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【第1章完結】碧眼の花と緋の刃  作者: 伊太利 ひなぎく
第1章

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第23話 中編《動き出す影②》


中央司令本部の駐車場に車を停めたユリウスは、後部座席のソニアとアンナに声をかけた。


「着いたぞ。とりあえず、自分たちの荷物を回収しろ」

「了解でーす」


そう答えたアンナはそそくさと車を降り、ユリウスは動く気配のないソニアに目を向ける。


「ソニア、お前も──」


そう言いかけて、少し困ったような表情を浮かべる彼女に気付いて言葉を切った。

ユリウスの様子に、ギルベルトも何事かと後ろに振り返る。


「嬢ちゃん、どうしたよ?」

「えっと……くま助、このまま持って降りたらまずいですよね?」


その言葉にユリウスとギルベルトは思わず顔を見合わせた。


「確かにそうだな。少し待っていろ」


ユリウスはそう言うと一旦車から降り、トランクの中の自分の荷物から大判のタオルを取り出す。

後部座席のドアを開けると、そのままそれをソニアに差し出した。


「違和感は拭えないが……自室に戻るまでは、一旦これで巻いて隠しておけ」

「ありがとうございます」


ソニアは礼を言ってタオルを受け取ると、くま助に丁寧に巻いていく。

ギルベルトもトランクから荷物を回収すると、中から長めの紐を何本か取り出した。


「ほらよ、これも使いな」

「すみません……」


挿絵(By みてみん)


ソニアはキツ過ぎない程度に紐でタオルを固定すると、くま助を抱えて車を降りる。

ちょうどもう1台の車も到着したところのようで、ヴェルナーたちも揃って降りてきた。


「やーっと帰ってきたっすね」

「そうですね……クロイツァー大尉、このまま解散しますか?」


シュテファンの言葉にユリウスは腕を組んで少し考え込む。


(このままメーゲンブルク中将に報告に行くつもりなんだが……テオリム教関連で、何か指示を受ける可能性も否めないな)


そう判断したユリウスは顔を上げて口を開く。


「いや……一旦、全員執務室で待機していてくれ。中将から伝達事項があるかもしれない」


そのままユリウスはギルベルトに視線を向ける。


「ギルベルト、お前も付き合ってくれ」

「あいよ。んじゃ、執務室の鍵はヴェルナーに渡しとくぜ」

「了解っす」


ギルベルトから鍵を受け取ったヴェルナーは、そのままユリウスの執務室の方へと向かう。

ソニアも他の隊員たちに続こうとすると、ユリウスに声をかけられた。


「ソニア、すまないがお前も一緒に来てくれるか?」

「えっ?あ、はい。わかりました」


ソニアは一旦アンナたちと分かれ、ユリウスたちと共にルーファスの執務室へと向かう。

ラルフは離れていく3人の様子をチラリと一瞬伺い、小首を傾げた。


(わざわざソニアちゃんまで?怪我のことでも報告するつもりかな?黙っていれば良いものを……本当に律儀だよねぇ)


そう考えつつ前に向き直り、ヴェルナーの後に続くのだった。



一方のユリウスはルーファスの執務室にたどり着くと、軽く扉をノックする。

すぐに扉が開き、ルーファスが顔を覗かせた。

ユリウスはサッと一礼し、後ろのギルベルトとソニアもそれに倣う。


「クロイツァー部隊、帰還いたしました」

「うむ……待っていたぞ。入りなさい」


ルーファスは3人を中に招き入れ、飲み物を用意してからソファに腰掛ける。

じっとソニアを見つめると、安堵の表情を浮かべつつ口を開いた。


「電話である程度の報告は受けていたが、思いのほか元気そうだな。安心したぞ」

「心配かけてごめんなさい、父さん……」


申し訳なさそうな様子のソニアを横目で見やりつつ、ユリウスはルーファスに頭を下げる。


「ソニアを命の危険に晒してしまい、申し訳ございませんでした。どんな処罰でも、甘んじて受け入れる所存です」


ユリウスの『処罰』の言葉に、ソニアは思わず目を見開いて身を乗り出す。

そんな彼女の様子に気付かないまま、ルーファスは口を開いた。


「うむ、それについてだが──」

「父さん、待って……!」


ソニアは、慌てて会話に割って入る。


「大尉は悪くないの!私が、アンナにちゃんと怪我のこと説明しなかったから……だから──」

「ソニア、落ち着きなさい」


ルーファスはソニアを遮ってそう言うと、やれやれとため息を漏らす。


「……今回の件で、大尉に処罰を下すつもりは毛頭ない」


その言葉に、ユリウスは思わず声を上げた。


「ですが、自分にはソニアの保護責任が──」

「それは承知の上だ。が、今お前に保護責任義務違反で処罰を喰らわせたとして……誰が今後ソニアを守る?」


そう言うルーファスに、ユリウスはハッとした様子でソニアに目を向ける。

そんな彼の様子を見つつ、ルーファスは言葉を続けた。


「軍人としても、親としても……シュヴァイガー大佐がソニアを狙う目的がわからん以上、大尉をその子から引き離すわけにはいかんからな」


それを聞いていたギルベルトは、顎に手を当てつつ口を開く。


「確かに、大尉の鉄壁ガードのおかげで、大佐は今んとこ嬢ちゃんに手ぇ出せてないわけっすからね」


ギルベルトはそこまで言うと、ユリウスの肩にポンと手を乗せる。


「……嬢ちゃんのおかげで、命拾いしたな」

「……」


ユリウスが無言でソニアに目を向けると、彼女は少し不安気にユリウスを見上げていた。

その様子にユリウスは改めて意を決すると、ルーファスに向き直る。


「ソニアのことは、必ず守ります」


真剣な表情のユリウスに、ルーファスは小さく頷く。


「頼んだぞ、大尉」


そう言うルーファスに、ギルベルトは声をかける。


「んで、テオリム教会関係者の動きについては、何かわかったんすか?」

「大尉から連絡をもらった後、すぐザクセン中佐に動いてもらったんだが……目立った動きはなかった。すまんな」


頭を掻きながらそう告げるルーファスの言葉に、ユリウスは腕を組んで考え込む。


「となると……やはり教会関係者が何らかの目的で、予め無断侵入していた、という可能性が高そうですね」

「だな。あわよくば、訓練期間中に嬢ちゃん掻っ攫おうって算段だったのかもしれねぇが……」


ギルベルトはそう言いながらソニアに目を向ける。

ソニアは、タオルに包まれたくま助をキュッと抱きしめつつ口を開いた。


「予定外に熊に襲われて退散した、ということでしょうか……?」


ソニアの言葉に、ルーファスは小さく頷く。


「おそらくは、そういうことだろうな」


それを聞いたユリウスは、顎に手を当てて硬い表情を浮かべる。

隣のギルベルトも、腕を組んで天井を見上げつつ口を開いた。


「あの断線した発電機も、通信手段を遮断して俺らを孤立させるつもりだった、ってことになんのか?」


ギルベルトの言葉に、ユリウスは考え込む。


(だが……そもそも遠征訓練計画の承認が出たのは、出発の2週間前だ。教会関係者が熊に食われたのは、おそらく出発の1週間前程度──つまり、教会関係者はかなりの短期間で現地に侵入しているということになる。あまりに急拵えだ)


そんなユリウスに、ルーファスは声をかけた。


「大尉、大丈夫か?」

「はい。教会関係者の動きが早過ぎるのが、少し気になったもので……」

「そこについては俺も同感だ。そこを考慮すると、大佐の狙いは今回の遠征訓練ではなかった可能性が高い」


その言葉に、ギルベルトは「なるほどな……」と呟く。


「元々は、軍大学の遠征演習狙いだったってことっすか」

「おそらくな。士官養成課程の第1回遠征演習まで、後2ヶ月ほど……そこで動くつもりだったのであれば、今から用意周到に動こうとしていてもおかしくはない」

「じゃあ、私たちが急遽向こうに行くことになって、慌ててその痕跡を消そうとしたの?」


不安気にそう言うソニアに、ルーファスは小さくため息をつきつつ口を開いた。


「……そう考えるのが、1番自然だろうな」


そう言いながら、ユリウスに視線を向ける。


「大尉、ローデ少尉には──」

「ソニアから目を離さないような体制を取れるかどうか、一度話をしてみます」

「うむ、頼んだぞ」


ユリウスの素早い返答に苦笑いしつつ、ルーファスはソニアに向き直った。


「……それで、お前の抱えているそれは何だ?」


そう問われたソニアは、タオルに包まれたくま助をきゅっと抱きしめながら、躊躇いがちに口を開く。


「えっと……くま助、なんだけど……」

「は?熊?」


思いもよらぬソニアからの返答に、ルーファスは目を丸くする。


(あの大きさ……まさか、討伐した個体に子供がいたのか!?いや、だが仮に保護したとして、本部で飼育するわけにも──)


内心狼狽えるルーファスに、ユリウスは苦笑いしながら声をかけた。


「中将。ぬいぐるみです、熊の」

「は……?ぬいぐるみ??」


唖然とするルーファスを横目に、ユリウスはちらりとソニアに視線を向ける。

それに気付いた彼女は、タオルにかけられた紐をそっと解く。

その下から現れた、ふわふわの大きなぬいぐるみに、ルーファスは再び目を見開いた。


「ソニア……お前、そんなものを一体どこで?」


ルーファスの言葉に、ギルベルトは思わず苦笑いする。


「誕生日プレゼントっすよ。俺らからの」


その説明に、ソニアもコクコクと首を縦に振る。

大事そうにくま助を抱えるソニアの様子に、ルーファスはつい肩の力が抜けてしまう。


(そうか。この子の、初めての……)


そう思ったルーファスは、フッと微笑んで口を開く。


「全く、訓練中に揃いも揃って……ソニアに甘いのは、大尉だけかと思っていたんだがな」

「いやぁ、流石に誕生日だってんなら話は別っすよ」


そう言って、ギルベルトはくしゃっとソニアの頭を撫でる。


「嬢ちゃんも、気に入ってくれたみてぇだしな」

「はい。素敵な贈り物を、本当にありがとうございます」


少しはにかんでそう答えるソニアの様子に、ルーファスは安心したような表情で息をついた。


「寮の自室に戻るまでは、きちんと隠しておきなさい。仮にも訓練中にそんなものを買っていたなんざ、他の連中に知られると面倒ごとになりかねん」

「わかってるわよ……」


そう言いつつ、ソニアはくま助にタオルを巻き直す。

その丁寧な手つきに、ユリウスとギルベルトは思わず揃ってフッと笑ってしまうのだった。


その後、訓練中の詳細を一通り報告するユリウス。


「──報告しては、以上となります」

「うむ……」


ルーファスはそう言いながら、手のひらの上に乗せられたバッジに目を向ける。


「このエンブレムバッジは、一旦シュタール元帥閣下に預けておこう」

「はい、よろしくお願いいたします」


そう頭を下げるユリウスに、ルーファスは軽く腕を組みつつ口を開く。


「今後、閣下から何かしらの指示が入るかもしれん。一応、念頭に置いておいてくれ」

「承知いたしました」


ユリウスはそう答えるとスッと席を立ち、ソニアとギルベルトもそれに倣う。

ルーファスもソファから立ち上がると、ユリウスたちに向き直った。


「 訓練の報告書は、整理ができ次第提出してくれれば良い。今日は全員ゆっくり休みなさい。明日から、またよろしく頼むぞ」

「「「はい」」」


ソニアたちは揃って一礼すると、ルーファスの執務室を後にする。

そのままユリウスの執務室に戻ると、先に到着していた4人が休憩スペースのソファに腰掛けて雑談していた。

3人の姿に気付いたヴェルナーが口を開く。


「あっ、大尉。報告、無事終わりました?」

「ああ。お前に少し話がある」


ユリウスはそう告げてから、他の部隊員たちに目を向ける。


「他には特に伝達事項はなかったからな、これで解散にする。今日は早めに休んで、明日からに備えろ」

「「「了解です」」」


ラルフとシュテファン、アンナの3人は軽く一礼をして「お疲れ様でした〜」と執務室を後にする。

それを確認したユリウスはヴェルナーの正面に腰掛け、ソニアもそのすぐ横に座った。

ヴェルナーはドカッと隣に腰を下ろしたギルベルトに声をかける。


「んで、話って何すか?大体想像はつきますけど……」

「ま、この面子とくればそうだよな」


そう言ったギルベルトがユリウスに視線を向けると、ユリウスは小さく頷いてから口を開く。


「山に忍び込んでいた教会関係者についてだが……」


ユリウスは、先ほどルーファスたちと立てた仮説をヴェルナーにも共有する。


「なるほど、遠征演習で……」

「そうだ。状況からして、一旦手を引いたようではあるが、それで諦める大佐ではないだろう。遠征演習中、何かしらの動きがある可能性も捨てきれない」


ユリウスの説明に、ヴェルナーは腕を組みつつソファの背にもたれかかった。


「ってことは、ソニアちゃんから目を離すとマズいんすよね?でも、ずーっとソニアちゃんのそばにいられるわけじゃなさそうっすし……参ったな」

「流石に、俺らがついてくわけにもいかねぇし、他に動ける連中っつってもな……」


そう言うギルベルトの言葉に、ユリウスはハッとした表情を浮かべる。

その様子に隣のソニアは首を傾げた。


「大尉?」

「いや、ザクセン中佐に頼めないかと思ってな」

「中佐にですか?」

「ああ、彼女は──」


ユリウスの言葉に被せるように、執務室の扉がノックされる音が聞こえてくる。

ユリウスは素早く扉に歩み寄ると、そっと扉を開く。

そこに立っていたのは、ちょうど話題に出たばかりのルイーゼだった。


「中佐、お疲れ様です」


そう一礼しつつ、ユリウスはルイーゼを室内に招き入れる。


「急にすまないな。中将から、一通りの話は聞いたもので……少し心配していた。全員大丈夫なのか?」

「はい。どうぞ、こちらへ」


ユリウスはそう言ってルイーゼを休憩スペース内に案内する。

彼女の姿に気付いたソニアたちはサッと一礼した。


「お疲れ様です」

「ああ……シュミットたちも元気そうだな。安心したぞ」


そう言いつつ、ルイーゼはユリウスと共にソニアを挟むような形でソファに腰掛ける。


「それで?わざわざ私を招き入れてくれるとは……相談事か?」


ルイーゼの言葉に、ユリウスは小さく頷く。


「ご明察です。再来月の遠征演習時、偵察部の隊員をお借りできませんか?」

「「偵察部……?」」


ソニアとヴェルナーは、揃ってそう呟くと首を傾げる。

2人の様子に、ルイーゼは苦笑いして口を開いた。


「そうか……ローデ少尉とシュミットは、私の詳しい経歴を知らなくてもおかしくないな」

「経歴、ということは──」


そう言うソニアに、ルイーゼはコクリと首を縦に振る。


「私は偵察部の出身でな。その関係で、今でも一部の偵察部の隊員の指揮権を持っているのだ」

「マジっすか……そんなの初耳っすよ」


目を丸くしているヴェルナーに、ギルベルトは補足を入れる。


「偵察部だの諜報部だのは、セキュリティの関係上あんまし指揮系統が公にされてねぇからな」


ギルベルトの説明に、ソニアとヴェルナーは「なるほど……」と納得した様子を見せた。


(そっか。大尉は尉官ではあるけれど部隊長だし、准尉も諜報部出身なら、その辺りを知ってて当然よね)


そう思いつつ、ソニアは隣のユリウスを見上げる。


「偵察部の方に、監視をお願いするということですか?」

「そうだ」


ユリウスはそう言いながら、ルイーゼに向き直る。

彼がハインツや教会関係者の動き等を一通り説明すると、ルイーゼは腕を組んで難しい表情を浮かべた。


「なるほどな。それで、シュミットから目を離さないために……というわけか」


彼女は顔を上げると、まっすぐにユリウスを見つめる。


「協力することは、やぶさかではない」

「であれば──」

「ただし、条件がある」


ユリウスの言葉を遮って、ルイーゼはそう告げる。


「何故、大佐があそこまでシュミットに固執するのか……そろそろ理由を教えてもらいたい」


その言葉に、ユリウスたち4人は顔を見合わせる。


(確かに、中佐にはいい加減話をした方が良いんだろうが──)


そう思い悩むユリウスは、ちらりとソニアに視線を向けた。

彼女はコクリと小さく頷き、それを確認したユリウスはルイーゼに向き直る。


「中佐、今からお話しすることは他言無用で願います」

「わかった」


その言葉に、ユリウスはソニアに声をかけた。


「ソニア、魔術を解除してくれ」

「わかりました」


ソニアはそう答えると、左腕のバングルに解除魔術を発動させる。

彼女の瞳が翠色から澄んだ碧色へとゆっくりと色彩を変えると、ルイーゼは目を見開いた。


「驚いたな。シュミットは碧眼持ちだったのか……」

「は、はい」


そう答えながら、ソニアは不安気な面持ちで少し俯いてしまう。

そんな彼女の肩にルイーゼは軽く手を置き、ソニアは思わず顔を上げる。


「……そう不安がるな。私自身は差別意識は持ち合わせていない」

「えっ?」


驚いたように声を上げるソニアに、ルイーゼはフッと微笑みかけて続ける。


「軍人は、国民全てを守るべき存在だ。そもそもが差別意識というものを持つべき立場の人間ではない、と私は考えている」


そう言いつつ、ユリウスに視線を送った。


「つまり、教会派──いや、テオリム教と碧眼に何か関係があるということだな?」

「ご明察です。実は……」


ユリウスは、今まで碧眼について判明した事柄をルイーゼとヴェルナーにも共有する。

一通りの話を聞いたルイーゼは、ソファに腰掛け直すと顎に手を当てた。


「なるほどな……魔術を使えないはず、か」


その向かいで、ヴェルナーも少し驚いた様子で口を開く。


「いやでも、ソニアちゃん普通に魔術使えてますよね?どういうことなんすか?」

「俺らも、その辺りまではまだ調べきれてねぇんだよ。ただ──」

「大佐の動きと関係している可能性が高いということだな」

「そうなりますね」


ギルベルトがそう答えると、ルイーゼは少し考え込んでからユリウスに向き直る。


「そういうことであれば、私の動かせる隊員数名を派遣しよう。ただ、状況からして監視及び連絡役としての運用しかできないだろうが……」

「それでも構いません。ソニアに何かあった時に、自分たちが誰1人気付けないという状況が1番(まず)いですから」

「確かにその通りだな」


そう言うと、ルイーゼはスッとソファから立ち上がる。


「再来月となると、早めに人員の調整をしておいた方が良いだろう。すまないが、私はこれで失礼させてもらうぞ。配置等の詳細は、追って連絡する」


ルイーゼのその言葉に、ユリウスは頭を下げた。


「お力添え、ありがとうございます」


「気にするな」と告げて立ち去るルイーゼを見送ったユリウスは、ホッと息をつく。

そんな彼にギルベルトが声をかける。


「とりあえず、これで一安心ってとこか?」

「そうだな。とはいえ──」


そう言いながら、ユリウスはヴェルナーに視線を向けた。


「ソニアの1番近くで動けるのはお前だ。可能な限り、目を離さないよう頼むぞ」

「了解っす!」

「んじゃ、今後の方向性も決まったし……俺らも解散にすっか」


ギルベルトの言葉に、ユリウスはソニアに向き直る。


「ソニア、寮まで送る」

「あ、はい。ありがとうございます」


ソニアはそう答えると、ギルベルトとヴェルナーに一礼し、そのままユリウスに続いて執務室を後にした。


「忙しくなりそうっすね」

「そうだな。俺らも今まで以上に気合い入れていくぞ」

「うっす!頑張ります!」


ソニアたちを見送ったギルベルトとヴェルナーは、そう決意を新たにするのだった。

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