第32話 ホーム開幕戦(2)
1回表
「ピッチャー、五反田。背番号13」
ウグイス嬢のアナウンスが響き渡ると、満員のスタンドから「竜太ー!」「頼むぞルーキー!」と割れんばかりの歓声と拍手が送られた。
マウンドに上がったドラ1ルーキー・五反田竜太は、一度深呼吸をしてから本拠地スタジアムの光景を目に焼き付けた。
緊張でこわばっていた体に、背番号13のユニフォームがしっくりと馴染んでいく。
捕手・後藤が構えたミットを見つめる。
後藤のサインは、初球から内角ギリギリを突く151km/hのストレート。
——ビシィィィ!!
「ストライクッ!」
「ナイスボール竜太!! いいキレだぞ!」
相手打線に対し逃げの球は一切なし。
内角を攻め立ててカウントを優位に整えると、最後は鋭く落とすフォークボールで相手1番打者を空振り三振!
続く2番、3番も内野ゴロに仕留め、
五反田竜太は本拠地デビューの初回をわずか9球、三者凡退という完璧な立ち上がりで切ってみせた!
「ナイスピッチ竜太! 最高だぞ!」
ベンチへ戻ってくる五反田竜太の頭を後藤がガシガシと撫で回す。
1回裏
超満員のファンの大声援に気負いすぎたのか、1番・米丸がボール球に手を出して空振り三振
続く2番・鎌倉、3番・西橋も外野フライに倒れ、初回の攻撃はあっさりと三者凡退に終わってしまう。
2回表
マウンドに上がった五反田竜太に動揺はなかった。
後藤の出すサインは、相手打線の狙いをあざ笑うかのような「超・ストレート勝負」。
——ビシィィィンッッ!!
「ストライクアウトッ!」
高めの152km/hストレートで空振り三振!
続く打者には内角ギリギリの真っ直ぐで力負けさせ、見逃し三振!
さらに続く打者も、浮き上がるようなストレートで振り遅れの空振り三振!
圧巻の三者連続三振!!
「竜太、ヤバすぎるだろ……!」
「後藤の強気リードに完璧に応えてるぞ!」
ルーキーとは思えぬ堂々たるピッチングに、本拠地スタジアムのファンから割れんばかりの「竜太コール」が巻き起こった。
2回裏
打席には「4番・ファースト」のゲイリー
相手投手の外角球を逆らわずに素直に打ち返し、ライト前へのクリーンヒットで出塁!
続く5番・スチュワートは三振に倒れ、1死1塁で打席に入ったのは、完璧なリードで五反田竜太を乗せまくっている6番・後藤だった。
「後藤! 自分で打って竜太を助けてやれ!」
ベンチから俺が声を張る。後藤はコックリと頷き、打席でどっしりと構えた。
相手投手が投げ込んだ、カウント1-1からのインハイのストレート。
——カキィィィンッッ!!
「行ったあああぁぁぁ!!」
打った瞬間、後藤は打球の行方を見つめてゆっくりと歩き出した。
完璧に捉えた快音とともに放たれた白球は、綺麗な放物線を描いてバックスクリーン真ん中へ直撃する第2号2ランホームラン
ダイヤモンドを一周してホームインした後藤を、マウンドを控える五反田竜太がベンチ前で飛びついて出迎える。
「後藤さん! 最高です!!」
「ハハッ、竜太! お前が最高のピッチングしてくれるから打てたんだよ! まだまだ点取ってやるからな!」
後藤の頼もしすぎる一発で、クリッパーズが2-0と見事に先制!
その後、打撃不振の壁に挑む7番・若狭、そして8番・平山は惜しくも内野ゴロに倒れたものの、
本拠地開幕戦の主導権を完全に握る絶好の展開となった。




