第39話 ホーム開幕第3戦(1)
グラウンドでは試合前練習が始まっていた。
高憧洋介の昇格により、今年入団した新人6名(平山・五反田・石原・堀之内・鎌倉・高憧)のうち、
高卒投手の石原を除く実に5名が一軍に揃うこととなった。
ルーキーのレベルが高いのか、それともクリッパーズの選手層が薄いのか——おそらく世間には後者だと見られているだろう。だが、グラウンドに立つ彼らの表情に引け目は微塵もなかった。
やはり同期の絆は特別なようで、キャッチボールやダッシュのメニューも自然と新人同士で固まることが多い。
そんな中、意外な光景が指揮官の目を引いた。
グループをまとめ上げ、一番大きな声で引っ張っているのは、最年長25歳で社会人上がりの平山明彦でも、大学球界のスターとして鳴らしたドラ1の五反田竜太や堀之内由伸でもない。
背番号57、21歳の鎌倉大斗だった。
170cmの小兵である鎌倉が、190cmを超える大柄な五反田や堀之内を従え、先頭を切って声を張り上げる。
「竜太、もっと声出せ! 足上がってねえぞ!」
年下の鎌倉に叱咤され、五反田が「おうっ!」と苦笑いしながらペースを上げる。
そこへ、38歳の怪力助っ人砲が満面の笑みで駆け寄ってきた。
「オレモ コノチームノ ルーキー! カマクラサン、ツイテイキマス!」
ゲイリーが巨体を揺らしながら新人の列の最後尾に混ざると、ルーキーたちからドッと笑いが起きた。
重苦しい空気になりがちだったアクシデントの翌日。
怖いもの知らずの新人たちのエネルギーと、主砲のお茶目な振る舞いが、ベンチ裏を明るく活気づけていた。
本拠地3連戦の勝ち越しがかかるホーム第3戦。
若い力がチームの新たな推進力となり、決戦の火蓋が切られる。
スタメン発表
1番 サード 米丸慎也 背番号60
2番 セカンド 平山明彦 背番号0
3番 レフト 西橋賢介 背番号8
4番 DH ゲイリー 背番号42
5番 ファースト 小芦純 背番号35
6番 センター 津田智也 背番号41
7番 ショート 若狭大将 背番号7
8番 ライト 鎌倉大斗 背番号57
9番 キャッチャー 中北元貴 背番号5
先発 今井瑠星 背番号12
カード勝ち越しをかけた本拠地第3戦。
前日の激闘から一夜明け、打線は好調の西橋を3番に戻し、センターに津田智也を今季初スタメンとして起用する布陣を敷いた。
マウンドを託されたのは、
中4日で登板する開幕投手の今井瑠星。
試合前のブルペンでは、2試合連続でスタメンマスクを被る20年目の大ベテラン・中北元貴と入念な投球フォームの確認が行われていた。
「今井、中4日で少し体は張ってるかもしれんが、低めへの制球さえブレなければ問題ない。俺のミットだけ見て思い切って腕を振ってこい」
「はい、中北さん!今日は初回から飛ばして行くって実況の方にも言ったので、有言実行です。」
若手とベテランが融合した新布陣で、プレイボールの時を迎える。




