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帝都混乱

「なんですと!?董相国、呂将軍を罷免されたのですか?」軍師の李儒が詰問する。

豪華な机に肘をつきながら董卓は煩そうに返答する。「言うな。もう決まった事じゃ。」

「相国。あれほど言ったではございませんか!呂布は国家の大剣も同然の男、彼を敵に回しては天下の経営は出来ませんぞ!」

慌てて李粛が上奏する。

「軍師殿。そう心配なされますな。呂布は軍権を引き渡して、長安に向かっております。」

これを聞くと李儒は訝しげに言う「何と?奇なり。連合軍を蹴散らした呂軍はいまや中華最強。曹操と和睦して長安に攻めいられたら、我らが軍とてひとたまりもあるまいに。」

「素直に出頭するあたり、噂通り、何かやましい事でもあるのでしょう。」と冷や汗を流しながら李粛が応えると李儒は

「馬鹿な!謀叛を起こすつもりのものが、何故軍権を手離すのじゃ」と吐き捨てるように言う。

「ふむぅ・・確かに、謀叛の志があるならば、軍を棄てる事もないのぅ」

「相国。その通りです。・・これは曹操の策謀ではありますまいか?」

董卓はギクリとした。李儒は続ける。

「何にせよ。呂布の深奥が分からぬ。一体、長安で何をするつもりなのか・・

相国様、五行を占いますと、呂布は火の性質を持つ男、董相国は金の性質を持ちます。火は金を溶かすとされますため、正面からぶつかり合うのは得策ではありませぬ。

李粛よ、お主も首を洗って待ったほうが良いかものう・・」李儒が皮肉を込めて話言うと、李粛はギョッとした表情となり立ち竦んだ。


さて、一方、呂布を乗せた護送車だが、酸棗から許昌

を通り、洛陽近辺の田舎町にさしかかると、護送部隊の責任者である張要が呂布に語りかけた。

奉旋(ほうせん)。天気も良いし、ここで休もう。あそこに茶屋が見える。一杯どうだ。」

子文(しぶん)よ・・良いのか?」

幼い頃からの友人の好意とはいえ、あからさまに罪人を厚遇しては後に罪に問われないとも言い難い。呂布はそれを心配した。

「なに、大丈夫だ。」張子文は茶屋の椅子に腰かけると、腰にくくりつけた瓢箪の水を飲み、残りを呂布に渡した。

炎天下の中、友の慈悲が有り難かった。

「大体、この度の相国様の処置に関しては、重臣たちの間でも、是非が分かれているのだ。しかとした理由なしに、お主を罪に問うては、国が割れる。」

確かにそうかもしれぬと呂布は思った。

「大きな声では言えんが、今、お主が、逃がしてくれと言えば、わしは喜んで逃すだろう」張要は呂布の耳元でそう囁いて笑った。









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