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9_第九話【大地の愛を受けるに値するもの】



「はっ、はっ、はっ……、あぁ……、ダメ……。もう魔力が……、底をついちゃう……。もし完全に尽きたりしたら、……私も銀髪の民になっちゃう……! それよりは、わたしは貴族として……死ぬ」


 マドールが。そう言って地面にへたり込んだ。それでいいんだ、嬢ちゃん。もう頑張るな。あとはあの怖えシン姐さんがやってくれるからよ!! 安心してみていろ!!


 溶岩が。もともと、土魔力の追加エネルギーだけで熱されていたなんちゃって溶岩なので、エネルギーの補充が止まると。あっという間に固まって多少熱を持つだけの岩石になっちまった。

 その丸い大きな岩石のステージの上を。シンが無言でかかとを鳴らして。ツカツカ前に進み。歩む、歩む、歩み寄る。ウドールに向かって、刻むように一歩、一歩と。


 その顔は冷顔。その眼は冷眼!! おっそろしい表情!! ブルっちまうよロッツさんも!!


「か……、は、あ……、や、や……、めぇ! こる!!」


 おらぁ!! ウドール!! こる? じゃねえ!! 来るなって言いたいんだろ? おめえおびえ切ってんじゃねえか!! 暴虐おっさんがよぉ!!


「貴様を裁くわけではない」

「私は己の我意と好みだけで」

「人を庇護し、人を破壊する女だ」

「正義を割り砕き、悪をしのぐ」

「そうでなければ、銀髪の民の女が」

「貴様のような人間の住む世界で生きられるものか!!」

「世界のミステイク。そして愚行と醜行のごみ溜めの蛆ように」

「人の痛みを喜ぶこの愚物が!!」


 うぎゃあああああ!! 敵とか、味方とかより!! 安心か恐怖かで判断すれば!! まさに恐怖の極北なシンの処刑宣言!! ロッツさんは寒気でサブいぼと鳥肌すげえよお!!


ん? ウドールの様子が? へん? だな。

あせって、へたり込んだマドールのところに駆け寄って!! うわっ!! なんだ? ドレスの胸元に手を突っ込んで!!


何かを引っ張り出した?! マドールは何をウドールに渡した、いや。奪われたんだ?


「あ! だめ!! やめてえ!! お父様やめて!! それはお母様の!! もう、会えないクレールお母様が!! 私に遺してくれた! 身代わりのロケットなのに!!」


 !! まさか!! あのウドールめ!! 身代わり守りに……?!


「!! 身代わり守りに! サイレスを押し付ける気かっ!! まずい!! サイレスブリットは今は他にはない!! くっ!! 備えが浅かったか!!」


 があああ?! シンが動じやがった!! 状況やべえのかよ?! おいいい!!!


「やめてえええええ!!」


 あの人にあらずな、父親概念セルフクラッシャーめ!! ウドールめ!! マドールから奪った、まあ察するに亡くなった母親の形見かなんかだろうかの、ロケットペンダントを握って!!


 にたああ!! りん!!


 と!! もんのすげえ!! ヘドロスマイルでバリアントに笑いやがった!!


「ぬめ!!」


 なにがぬめ!! かあ!! 変な声と共に、マドールが持っていたペンダントを握り壊したウドール! すると……!! なにぃ?!


「ふぉーお!! ぅうっ!! ぶわははははははは!!! 甘いぞ銀髪の死神!」


 奴の声が戻った?! よくみれば、砕けたマドールのもっていた白玉のペンダントが濃緑に染まった破片としてウドールの足元でキラキラと光ってやがる!! ああ! まさか!! あの野郎、サイレスをあの石に吸わせやがったのか?! あんだそりゃあ!!


「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはあああああ!! 勝ちだ勝ちだ勝ちだわたしのヴィクトリアヌス・ヴィクトリィ決定!! 貴様にはもう。サイレスはなぁあああああああい!! おれのかちいい!!」


 うっわ!! すげえむかつくウド!!


「ゆくぞ!! 大地に愛された土の聖魔導師!! ウドール君のリーサルウェポン・マジェスティック!! 六段土魔導術……!!」

「やめて! お父様!! 死んじゃうわ!! お父様は五段しか段位がないのにぃ!!」

「うるせえ!! ハピネスドーター!! 食らいやがれ!! 混血盗賊!!」


 あはう? おれ? なんでウドの狙いが俺になってんだよおおおお?!!


「発効!! ガイアトレマードクエイク!! いけえええええ!!」


!! 大地が!! 咆哮えた?!


                 9話  END


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