扉が、シルヴィアの放った強烈な風の闘気によって内側から豪快に吹き飛ばされた。


「入りますわよ! 皆さん、気をつけて!」


舞い散る石塵の中、突剣を構えて先頭を切るシルヴィア。


その後ろをシャーロットの防壁魔法、バルバロ

ッサの魔導銃、そして俺の手をしっかり握り締めたアイリスが続く。


たどり着いたのは、絶壁の最深部——世界中の魔導ウィルスが集約されているという【中枢制御ドーム】だった。


薄暗いドームの中央には、禍々しい紫色に光る巨大な水晶——【絶望のジェネレーター】が脈打つようにうねっている。


「これが……100年前に男の遺伝子を崩壊させた、魔導ウィルスの発生源……!」


俺が息をのんだその時、ドームの奥から、コツコツと上品で冷たいハイヒールの足音が響いてきた。


「……よくぞここまで辿り着きましたわね、相沢タツヤ様。そして、愚かなる反逆者たちよ」

闇の中から現れたのは、漆黒のドレスを纏った、息を呑むほど妖艶な美貌の女性。


——【黒の結社】の最高指導者にして、世界を裏から牛耳る真の黒幕、**【女王・エリス】**だった。


冷徹なルビー色の瞳が、じっと俺を捉える。


「 あなたが、100年前に男たちを絶滅させた元凶なのね!」


シルヴィアが突剣をエリスに向け、怒りに満ちた声を張り上げる。


だが、エリスは冷たくフッと鼻で笑った。


「元凶、ね……。言葉が過ぎますわ、生徒会長さん。私はね、ただ『理想の世界』を作ろうとしただけですのよ」


「理想の世界だって……?」


「ええ。男という生き物は、いつの時代も争い、暴力で世界を汚し、そして……愛する女性たちを傷つける。だから私は、100年前にすべての男性の遺伝子を書き換え、この世界から『男という不純物』を排除したのですわ」


エリスはうっとりと両手を広げ、歪んだ笑みを浮かべた。


「お陰でこの世界は平和になりました。争いはなくなり、女性だけの完璧な楽園が築かれた……。ですが、一つだけ誤算があった。それが……あなたという【異物(100年ぶりの真正なる男神)】の存在ですわ!」


エリスの視線が、ギラリと熱を帯びて俺を貫く。


「あなたが現れてから、世界中の女どもが狂い始めた……! あの誇り高き帝国も聖王国も、歓楽街の女たちも、みんなあなた一人のために正気を失っている! ……なんて愚かしくて、なんて美しい狂気かしら!」


「それを仕掛けたのはお前だろ! 責任転嫁すんな!」


俺は全力でツッコミを入れた。


「ふふ、だからこそ……あなたをここで私のものにし、私の専用の【永遠の苗床(マスター・ブリーダー)】として永久凍土の地下深くに封印して差し上げますわ!」


エリスがパチンと指を鳴らした瞬間、ドームの天井から無数の【黒き魔導拘束鎖】がシャキーンと展開された!


「タツヤさんを渡しませんわ!」


ズバァァァン!!


シルヴィアが突進し、一閃で鎖を切り裂く!


「勝手にタツヤを苗床扱いするんじゃないわよ! 私たちの実験材料(であり特別な存在)なんだから!」


シャーロットが極大の爆破魔法をエリスの足元へ叩き込む!


「ハハハ! 旦那を好き勝手できるのは、この俺たち海賊の特権なんだよ!」


バルバロッサが二丁拳銃を乱れ撃つ!


「——排除する」


アイリスが背中の重火力を全開にし、エリスの中枢制御ドームへ向け、凄まじい制圧射撃を浴びせかけた!


ドガァァァァン!! ボガァァァン!!


「なっ……!? なんという火力の娘たち……っ!」


エリスが防壁魔法を展開しながら後退する。


「タツヤさん、今ですわ! あの【絶望のジェネレーター】を破壊すれば、ウィルスの呪いは完全に消滅します!」


「おう、任せろ……!」


俺はアイリスの手を離し、一気にジェネレーターの真下へと走り出した。


心臓がバクバクと鳴り響く。


「おさせませんわぁぁぁっ!」


エリスが激高し、黒い魔導の槍を俺に向けて投げ放った!


「タツヤ!」


レンが影から飛び出し、間一髪でその槍を自身の短剣で弾き飛ばす。


「ふふ、怪盗の邪魔はさせませんよ♪」


ルナが手枷の鎖でエリスの動きをガッチリと縛り付ける!


「タツヤ。これを……使え!」


ベアトリクスが俺に向かって、アヴァロンのエ

ネルギーを結晶化させた【世界樹の光の聖剣】を投げ渡してくれた。


空中で聖剣を受け取る俺。


「これで……終わりにする!」


俺は渾身の力を込め、光り輝く聖剣を【絶望のジェネレーター】の中心へと叩き込んだ!


バァァァァァン!!!!!!


眩い光がドーム内を完全に包み込み、耳をつんざく爆音とともに、紫色の水晶が粉々に砕け散った!


「あ……あああ……! 私のジェネレーターが……理想の世界の礎がぁぁぁっ……!」

エリスの絶叫が響き渡る中、ドーム全体が崩壊を始める。


「みんな、脱出するぞ!!」


俺が叫び、シルヴィアの手を引いて出口へ走り出す。


崩れ行く【黒き死の絶壁】の最深部から、新型【ルナティック号】に飛び乗った俺たちは、崩壊する闇の要塞を背にして、一気に青空へと脱出した!





雲海の上。


「はあ……はあ……! やった……のか……?」


甲板にへたり込み、俺が空を見上げると——

世界中を覆っていた不気味な黒い雲がサーッと晴れ渡り、暖かく柔らかい太陽の光が、この世界全体を優しく包み込んでいった。


『――緊急警報。世界全域の魔導ウィルス消滅を確認』


アイリスの頭部のモニターが、穏やかな青色に

光る。


『……これより、世界中に「正常な新生児(男児を含む)の誕生確率」が復元されます』


そのアナウンスを聞いた瞬間、遠くの空に浮かぶ聖王国、帝国、世界樹の領土から、一斉に歓喜の花火と祝福の鐘の音が響き渡った。


「やった……! やったわタツヤさん!」


シルヴィアが嬉し涙を流しながら俺に抱きついてきた。


「世界中に、本当の平和と未来が戻ったのね……!」


シャーロットもメガネを外し、感極まって俺の反対側の腕にしがみつく。


「ハハハ! やったな旦那! 世界を救った大英雄だぜ!」


バルバロッサが豪快に笑い、レンやルナ、ベアトリクスも穏やかな笑顔で俺を見つめている。


「マスター。お疲れ様でした。……任務完了につき、充電率を100%に復旧させます」


アイリスがいつもの無表情のまま、俺にピタリと寄り添い、ぎゅっと手を握ってきた。


この世界に平穏が戻り、俺の元にもやっと落ち着いた日常が訪れるはずだ!

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