英雄激突(2)
午後二時、戦闘の火蓋が切って落とされた。
呂布軍先鋒の樊稠が第一戦勝利の勢いを借りて、曹操軍の本軍に突撃してきた。
曹操軍は鶴翼の陣、樊稠軍は魚鱗である。
始めの半刻ほどは両軍拮抗していたが、精強な樊稠軍を前に曹操軍は次第に崩れていく、「総軍、白馬原まで退却せよ!」曹操が命令を下す。
「ハーッハハハ!見よ、敵が退却するぞ、好機を逃すな!全軍突撃せよ!」樊稠が命令を下し、退却していく曹操軍目掛けて追撃を始める。
すると後方から軍師の陳宮が追いかけてきた
「お待ちください。大将軍閣下の言葉をお忘れか!」
樊稠が気が付くと背後に曹仁軍が押し寄せ、側面に劉備軍が迫っている。
「しまった!敵本軍は囮か!」
しかもよく見ると四方八方に油がぎっしり含まれた枯れ草の束が置かれている。
「火を放て!」曹操が叫ぶと
四方八方から火矢が撃ち込まれる。
ただでさえ牧草地が続く地形である。
戦場は瞬く間に火焔に包まれた。
「敵将!覚悟せよ!」
ようやく火焔地獄から逃れた将兵の前に、関羽や張飛が突撃してくる。地獄絵図である。
「もはやこれまでか」樊稠軍は殲滅寸前の所であったが、後方に留まっていた張遼軍が曹仁軍に突撃を開始し、なんとか退路が開かれた。
さらに呂布軍が後方にある曹操軍の食糧庫を急襲したために、曹操軍は攻撃どころではなくなり、本拠地に退却していった。
「面目次第も御座いませぬ。」樊稠は地に手をついて呂布の前で謝罪した。
「まあよい。その方らの軍が奮闘したために曹操軍をかの地に引き付けておく事が出来たのだ。今回の事は不問にするが、将たるものは前に進むだけではならん。止まることや退くことが出来てこそ良将、名将と言うものぞ。」
「胆に命じまする」
張遼と樊稠が幕舎から退出した。
「曹操は我が軍を計略にはめるのに夢中になり、自軍が計略にはまっている事に気がつかなんだ。」呂布は盧植に向かってこの度の戦闘を総括した。
「用兵、神の如し」この度の戦で呂布の名声は中華全土に鳴り響いたのであった。




