第27話:ルリvsローライト
休憩を挟んで、2回戦の1戦目がルリとローライトの組み合わせになった。対戦表が張り出された直後から、この一戦のことをやけに人が話していた。
「うわ、注目浴びてんな」とエルダーが言う。
「あれだけ圧倒的だったからな…」
ソラは短く返しながら、試合場の方に目をやった。既にローライトが軽く体を動かしている。対してルリは少し離れた場所で1人、木剣を胸の前で抱えるように持っていた。
「固まってるけど…大丈夫か、あいつ」
固まったルリを見てソラが声をかける。
「ルリ、大丈夫?」ルリはびくりと肩を震わせてから振り向いた。
「あ……うん。多分」
「多分って」
「……大丈夫、たぶん」
同じ言葉を繰り返す時点で、あまり説得力はなかった。エルダーが横から口を挟む。
「さっきのお前、めちゃくちゃ良かったんだから。あれ出せばいけるって」
「あれは、その……たまたまで」
「たまたまでも出たなら、また出せるだろ」
ルリは何も言わず、視線を試合場の方に落とした。ローライトが既に舞台の中央で待っている。
「第4試合、ルリ選手対ローライト選手!」
審判の声とともに、二人が向かい合う。ローライトはいつもの気だるげな目でルリを一瞥した。
「1回戦、見てたよ」
「……」
「あれ、本気じゃなかったんだろう?」
ルリは答えなかった。答えられなかった、というほうが近かった。
開始の合図が鳴る。
ローライトの動きは、1回戦とは明らかに質が違った。全力ではない様子見の速さ。だが、それでも常人にとっては十分すぎる速さだった。
一撃、二撃。ルリは防ぐだけで精一杯で、三撃目で体勢を崩す。
「くっ……」
膝が地面につきかけたところで、なんとか木剣で支えた。倒れそうになった拍子に、視界の端でローライトの退屈そうな目が見えた。
その目が、ルリの中で何かに触れた。
四撃目を弾いた木剣の軌道が、明らかに1回戦のあの一瞬と同じ質を帯びていた。
踏み込みが変わる。ローライトの余裕のあった表情が、初めて強張った。
「……っ!」
舌打ちとともに、ローライトの動きが跳ね上がる。様子見はそこで終わり、速さも重さも一段引き上げられた一撃がルリの木剣を弾き飛ばした。
勢いのまま、切っ先が首元にぴたりと突きつけられた。ローライトの息が、わずかに乱れていた。
「勝者、ローライト選手」
審判の声が響いた瞬間、ルリはその場に座り込んだ。木剣が、カラン、と音を立てて地面に転がる。
「くぁー、おっしぃー!僅差だったのにな!」
エルダーが柵を叩きながら悔しがった。ソラは何も言わず、舞台の様子を見ていた。ローライトの肩が、まだ小さく上下しているのが見えた。
ソラの2回戦の相手は、1回戦とは打って変わって小柄で素早い生徒だった。距離を詰められる前に先手を取り、2手ほどのやり取りで決着がついた。「勝者、ソラ選手」と言う声を聞きながら、1回戦より体が軽く動いた気がした。
エルダーの試合は、真っ向からのぶつかり合いだった。力と力の押し合いが続き、最後は根負けした相手が体勢を崩したところを押し切った。他の生徒達とは全く違う、小手先の技術などでは手も出そうにないほどだった。
全ての2回戦が終わる頃には、日はすっかり傾いていた。
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帰り支度をしていると、ルリが一人、まだ舞台の隅に立っているのが見えた。木剣を握ったまま、素振りをするでもなく、ただ立っている。
「よう、ルリ。先に帰るか?」
ソラが声をかけると、ルリは少し間を置いてから首を振った。
「ううん……もう少しだけ」
「そうか」
それ以上は聞かず、ソラは先に歩き出した。振り返ると、ルリはまだ同じ場所に立ったまま夕暮れの舞台をじっと見つめていた。
今回もお読み頂きありがとうございました!
今回はルリくんvsローライトのお話でした!
どちらも瞬発力のある者同士の戦い!ルリの突然の攻撃にローライトは内心実はヒヤヒヤしていたことでしょう!
よければアクションやTwitterのフォローとかお願いします! @kuronekomaru015
未完成ですが一応作品HPあります→https://hasuki-kuro.github.io/seimyaku/
次回投稿は8月01日(土)6時を予定しております。
何卒よろしくお願いします!




