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兼任監督  作者: けろ


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28/43

第28話 開幕第3戦(2)

1回裏

2点のリードをもらった先発・竹井だったが、立ち上がりからボールが高めに浮き、投球に本来のキレがない。

連敗を避けたい相手打線の執念にも押され、連打を浴びて1死1・2塁。

ここで迎えたのは相手の4番打者だった。

「竹井、低めだ! 慎重にいけ!」

後藤のミットに応えて投じた外角低めへのスライダー。コースとしては決して甘くなかった。

しかし、相手4番のバットが上手くボールの下に入り込む。

——カキンッ!!

高々と上がった打球は、そのままレフトスタンド最前列へ滑り込んだ。逆転の3ランホームラン。

マウンドでガックリと肩を落とす竹井。ローテーション生き残りをかけた大事なマウンドで、いきなり出鼻をくじかれてしまう。


2回表

6番・平山が右中間を破る二塁打で出塁し、米丸のファーストゴロで1死3塁。

ここで7番・捕手の後藤が期待に応えるセンター前タイムリーヒット。

すぐさま3-3の同点に追いつく。

しかし、なおもランナーを置いた場面で、9番に下がった若狭が打ち取られて痛恨のダブルプレー。ベンチに戻る若狭の表情は暗く沈んでいた。


2回裏

竹井はヒットを打たれながらも、内野ゴロで打ち取ってなんとか無失点に凌ぎ切る。


3回表

先頭打者は1回にプロ初アーチを放っている恵良。

相手ピッチャーは恵良の足と打力を警戒するあまりストライクが入らず、ストレートの四球で出塁。

「よし恵良、暴れてこい!」

出塁すればこちらのペースだ。恵良は初球から完璧なスタートで二盗を決めると、続く球で間髪入れずに三盗

無死3塁で打席には2番・鎌倉。

鎌倉は引きつけてライト深くまで打ち上げる、完璧な犠牲フライ

恵良が悠々と生還し、4-3と再び勝ち越しに成功した。

「よっ! ミスター犠牲フライ!」

ベンチへ戻ってくる鎌倉に、スタンドのクリッパーズファンから愛のある歓声が飛ぶ。

鎌倉も「任せてください!」と照れくさそうに胸を叩いた。


3回裏

しかし、勝利の女神はそう簡単に微笑んでくれない。

リードしてもらった直後の3回裏。

竹井は2死まで漕ぎ着けたものの、走者を2塁に背負った場面で高めに浮いたストレートを痛打されてしまう。

——グラウンドを揺らす大歓声。

右中間スタンドへと吸い込まれる逆転2ランホームラン

「クソッ……!」

マウンドで膝に手を当て、地面を見つめる竹井。

俺は迷うことなくベンチを飛び出し、審判に球主交代を告げた。

「竹井、今日はここまでだ」

「……すみません、監督……」

悔しさと情けなさで声を詰まらせる竹井からボールを受け取る。

ローテ生き残りをかけた先発で、3回途中5失点でのKO降板。

「反省は試合後だ。まだ1点差、試合はこれからだぞ!」

竹井の肩を強く叩き、俺は早めの継投を決断。

3回裏でマウンドを降りた竹井の後を継ぎ、リリーフ陣へバトンを繋ぐこととなった。

マウンドに上がったのは、背番号19の山本尊(やまもとたける)

26歳、プロ2年目。遅咲きのルーキーとして昨年入団し、谷間の先発6番手として投げ抜いてきた男だ。

今季はロングリリーフもこなせるタフさを評価され、見事に開幕1軍の切符を掴み取っていた。

この回は無難に残り1人を打ち取る。


4回表

先頭の6番・平山が倒れ、打席には7番・米丸

チームNo.1の俊足男が、相手の初球を鋭く引っ張った。

——シュバッッ!!

打球はライト線ギリギリへ跳ぶ鋭いライナー!

相手ライトが決死のダイビングキャッチを試みたが、ボールはグローブのわずか先をかすめてライト線を転々とし、ファウルグラウンドの奥深くへ。

飛び込んだライトは衝撃で起き上がれない!

「抜けたあぁぁ! 走れ米丸! 3塁を狙え!」

コーチャーの叫び声に、米丸はギアをトップに入れた。

ライトのカバーに向かったセンターがボールに追いつき、拾い上げようとした瞬間——。

米丸はすでにサードベースを蹴り、猛烈なスピードで本塁へ突っ込んでいた!

「おいおいおい、ホームまで行っちゃうぞあいつ!」

「走れぇぇぇ米丸ッッ!!」

センターからの本塁返球が届くよりも早く、米丸がホームベースを駆け抜ける。

主審の両手が大きく横に広がった。

『セーーーフッ!!』

「うおおおおおーーーっ!! ランニングホームランだあああ!!」

ベンチを飛び出した全員が、泥だらけの米丸の頭を揉みくちゃにする!

米丸の今季第1号は、超圧巻のランニングホームラン。これで5-5の同点。

ベンチの隅で肩を落としていた竹井の元へ、息を切らした米丸が駆け寄って胸を小突いた。

「おい竹井! お前の黒星、消しといてやったぞ!」

「米丸さん……! ありがとうございます……!」

チームの熱い絆で、試合は再び振り出しに戻った。


4回裏

回跨ぎで山本が引き続きマウンドへ。

山本は持ち前の動くストレートと切れ味鋭いスライダーを低めに集め、相手打線を面白いように打ち取っていく。

ファーストゴロ、サードゴロ、そして空振り三振。

完璧な三者凡退!

荒れに荒れた乱打戦に、山本の静かな快投が冷や水を浴びせ、試合のペースをぐっと引き戻した。


5回表

恵良、鎌倉、西橋が打ち取られ無得点


5回裏

山本がこの回も踏ん張り、見事に相手の攻撃をゼロに抑える。

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