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【第30話】 十万の酔っ払いVS黒の結社、そして深海への連行!?

「『黒の種馬』だと……!? ふざけたネーミングセンスしてんじゃねぇぞ!!」


海上に浮上した【深海魔導潜水艦】の甲板に立つカミラに向かって、俺は全力のツッコミを叩きつけた。


「ふふ、なんとでもお言いなさい」


【黒の結社】の幹部カミラは妖しく微笑むと、黒いドレスの袖から紫色の魔導符を取り出した。


「我が結社が誇る古代秘術【絶対服従・精神汚染】……これさえ注ぎ込めば、どれほど誇り高い男であれ、私の忠実な傀儡(かいらい)……ううん、私の言いなりになる愛の奴隷に早変わりですわ♡ さあ、私にその貴重な『種』を捧げなさい!」


カミラの合図とともに、潜水艦のハッチから無数の【黒の魔導テンタクル(機械触手)】がドバッと噴出し、先端から甘い匂いの漂う不気味な紫色の煙を撒き散らしながら俺に向かって伸びてきた!


(うわぁぁぁっ!? 今度は触手と洗脳ガスかよ!? 属性過多なんだよこの世界!!)


俺が身構えた——その瞬間。


「「「「ウオオオオオオオオオッ!!!!」」」」


海上の水上都市バーミューダを揺るがす、地鳴りのような怒号が響き渡った。


発信源は——宴会を邪魔され、なおかつ「自分たちの男神(お頭の旦那)」を奪われそうになって激怒した十万の酔っ払い女海賊たちだった。


「てめぇ何様のつもりだぁぁぁっ! 宴会の最中に冷や水差し込んでんじゃねぇ!」


「『黒の種馬』ぁ? ふざけんな! あの男神様は私たちのアイドルなんだよ!」


「私たちの酒と肉と男を奪う奴は……魚の餌にしてやるぅぅぅっ!」


「「「「突撃ぃぃぃぃぃぃっ!!!(狂乱)」」」」


ズガガガガガガガァァァン!!


酒で理性のタガが完全に外れた女海賊たちが、斧や大砲、ダイナマイトを手に、なんと海へダイブして潜水艦へ直接泳いで襲いかかった!


「なっ……何なのですかこの野蛮な女どもは!? 正気ですか!?」


カミラが顔を青ざめさせて後退する。


「ハハハハ! これが海の掟ってやつだ!」


空賊船長バルバロッサが、真っ赤に熱した二本の魔導銃を撃ちまくりながら叫ぶ。


「俺の男に手を出す奴は、潜水艦ごと鉄くずに変えてやるぜ!」


「生徒会令違反……どころか、人道に対する罪ですわ!」


酔っ払って千鳥足のシルヴィアが、フラフラし

ながらも凄まじい風の闘気を突剣に纏わせる。


「タツヤさんを奴隷になどさせません! 【神速・突風斬】!」


「私の……私のタツヤになにすんのよぉぉぉっ!!」


シャーロットが泣き叫びながら、巨大な【極大流星爆破魔法】を潜水艦の真上に展開する!


「「「「全員、タツヤ(様)に近づくなぁぁぁっ!!」」」」


シャーロットたちの嫉妬魔法と、十万の海賊たちの肉弾攻撃が炸裂し、カミラの【黒の魔導テンタクル】が一瞬で粉々に吹き飛んだ!


ドガァァァァァン!! ボガァァァン!!


「くっ……バカなの!? この街の女どもは全員頭がおかしいの!?」


カミラは爆風でドレスを濡らしながら、信じら

れないものを見る目で大混乱の海を見つめた。


十万の酔っ払い女海賊の圧倒的暴力の前に、【黒の結社】の精鋭部隊が完全に圧倒されている!


「よし……! 今だ、みんなでカミラを——」


俺が声を張り上げた、その時だった。


カミラが懐から取り出したのは、漆黒に輝く小さな立方体——【空間歪曲装置】だった。


「ええい、鬱陶しい女どもめ! ……だが、男神(ターゲット)さえ手に入ればそれでいいのです!」


カチッ。


スイッチが押された瞬間、俺の足元の海面が漆黒の空間の穴へと変貌した!


「うわあっ!?」


「タツヤ!?」


足場を失った俺の身体が、すぽんと空間の穴へと吸い込まれていく!


「タツヤさんっ!!」


シルヴィアが手を伸ばすが、あと一歩届かない!


「ふふふ……かかりましたわね! この空間転移の罠で、タツヤ様だけを潜水艦の最深部へ直送させていただきましたわ!」


カミラは勝ち誇った笑みを浮かべると、素早く潜水艦のハッチの中へと飛び込んだ。


「潜水艦、緊急潜航! 深海一万メートルへ向かいなさい! 追っ手を撒きますわ!」


バシューッ!!


潜水艦のハッチが閉じられ、巨大な金属の塊が瞬く間に泡を立てて漆黒の海の中へと沈んでいく。


「待ちなさいぁぁぁぁっ!!」


「タツヤを返しなさい!!」


ヒロインたちの叫び声が海原に虚しく響き渡った——。







【深海魔導潜水艦・最深部 特別拘束室】


プシュー……。


「痛たた……。ここ、どこだ……?」


暗く冷たい部屋で、俺は体を起こした。


周囲は分厚いガラスで覆われ、窓の外には光の届かない漆黒の深海世界と、妖しく光る深海魚たちが泳いでいるのが見えた。


「あら……お目覚めかしら? 男神様……♡」


部屋の扉が開き、ドレスの濡れ鼠になったカミラが、舌なめずりをしながら入ってきた。その手には、怪しく光る【洗脳の首輪】が握られている。


「ここは海面下三千メートル……誰も助けに来られない、あなたと私だけの密室ですわ」


「な、なんてこった……! また密室監禁パターンかよ!」


「ふふ、いくらあの狂暴な女たちでも、深海の圧力には勝てません。さあ……観念して、私の忠実な『黒の種馬』になりなさい……♡」


カミラが妖艶に微笑みながら、ゆっくりと俺に迫ってくる。


逃げ場なし。助けなし。水圧三千メートルの深海で、俺の「絶対貞操防衛線」は史上最大の危機を迎えていた!


(誰か……誰でもいいから助けてくれぇぇぇっ!!)


その時——


ドッゴォォォォォォン!!!!


潜水艦の側面に、外からとてつもない衝撃が走り、分厚い耐圧装甲が悲鳴を上げた!


「な、何事ですの!? 水圧で壊れるはずのない装甲が!?」


カミラが慌ててモニターを見る。


モニターに映し出されていたのは——


超高圧の深海の中を、生身(+簡易潜水魔法)で素手で潜水艦の装甲を殴り破ろうとしてい

る、鬼の形相のバルバロッサたちの姿だった。


『タツヤを……返せぇぇぇぇぇっ!!!』(水中でブクブク泡を吹きながら激怒するシルヴィア&シャーロット&バルバロッサ&レン&ルナ&ベアトリクス)


「生身で水圧三千メートルを潜って追ってきたぁぁぁぁっ!??!?」


カミラの悲鳴と俺の絶叫が、深海の潜水艦の中に響き渡るのだった——!


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