21話・学院紹介2
一通り院内を見て回った後、グエンが全員を廊下に集めた。
「1日の流れを言う。朝に訓練、昼から座学や個人指導など、夕方は各自の自習だ。細かいことは明日からやりながら覚えるように」
ローライトが静かに手を上げた。
「授業は全員同じ内容ですか」
「同じ内容だ」
「1年間は、全員が同じ型を?」
「そうだ。1年間は基礎をしっかりと固めてもらう。土台なしで先へ行ってもどこかで詰まる」
ローライトは何も返さなかった。つまらなさそうに腕を組んで、どこか遠くを見ていた。
「以上だ。何かあれば俺に聞け」
グエンが背を向けた。歩き出した足音が廊下の奥へ消えていく。
少しの間、誰も動かなかった。
「……なんというか、変わった先生だったな」
エルダーがぼそりと言った。
「そんなこと言ってたらゲンコツグリグリされるぞ」
ソラは笑いながら頭をグリグリするジェスチャーをした。
「やっ、やめてくれよ!」
「ははっ、冗談だって」
エルダーとの距離が、少し近づいた気がした。
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昼になると、武術科と魔法科が共用の食堂に集まった。
食堂は信じられないほど大きく、学院の生徒数に似合わないほどだった。食事はバイキング形式で、好きなものを好きなだけ取れた。
長机には在校生も混じっていて、席を探しているとミオが手を振っていた。
「こっちこっち!」
リゼアも隣にいた。トレーの上には皿が乗っていて、そこには山盛りの透明の物体が盛り付けられていた。
「それは何…?」
「ナタデココ」
「鉈で…?」
「違うよ!!」
ソラには初耳の食べ物だった。少なくとも村にいた頃には見たことも聞いたこともない。
「ソラも知らないんだ!これはナタデココって言って、透明でコリコリしてて美味しいんだよ!さっきリゼアに紹介してあげたら凄く気に入ったみたいでそればっかり食べてる!」
ミオがここぞとばかりにドヤ顔&自慢で説明した。
「へぇ…」
ソラはミオの説明よりもリゼアにそんな一面があることに驚いた。
「魔法科はどうだった」
ソラが聞くと、ミオが「それがさー!」と前のめりになった。
「セレナ先生ってすごく穏やかな人で、最初は「みなさんようこそ魔法科へ」みたいな感じだったの。
でもリゼアが自己紹介した途端に顔が変わって、「少しだけ見せてもらえますか」ってなって、リゼアが1回だけ魔法使ったら先生がしばらく黙り込んで、それからリゼアだけメニューが変わったんだよ!?他の子と全然違う課題が出て、しかも先生がずっとリゼアのそばにいて!みんなちょっと引いてた!」
「……そうなんだ」
「ソラ、もうちょっと驚いてよ!」
特に驚いていなかった。リゼアのことだし、という感じだった。当のリゼアは何も言わずに淡々とナタデココを口に放り込んでいた。
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「くぁー、食った食った」
エルダーは腹を叩きながら伸びをした。
「明日から訓練か〜」
「楽しみだな」
「そうだな」
「ソラは何かの型とか覚えたりしたか?」
「剛の型を少しだけ」
「剛かぁ。俺は道場で捌をやってたけど、正直あんまり向いてないと思ってんだよな」
「そうなのか、じゃあなんで捌を?」
「んや〜、なんか道場の師範にお前はこの型だ!って半ば強制でやらされてさ、それでなんだよな」
「なるほど」
確かに納得できる気がした。なんと言っても試験の時のエルダーと試験官の立ち会いでは、エルダーの動きは洗練されていて無駄がないように見えたからだ。
「それで、ソラはなんで武術科に入ったんだ」
「強くなりたいから」
迷いのない答えだった。真っ直ぐな瞳でエルダーを見た。
「そうか、いいと思うぜ!」
エルダーは親指を下に向けてニッとはにかんだ。
「…エルダー、それ多分手の向き逆だよ…」
「えっ、マジか!?すまん!」
──なんか抜けてるな〜…とソラは思った。
向かいの席でリゼアがミオに何か言われていた。ミオが身を乗り出して喋っていたが、リゼアは話し半分にナタデココを口いっぱいに含んでハムスターのようになっていた。何の話をしているのか気になったが、声は聞こえなかった。
◇
今回もお読み頂きありがとうございました!
前回に引き続いての学院の紹介のお話でした!リゼアの新たな一面とエルダーの天然キャラが発揮された回となりました!
よければアクションやTwitterのフォローとかお願いします! @kuronekomaru015
未完成ですが一応作品HPあります→https://hasuki-kuro.github.io/seimyaku/
次回投稿予定は7月18日(土)6時を想定しております。
何卒よろしくお願いします!




