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星脈と位相の狭間で  作者:
旅立ち編
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12/18

第11話・アスカとの手合わせ

 夕方、日が沈み始めた頃に二人は店を出た。


 訓練場に着くと、まだ数人が残って体を動かしていた。夕暮れの中で木剣が風を切る音がした。


 端の方に、一人で素振りをしている人影があった。


 昨日と同じ場所に、同じように立っていた。

恐らくシャルドの言っていたアスカだろう。


 近づくとソラたちに気付いたようで、素振りを止めてこちらを見た。


 背はソラより少し高く目元に鋭さがあり、こちらを見極めているようなそんな表情だった。


「お前らがシャルド教授の言ってたソラとリゼアか」


「はい、ソラです」

「リゼアです」


 アスカはソラをじろじろと見た。

「独学だと聞いたが」


「そうです」


「そうか」

 興味を持っていないような、そっけなく短い反応だった。


 アスカは壁に立てかけてあった木剣を手に取り、ソラに向かって投げた。ソラは受け取った。


「まず動いてみろ。どんな癖があるか見てやる」


 言い方が気になったが、ソラは何も言わなかった。

そして木剣を構えた。


 アスカも構えた。木剣を頭上に構え、刃先をソラの方に向けた。


 ーーザッ。


 ソラが踏み込んだ。アスカが受けた。鈍い音がした。もう一度。また受けられた。三度目、角度を変えて打ったがアスカはビクともしなかった。


 ーーーソラが四度目の斬撃を与えようとした瞬間


 アスカが力強くソラの木剣をはじいた。ソラは衝撃で足が浮き、そのまま後方へ吹き飛ばされる。

顔をあげるとアスカの木剣が目の前にあった。


「ここまでだ」


 アスカが木剣を下ろした。腕を組んで、ソラを見た。

「悪くはない。筋はある」


 それから間を置いた。


「ただ踏み込みが早すぎる。体よりも早く足が出ている。それと重心が高い。少し押せばすぐ崩れる」


「……わかりました」


「気付いていたか?自分で」


「なんとなくは」


「なんとなくでは駄目だ」


 アスカが鋭く言った。声が低くなった。


「自分の弱点くらいちゃんと言語化できるように把握しておけ。なんとなくで戦っていたら勝てる勝負も勝てない」


 ソラは黙った。


 アスカはしばらくソラを見てから、また構えた。

「次は俺が打つ。受けるだけでいい。倒れても続けろ」


 一撃目。重かった。二撃目、三撃目と続いた。受けるたびに腕が痺れた。四撃目で体勢が崩れた。五撃目を受けたところで木剣が吹き飛ばされ、膝をついた。


「ここまで」


 アスカが木剣を下ろした。少し間があった。


「思ったより受け方は悪くない。粘れる」


 褒めているのか貶しているのかわからない言い方だった。

 アスカはリゼアに視線を移した。


「お前は…見たところ魔法か」


「そうです」


 アスカは木剣を構えた。

「少しだけ付き合え」


 リゼアは軽く頷くと、目を細めた。


 ーーザッ。

 アスカが踏み込んだ。速かった。


 間合いに入り、剣先がリゼアを捉えようとした次の瞬間、アスカの足が沈んだ。

まるで地面が重くなったように、踏み込みが止まった。その隙にリゼアが半歩退いた。


 ——今のは、まさか…?


 アスカは構えを崩さないまま、足元を一瞬だけ見た。地面は何も変わっていない。ただ、確かに体が重くなったように感じた。


 もう一度踏み込んだ。今度は重さはなかった。しかしリゼアはすでに動いていた。


 両手を広げた。


 ーーウインドマジック・ベガーー


 リゼアが呟くと三方向から凄まじく速く、そして鋭く、風魔法であるベガが放たれた。アスカは一つ目を体を捻って避け、二つ目を木剣で払い、三つ目は頭を下げてやり過ごした。それでも袖が裂けた。


 ——本物だな。


 アスカは迷うことなく一瞬で間合いを詰めた。リゼアが次の魔法を出すよりも早く、懐に入った。

 剣先がリゼアの顔の前で止まった。



 リゼアは動かなかった。目だけがアスカの剣先を見ていた。


 アスカはゆっくりと木剣を下ろした。しばらく、何も言わなかった。


「……魔法使いに俺が教えることはない」

 一度目と同じ言葉だったが、声のトーンは違った。


 ソラはその一部始終を黙って見ていた。


「魔法の腕はある。だが体がついてきていないな」


 リゼアは何も言わなかった。ただ、頷いた。


 日はほとんど沈み、訓練場に残っていた人影もほとんどいなくなっていた。


「明日も来るか」


「来ます」


 アスカはソラをもう一度見た。何かを確かめるような目だった。

「お前、本気で強くなりたいんだな?」


「はい」


「そうか、ならいい」


 アスカはそれだけ言うと木剣を片付けて、振り返らずに歩き出した。


 ソラは腕の痺れを感じながらその背中を見ていた。


「なんか、感じ悪い人ね」

 リゼアが隣で言った。


「でも、強さは間違いなく本物だよ」


「両立するものなのよ、そういうのは」


 ソラは何も返さなかった。ただ、先程手合わせした時に感じた手に残る感覚を思い出していた。


そっと、剣の柄を強く握りしめた。

ここまで読んで頂きありがとうございました!

今回は先輩のアスカと手合わせ?するお話でした。

初めての戦闘描写、書いてて楽しかったですw次回以降の数話もちょいちょい書く予定です!


次回は6月13日土曜日6:00更新予定です!

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などして頂けるとほんっっっとうに嬉しいです!


次回のお話も何卒よろしくお願いします!

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