第7話 新入団選手発表記者会見
12月上旬、横浜市内のホテルで『京浜ライマルクリッパーズ・新入団選手発表記者会見』が開催された。
壇上に並んだのは、緑と黄色の新しいユニフォームに身を包んだ、希望に満ち溢れる6人の若者たちだ。その中央に、監督である俺——上平健二が立つ。
報道陣のフラッシュが一斉に焚かれる中、俺は一人ひとりの表情を誇らしく見つめた。
1位指名:五反田竜太
投手/右投右打/21歳(大学生)/背番号13
最速153kmのストレートと落差のあるチェンジアップ、スライダーが持ち味。目標は1年目からの二桁勝利。
堂々とマイクで抱負を語る五反田。
ドラフト会議の「誤認ガッツポーズ」から始まった運命の糸だが、彼の実力は本物だ。
ドラ1の期待通り、先発ローテの一角、あるいは展開によっては守護神としてチームの勝利を支えてもらうことになるエース候補だ。
2位指名:平山明彦
内野手/左投左打/24歳(社会人)/背番号0
本職はセカンドだが、バッテリー以外ならどこでもこなせる即戦力のユーティリティ。
足と粘り強い打撃がアピールポイント。
背番号『0』を背負う24歳。
クリッパーズは年間を通して怪我人や不振者でポジションが穴だらけになるのが弱点だった。
彼の俊足と守備範囲の広さは、間違いなく一軍の重要な戦力になる。
3位指名:石原智
投手/右投右打/17歳(高校生)/背番号48
2年連続で甲子園の土を踏んだ期待の高校生右腕。今はまだ141kmだが、身体の出来上がりに応じて化ける潜在能力を秘めている。焦らずじっくり育てたい高素材だ。
4位指名:鎌倉大斗
外野手/右投右打/20歳(独立リーグ)/背番号57
身長こそ170cmと小柄だが、引き締まった体幹から放たれる打球の飛距離は本物だ。外野守備や走塁技術もレベルは高い。
泥臭く揉まれてきた独立リーグ出身者らしいハングリー精神は、チームに良い刺激を与えてくれるはずだ。
5位指名:堀之内由伸
投手/左投右打/21歳(大学生)/背番号26
貴重な大卒サウスポー。制球に難はあるものの、最速149kmのストレートと、鋭く曲がる変化球と球威は魅力だ。
左のワンポイントや中継ぎとして、早めの1軍昇格もありそうだ。
6位指名:高憧洋介
捕手/右投両打/17歳(高校生)/背番号65
「……自分は高校での実績もありませんし、指名された時は本当に驚きました。ですが、選んでいただいたからには、キャッチャーとしても、それ以外の形でも、泥臭くチームに貢献できるよう必死でついていきます!」
緊張でガチガチになりながらも、まっすぐマイクに向かって叫んだ高憧。
記者席からは「なぜ彼を支配下で?」という疑問の視線が隠しきれていなかったが、俺は満足げに頷いた。
会見の最後、囲み取材でカメラマンから声がかかった。
「上平監督!新人6名と一緒に、恒例のポーズをお願いします!」
「よし、みんな!背番号が見えるようにちょっと身体を傾けて、ポーズとるぞ!」
俺を中心に、緑と黄色のユニフォームを着た新人が並ぶ。俺はカメラに向かって、いつもの笑顔で右手を掲げた。
「京浜ライマルクリッパーズの未来を背負う6人です! みなさん、サンキューです!」
パシャパシャパシャッ!と眩しいフラッシュが会見場を包み込む。
12月の冷たい風が吹く横浜で、熱い熱い新体制のピースが、確実に揃い始めていた。




