【第21話】 ドS軍人美女の降臨と、絶対防衛線
ブゥォォォォォン……!
暗くなりかけた夕空を切り裂き、学園都市アルカナムの上空に巨大な影が落とされた。
雲を押し開いて姿を現したのは、最大軍事国家『帝国ガイザル克』の誇る超大型浮遊要塞【グラン・ガイザル】。その周囲を、無数の重装甲飛空艇が蜂の巣のように取り囲んでいる。
「な、なんですかあの巨大な船は……!? 学園がまるまる隠れるくらい大きいですわ!」
シルヴィアが上空を見上げて顔を強張らせる。
「帝国軍の切り札……魔導要塞艦隊よ。本気でこの街を灰にする気だわ!」
シャーロットが冷や汗を流しながら杖を握り直す。
「冗談じゃねえぞ! なんで俺一人の貞操のために、国家規模の大戦争が始まりそうになってんだよぉぉぉっ!?」
俺の悲痛な叫びが夕空に響く。
だが、事態は一刻の猶予も許さなかった。
要塞の甲板から眩い漆黒の魔法陣が展開されると、学園の広場の中央にズガァン! と目もくらむような雷光が落ちた。
「キャァァァッ!?」
女子生徒たちが悲鳴を上げて後退する。
雷光が収まった広場の真ん中に立っていたのは——先ほどスクリーンに映し出されていた銀髪の軍人美女だった。
漆黒の軍服は胸元が大胆に開き、豊満な胸が強
調されている。手に持った黒革のムチをパンッと鳴らし、軍靴のヒールで踏みつけるように一歩踏み出した。
「ふむ……ここが軟弱な学園都市か。実に不快な甘ったるい匂いがするな」
彼女は冷酷な氷の瞳で俺たちを舐め回すと、俺の姿をとらえた瞬間、その瞳にゾクッとするほど濃厚なサディスティックな光を宿した。
「……見つけたぞ。100年ぶりの『男』……相沢タツヤだな?」
「っ……!?」
「私は帝国第1機甲師団長、クラリス少将だ。タツヤ殿、貴様をこれより『帝国直轄・種馬保護施設』へと連行する」
「言葉を選べ!! 種馬って言ったぞ今!!」
俺がツッコミを入れると、クラリス少将は妖しく口元を吊り上げ、黒革のムチを俺の頬にそっと添えてきた。
「フフ、拒否権はない。我が帝国へ来れば、貴様を厳重な鎖で繋ぎ、朝から晩まで我が帝国の最精鋭の女兵士たちと『国家繁殖事業』に励んでもらう。……もちろん、最初は私自らが、たっぷりと『調教』してやるがな……♡」
「ヤバい! 今までのヒロインたちと違って属性がガチのドSだ!!」
ゾクゾクするような威圧感と、逃げられない捕食者の視線。俺の背筋に冷たい汗が流れる。
だが——
バシィィィン!!
風の刃が走り、クラリス少将のムチを真っ二つに切り裂いた。
「そこまでです、無礼者!」
シルヴィアが突剣を構え、俺と少将の間に割り込む。
「タツヤさんは学園都市の……いいえ、私たちの宝です! 貴方たちのような冷酷な軍人に引き渡すわけにはいきません!」
「そうよ! タツヤの『観察権』は私のものなんだから!」
「へっ、帝国がなんだってんだ。俺の獲物を奪おうってなら、要塞ごと撃ち落としてやるぜ!」
「当学園の生徒(と私の至宝)に手を出すなら、ヴェネツィアの財力で国家ごと買い叩きますわよ?」
普段は俺の身(と純潔)を巡って争っているヒロインたちが、今この瞬間、**『帝国からタツヤを守る(奪わせない)』**という不純かつ固い結束で一つになった!
「フッ……威勢だけは一人前か、愚かな女どもめ」
クラリス少将は残されたムチの柄を捨てると、冷徹に手を高く掲げた。
「総員、突撃せよ! 抵抗する者は容赦なく排除しろ! ただし——男は無傷で捕獲せよ!」
『ハッ!!』
上空の艦隊から、無数の降下ポッドが雨のように降り注ぎ、中から重装甲に身を包んだ帝国の
女兵士たちが次々と飛び出してきた!
「「「「「タツヤ(様)を守れぇぇぇぇぇっ!!!!」」」」」
学園の五千人の女子生徒たちと、帝国軍の甲冑部隊が激突する!
魔法の火柱が上がり、剣撃の火花が散り、広場は一瞬にして空前の大乱闘状態へと突入した!
「タツヤ! ここは私たちが食い止めますわ!」
シルヴィアが風の魔法で敵の装甲兵を吹き飛ばしながら叫ぶ。
「今のうちに、さっきの【旧・男子専用寮】へ逃げなさい! あそこなら強固な結界が張られているわ!」
シャーロットが魔法陣を展開しながら俺の背中を押した。
「わ、分かった! みんな、死ぬなよ! 」
俺はヒロインたちの後ろ髪を引かれつつ、乱戦の広場を脱出。
夕闇に包まれた学園の裏手にある、苔むした洋館——【旧・男子専用寮】へと全力でダッシュした。
ハァ……ハァ……ハァ……!
「ここか……!」
重厚な鉄の扉を押し開け、俺は男子専用寮の中へと滑り込んだ。
すかさず扉を閉め、内側から重い鍵をかける。
カチャン! ギギギギ……!
扉に取り付けられた古代の魔法陣が青く光り、寮全体を包み込む強力な防護障壁が起動した。
「ふぅ……生き延びた……! これで一安心——」
ホコリっぽいエントランスで胸をなでおろした、その時だった。
「……あら? 案外、早く着きましたのね♪」
「!?!?」
薄暗い寮の廊下の奥から、パタパタとスリッパの音が響いた。
暗闇から現れたのは——制服の上着を脱ぎ、動きやすい部屋着(透け感のあるシルクのネグリジェ)を纏った、理事長のエレオノーラだった。
「り、理事長……!? なんで中にいるんだよ!?」
「ふふ、忘れましたの? この寮の鍵を持っているのは、管理者である私ですのよ♪ 広場でみんなが派手に戦っている隙に、一番乗りで『鍵』を開けて待っていましたの」
エレオノーラは妖艶に微笑むと、カチャリとドアの鍵を二重にロックし、その鍵を自分の豊満な胸元の谷間へと深々と押し込んだ。
「さあ……誰にも邪魔されない、私とあなただ
けの安全なシェルターですわ。……思う存分、二人で『避難』を楽しみましょうね……♡」
外では帝国軍との決戦。
そして内では、逃げ場のない密室で大人の色香全開の理事長との一騎討ち!?
俺の純潔を賭けた異世界生存戦略は、ついに最終防衛ライン(男子寮)で最大の危機を迎えるのだった——!




