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星脈と位相の狭間で  作者:
旅立ち編
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第16話・学院試験ー筆記ー


 ネロが作った朝食を三人で食べ終えた頃、ミオが玄関まで見送りに来た。


「行ってらっしゃい!絶対受かってきてね!」


「ありがとう、頑張ってくるよ」


「リゼアも!」


「……わかってるわよ」


リゼアは顔を逸らした。照れているようにも、不機嫌なようにも見えた。


 にゃごすちんを出ると、朝のひんやりとした空気が頬を撫でた。まだ日が低く、地面には長い影が伸びていた。


 試験受付は学院の正門前だと聞いていた。ソラは何度か前を通ったことがあったが、今日の人の数は明らかに違った。正門に向かう道に受験生がぞろぞろと続いていて、ざわめきが遠くから漂ってくる。


「思ったより多いな」


「当然でしょ。アレシスの学院よ」


 リゼアは涼しい顔で歩いている。少なくとも表面上ではいつもと変わらない表情に見えた。


 正門が近づいてきた時、人の流れの中に見たことのある人物がいた。


 明るい茶色の髪。仕立ての良い上着。

ローライトだった。

両隣には二人の女性を連れていた。二人とも整った身なりで、表情が薄い。ローライトの少し後ろを歩いていた。


 ローライトがこちらを見た。目が合った。


「ああ、来てたんだね」


 人混みの中でもよく通る声だった。


「当然だろ」


「ははっ、そうだね」


 ローライトは口の端を上げた。相変わらず小馬鹿にしたような話し方だった。後ろの二人がソラを見た。次にリゼアを見た。何も言わずにただ一瞬だけ、じっと目線をこちらに向けてすっと外した。


「じゃあ、また後で」


 ローライトは歩いていった。二人の女性がその後に続く。


 ソラはそれを見送ってから会場の方へ歩いて行った。


「なに?あの人」


「訓練場でちょっとした絡みがあってさ。まぁ、気にしなくていいよ」


「そう......試験に引っ張られないようにね」


「あぁ、わかってる」

 ソラはできるだけ平常心を保つよう努めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 筆記の会場は大きな講堂だった。


 中に入ると、長い机が整然と並んでいた。受け付けた番号順に席が決まっているらしく、係の人間に番号を確認してから着席する。ソラとリゼアの席は隣通しだった。


 リゼアは席に着くと、机の上に何も出さずに静かに待っていた。


 ソラは筆記用具を並べた。ガチガチに緊張していたソラは問題用紙をもらう前から手が汗ばんでいた。


周りのざわめきが耳に入ってくる。誰かが紙をめくる音や、咳払い、椅子が軋む音など、普段なら気にしないような音も何もかもが鮮明に聞こえた。



 試験開始の合図が鳴った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 最初の数問は都市に関する問題だった。


 農耕都市の名前。交易都市の主な産業。武の都市と知の都市の交易関係。にゃごすちんでミオと学んだ内容がそのまま出てきた。ソラは迷わず答えを書いた。


 ……これはいけるかな。


 楽観しかけたところで、次のページをめくった。


 魔法理論の問題が並んでいた。


 系統魔法の分類、エーテルの消費量計算、術式の展開順序。文字を読むだけで頭が重くなる感覚がした。


……やばい。


 隣を横目でちらっと見た。


 リゼアはすでに二ページ目に入っていた。ペンが止まらない。紙の上をすらすらと走っている。ページをめくる音がした。三ページ目に入ったようだ。


 ソラは前を向いた。まだ自分は一ページ目だ。


 計算問題の一問目。式を考えて途中まで書いたが、その手はすぐに止まった。


 ミオから習ったはず...


 頭の中でミオの声が再生される。「じゃあ次はちょっと難しいよ」。あの夜のテーブルの上。ほろっと崩れた焼き菓子の甘さ。そして──


 「……六十四」


 リゼアの声が耳によみがえった。


 六十四だ!


 合ってるかはわからない。でもそれ以外が思い浮かばなかった。ソラは書いた。


 次の問題へ。また止まる。それの繰り返しだったが今までの勉強を思いだして何とか回答を書いていった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 終了の合図が鳴った時にはソラはまだ最後の問題を見つめていた。

 間に合った、とは言い切れない。何とか全部埋めたというだけだ。何問かは勘で書いたり「えいや!」という思い切りで書いたものも含まれていた。


「では、後ろの席から用紙を回収するように」

 教壇に立った教授が言うと、後ろから問題用紙が回ってきた。それを前に座っている人に渡す。ソラは息を吐いた。


 その際、リゼアの回答が少し見えた。

 .......全問埋まってた気がする。


 リゼアが席を立った。ソラの方を一度だけ見た。何も言わなかった。


 ソラもうなだれ気味に立ち上がった。


 係の人間が案内を始めた。


「では、ここからは志望する科に分かれて試験を行う!魔法科を志望するものは私についてきて、武術科の者はこの先にある右側の扉に入るように」


 どうやら武術組と魔法組、ここから会場が分かれるようだ。長い廊下の先には二手に分かれる扉が見えた。


「頑張ってきてな」


「えぇ、ソラも」

 

 短い会話だったが、思いのこもった言葉だった。


 そして二人はそれぞれの会場へと歩き出した。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

今週の月曜日は体調不良につき更新できませんでした(汗

仕事が休みになったのでその時間を使って書きました。いいのか悪いのか、、、ww

今現在も体調不良は続いているのでもしかすると誤字脱字やあるかもですがご容赦願います!w


よければアクションやTwitterのフォローとかお願いします! @kuronekomaru015

未完成ですが一応作品HPあります→https://hasuki-kuro.github.io/seimyaku/

次回投稿予定は体調が大丈夫であれば6月26日6時の予定です。

何卒よろしくお願いします!

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