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星脈と位相の狭間で  作者:
アレシス学院編
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29/35

第28話:ソラvsローライト



 準決勝の日は、朝から風が吹かず、旗が垂れたままで、訓練場は賑やかだが緊張感も混じっていた。


 柵の外は昨日より人が増えていた。応援に来た他学年の生徒や、噂を聞きつけた保護者らしき姿も混じっている。エルダーが伸びをしながら、その人だかりを眺めた。


「うわ、今日えぐいな人の数」


「準決勝だからな」


「ふぅ〜、緊張してきた」


「今更かよ」


 ソラが呆れた声で返すと、エルダーは自分の頬を両手で叩いた。


「よっしゃ!気合入れ直しだ!!」


「叩く前から気合入ってただろ、お前」


「ソラ、お前もやってやろうか!」


「いやいやいやいや!遠慮しとくよ」


 もう少しで頬を叩かれるところだった。


 対戦表の前には人だかりができていた。準決勝、第1試合はソラとローライト。第2試合はエルダーとリンネ。


 リンネはいつもローライトの隣にいる2人組のうちの1人だ。ローライトに負けず劣らずか、ここまで勝ち上がってきたらしい。


 決勝の枠は空白のまま、二本の線が上へ伸びている。


 ミオが人混みを縫って駆け寄ってきた。


「やっほー!ソラ!準決勝まで勝ち上がったらしいじゃん!やっるぅ〜!」


「ありがとう。たまたまな所もあるけどね」


「それはそうと聞いた? 今日で決勝の相手決まるんだって!」


「知ってる」


「魔法科の大会は明日からなんだよ!リゼア、当たる相手もう決まってるみたい」


「そうなのか」


「フィーナって子らしいんだけど、リゼアの相手なら誰でも多分って感じじゃない?」


「まぁ、そうだろうね」


 事実、リゼアに関しては相手が誰だろうとあまり関係ない気がしていた。


「そういうミオも出るんだろ。相手は?」


「まだ分かんない、抽選これからみたい」


 少し不安そうな顔をしたのも一瞬で、すぐにいつもの調子に戻る。


「あ、そういえば最近タピオカ?にハマっててさ」


「また新しい食べ物か?大会は大丈夫なの?」


「………えへへ〜」


 ミオは苦笑いするとそのまま後ずさって去っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 開始の合図とともに、審判の声が響いた。


「準決勝、第1試合。ソラ選手対ローライト選手!」


 舞台に上がると、ローライトは既に待っていた。相変わらずの気だるげな目でこちらを見ている。


「さて、お待ちかねだね」


 ローライトの声には、いつもの見下すような響きがあった。ソラは黙って構えを取った。答える気はなかった。


 合図が鳴る。


 先に仕掛けたのはローライトだった。ルリの時にも見た連続した踏み込み。剣撃を繰り返す度に速さが増していく。ソラは受けるだけで精一杯になりかけたところで、ふと、アスカの声が頭の奥をよぎった。


(踏み込みが早すぎる。重心が高い)


 言われ続けたが、意識しても直せなかった言葉だった。今、ローライトの3撃目を受け止めた瞬間、腰の位置がわずかに浮いているのが自分でも分かった。


 4撃目が来る。


 膝を落とす。意識的に、深く。


 重心が下がった分、受ける衝撃が腕ではなく足に逃げていった。木剣を跳ね返す感触が、いつもより軽い。


「……ん?」


 ローライトの動きが、初めて少しだけ止まった。


 その隙を、ソラは見逃さなかった。踏み込みながら振り下ろす。アスカから教わった、剛の型、縦の一撃。


 ローライトが横に跳んでかわす。木剣が空を切り、地面すれすれで止まった。


「へえ」


 ローライトの声から、退屈さが少し抜けていた。


 そこから先は拮抗した。互いに1撃も当てられず、木剣がぶつかる音だけが何度も響く。


 カン、カン、カン───


 観客席から声が上がり始める。


「まだ決まらねぇのか」


「ローライトが押し切れてない……?」


 柵の外でエルダーとルリの声が聞こえた。


「いけソラ!」


「がっ、頑張ってソラ!」


声が届いたその折、ソラの中で何かが噛み合った感覚があった。ローライトの速さに乗せた横から振り払うように繰り出された一撃。それを下からすくい上げて弾いた瞬間、理想の構えになる。


 (感情を乗せて振れ)


 アスカに言われた言葉を思い出す。


 剣先が、ローライトの喉元寸前で止まる。


 ローライトの木剣は、宙を舞ってから地面に落ちた。


 静寂のあと、審判の声が響いた。


「勝者、ソラ選手!」


 歓声が一気に膨らんだ。ソラは肩で息をしながら、剣を下ろす。ローライトはしばらく動かなかった。落ちた木剣を見下ろし、それから拾い上げる。


「……重心を変えたか」


 誰に向けたでもない呟きだった。ソラは何も返さなかった。ローライトは軽く肩をすくめ、舞台を降りていく。すれ違いざま、いつもの見下した目ではなかった。何かを測るような目だった。


  


 柵の方に戻ると、エルダーが両手を上げて突進してきた。


「いやー、すげーなソラ最後の一撃!」


「応援してくれてたの聞こえてたよ。そのおかげかな」


「おーおー!嬉しいこと言ってくれんじゃねぇか!」


 背中を叩かれ、ソラは咳き込んだ。


「痛い痛い」


「悪ぃ悪ぃ、興奮しすぎた」


 少し離れた場所で、リゼアが腕を組んでこちらを見ていた。目が合うと、小さく口の端を上げる。それだけで、何も言わずに人混みの向こうへ消えていった。

今回もお読み頂きありがとうございました!


今回はソラvsローライトのお話でした!なんとかローライトに勝てたソラ、次回はエルダーの試合のお話です!次回もよろしくお願いします!


よければアクションやTwitterのフォローとかお願いします! @kuronekomaru015


未完成ですが一応作品HPあります→https://hasuki-kuro.github.io/seimyaku/


次回投稿予定ですが、8月5(水)6時を想定しております。


何卒よろしくお願いします!


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