第4話・アッシュとアクセサリー
「これ……何でできてるんですか」
ソラは思わず聞いた。手渡されたネックレスを手のひらに乗せて眺める。鎖の一つひとつは細いが、妙に重みがあった。光の当たり方によって色が変わる気がして、目を細めた。
「さあな。拾いもんだ」
「拾い物?」
「旅先でな」
それ以上は言わなかった。ソラはもう一度ネックレスを見た。村で見てきた鉄や銅とは明らかに違う。かといって金や銀にも見えない。不思議だな、と思った。
リゼアはブレスレットを受け取って、表面を指先でなぞった。妙にスベスベしていて気持ちがいい。
「受け取っといてくれ。俺には使い道がない」
「……いいんですか」
「構わん」
断る気にはなれなかった。ソラはネックレスを首にかけようとしたが、金具が指先で滑った。
「ごめんリゼア、付けてくれない?」
リゼアはため息をひとつついて、ソラの後ろへ回り込んだ。細い指が金具をつまみ、首の後ろでカチリと留める。
「どう?似合うかな」
「まぁまぁじゃない?」
ソラが照れながら頭をかいた。アッシュがそれを見ていた。
「……仲いいな、お前ら」
口の端が上がった。
「別に」
「そうそう、別に」
そういうソラの耳は少し赤かった。アッシュは二人を眺めてから、息をひとつ漏らした。
「まいったな」
風が木々を揺らした。
「ま、喜んでもらえたならよかったよ」
アッシュが空を見上げた。木々の隙間から見える空が、橙色に染まり始めていた。
「俺はそろそろ行く」
腰の剣を手で押さえ、荷物を肩にかける。ソラも腰を上げた。
「本当に助かりました。あのまま一人だったら……」
「構わん、それよりも強くなれ。せっかくアレシスに行くんだろ」
アッシュが踵を返した。二人は揃って頭を下げた。
「ありがとうございました!」
振り返らずに片手を上げた。足音が遠ざかっていった。
やがて木々の向こうに消えた。
二人はそこに立ったまま、黙っていた。
「アッシュさん、強かったね」
ソラは答えなかった。剣の柄を、そっと握った。
——強くなければ、またああなる。
ソラは前を向いた。
「行こう。アレシスはまだ遠い」




