英雄割拠
「全く、何時になったら戦を再開するんだ。兄貴。曹操も袁紹も呂布に対して怖じ気づいているんじゃないか?」虎鬚の男が手拭いで体を拭きなが大声で話し始めた。
「翼徳。わしらは客将の身分。余計なことを申して長兄に迷惑をかけるな」
身長八尺はあるような大男が長髭を撫でながら男を嗜める。
「しかし、兄者!我慢にも限度があるぞ、我らはもう2ヶ月もこの地に待機したままだ。やることと言えば酒を飲むばかりで、腕も鈍ってしまうわ。」
二人の話をじっと聞いていた男がからかうようにして口を開いた。
「関羽、張飛よ。呂布は強い、お前たちと言えど太刀打ちできんかもしれんぞ?」
そう言われると張飛は真っ赤になって反論した。「長兄!この張飛の腕を見損なっては困るぞ!あのような親殺しの悪党。ワシがこの蛇棒で一突きにしてやるわい!」張飛がより一層の大声で叫ぶと、陣幕の外から声がした。
「ハッハッハ!さすがは天下の英雄よ。」
丁度この時、黒い甲冑に身を包んだ将軍が幕内に入ってきた。
「これは曹操どの。お出迎えもせず失礼した。」
長兄と言われた男が拱手して曹操を迎える。
「いやいや。このところ我が軍は敗戦続き、一兵卒に至るまで呂布と聞けば震え上がっておる。弟殿のごとき勇士に、気炎を上げてもらえれば我らも助かるのだ。」
曹操と劉備は椅子に腰かけてお互いに向き合った。
「曹操殿。この戦、呂布さえ取り除けば、こちらの勝ち。どうか我ら3名に出陣命令をお与え下さい」
「劉備どの、あなた方、三兄弟の戦働きの凄まじさは、これまでの戦いで全軍に知られて居り、この曹操、大いに頼りにもしている。
そこで、今度の決戦で、重要な役回りを頼みたいのだ。」
「何なりとご下命下さい」
「我々の決戦の場は、兗州東郡の白馬原と考えている。ここに呂布軍を誘き寄せ、包囲殲滅したい。中軍がこの曹操。右軍が我が従兄弟の曹仁、左軍を劉将軍に担当して頂きたい。」
「承知つかまつった」
劉備が命令を受け入れると曹操は本陣に戻っていった。
「へっへっへ、久々に腕がなるぜ」
「張飛、関羽、再び我らが天下にご奉公する時が来たぞ。心してかかれ!」
「応!」
三人は持ち場に戻り兵の訓練に勤しむのであった。




