策謀の行方
「董太師。曹操の使者が参っております」側近の李粛が董卓に上申する。
「なに?降伏でも申し出て来たか」
現れた男が威儀を正して言う。
「曹将軍の使者、荀攸と申します。」
李粛は言う。
「中々弁が立つ者で御座って、我らと曹操との和睦を勧めて参ったので御座いまする」
「和睦だと?ふざけるな!李粛よ、直ぐに奉先に命じて袁紹、曹操の首を持ってこさせよ!」
李粛は董卓の服の裾を引っ張ると耳打ちした。
「相国、お待ちください。使者の申すことも一理あります。呂布は兗州一帯に軍政を敷き、周辺豪族を次々に臣下に組み入れているとのこと。これは漢王室に取って変わる野心の現れと見る事も可能です。また、呂布が反乱軍の誅滅に成功し、長安に凱旋したら、董太師と呂布ではどちらが位が上になりましょうか?」
「それは・・呂布かもしれん」
「天に二つの太陽無しと言います」
董卓は慌てて荀攸に向き直って言う。
「ご使者よ。大儀であった。悪いようにはせぬ、宿舎に戻り休まれよ」
使者が退出すると董卓は李粛と謀議を続ける。
「しかし、一体誰が、あの呂布を征伐出来ようか」
「簡単なことで御座います。謀叛のかどで呂布の全官職を解任すれば宜しいのです。拒否すれば、謀叛の意志ありと見なし、改めて征伐軍を送りましょう」
「しかし、奉先に協力するものも居るじゃろうな」
「その時は協力者もろとも、悉く朝敵として征伐なされ。兗州のど真ん中で呂布が勢力を振るうのは周辺の群雄も望まぬ所でしょう。
また、我が軍の徐栄の武略は呂布に勝るとも劣りませぬ、改めて徐栄を車騎大将軍に任じ、七万の兵を率いて長安から出陣させ、苑の袁術、青洲の曹操、漠陽の橋瑁、斉北の鮑信、長春の孫堅などに勅令を出し、呂布軍を四方から殲滅するのです」
「なるほど。それなら勝てそうじゃ」
曹操の某臣達の計略が中原の軍事情勢をひっくり返しつつあった。




