第16話 オープン戦初戦(1)
オープン戦の初戦、スタメンを組んだメンバー表を目の前に置き、俺は深く息を吐き出した。
若い芽と実績あるベテラン、そして新戦力がバランスよく組み合わさった、実にクリッパーズらしい泥臭くも勢いのあるオーダーだ。
1番 サード 米丸慎也 背番号60
2番 ライト 鎌倉大斗 背番号57
3番 レフト 西橋賢介 背番号8
4番 DH ゲイリー 背番号42
5番 セカンド 小芦純 背番号35
6番 キャッチャー 後藤紀之 背番号33
7番 ショート 若狭大将 背番号7
8番 センター 津田智也 背番号41
9番 ファースト 平山明彦 背番号0
先発 今井瑠星 背番号12
今井は今年4年目の25歳、右投右打。
昨年の開幕投手にも起用され、2桁勝利を挙げることもできたが(11勝6敗)
年間を通してローテーションを守ることはできなかった。
キャッチャーの後藤、外野の津田といった
対外試合では調整中だった選手も本格始動する。
1回表
相手ピッチャーが初球を投じた瞬間、1番・米丸が絶妙なサード前へのセーフティバントを転がした。相手の内野陣が慌てる間に、米丸の足がファーストベースを駆け抜ける。
「ナイスラン、米丸! 足でかき回していけ!」
ベンチから声を張ると、米丸はすぐさま期待に応えた。
次打者・鎌倉の初球で果敢にスタートを切り、見事に盗塁成功。ノーアウト2塁。
鎌倉が落ち着いて初球をきっちり送りバントで1アウト3塁。
3番のベベテラン西橋が粘りに粘ってフルカウントから四球を選び、1、3塁とチャンスを広げる。
打席には4番のゲイリー・アーンハート。
「ゴー! ゲイリー!」
相手投手が投じた外角の直球を、ゲイリーの豪腕が一閃した。
——バコォンッ!!!
けたたましい打球音が球場に響き渡る。快音を残した打球はあっという間にレフト頭上を越え、ダイレクトでフェンスを叩いた。
3塁から米丸が悠々ホームイン。さらに1塁から激走した西橋も一気にホームへ生還。
クリッパーズ 2点先制。
「よし! ゲイリー、ナイスバッティング!」
ベンチ前で拳を突き出すと、二塁上でゲイリーが胸を叩いて笑ってみせた。
続く5番小芦は内野ゴロに倒れたものの、全力疾走で併殺を阻止。
さらに小芦も隙を突いて2塁盗塁を決め、初回から積極的に次の塁を狙う姿勢を見せる。
後藤はセンターフライに倒れて3アウトとなったが、初回から最高の形で2点を先制した。




