7_第七話【剝いでしまった理性】
「フフフフフフフフフ……! フッ!!」
フが多いぞ、伯爵ウドール!! それだけ余裕だってことなんだろうがな!!
「クク……くくくくく!! おかしいな、ウドール!! それで防げるつもりかっ!!」
こっちはクかよ、シンさんよ!! まあそりゃいいけど。どうするんだ? あのウドールの創り出した分厚い岩石の壁!! 言いぶりからするとやれそうなシンだが……?
とか思ってると? 一回頭上に魔導銃を握った右腕を振り上げて!
余裕しゃくしゃくの構えで、ウドールを隠す岩壁に振り下ろした魔導銃で狙いを定めたシン!
「ゆくぞ!! 魔導弾丸開放!! マジック・ディスペル・ブリット!!」
!! あれか!! 闇魔導四段術、『魔法霧消』!! やっべえもん使ってんなあいつ!!
その弾丸が開放されると! 銃口から緑色に輝く魔法陣が発生して!! 回転しながら急速にサイズを拡大していき!! ウドールの岩壁に当たったと思うと!!
一際激しく緑の輝きを放って!! その光を壁に感染させると!! 光の粒子になって、見事に壁ごと消滅したっ!! うおおお! やるじゃねえかあ!!
「!! おぬう!! ききき! きっ貴様ぁあああああああ!! 銀髪の劣悪獣めがぁ!! 貴族の盾をはがし、貴種に劣界の! 貴様らと同じ空気を吸わせると何事かっ!! この! 身売りの臭いのしそうな! 安い銀髪の売女があああああ!!」
! ウドール!! あの野郎殺す!! 自慢の防御岩石壁を剝がされたときの! 最悪の発言!! あいつの頭の中身には、清貧や忍耐を理解できるメモリーなんざねえことが一発でわかる言葉を並べやがった!!! クソみてぇな人格してやがる!!
「……そうか。私が娼婦に見えるか。やはり隠せぬな」
シン少し静かになった、というか。ぴたりと動きを止め……。
首を起こして、ウドールに問う。
「一度でも身を売れば。それですべてが決まる世の中。そうでなければならないらしいな? ははは。それを作ったのがお前たち。ならばやはり私は己のためにも貴様を撃たねばならぬな……。全く愚物らしい煽りだよ、ウドール!!」
それを聞いたとたんに。ウドールの奴のヘドロボイスが炸裂した!!
「売ったのだな? やはりな!! 銀髪の女は、銀髪の男が必ず犯罪を犯すように!! その性根が邪悪で淫乱なのだ!! その証明が……! なんだ貴様は!!」
おうよ。俺だ、ロッツさまだぁああああああああ!!
「きっさま!! この貴族の超素晴らしい私の顔に!! ダガーを投げつけて!! かすり傷を……!!?」
「はいはいはいはい! あほかてめえは? ああん? 伯爵愚物? まじでカッ殺すぞ? いいかぁ? 娼婦ってのはぁよ? ガキ抱えてたり、親父さんや兄貴さんが病に倒れて、やむを得ず身を売るものがほとんどなんだよ、このモンキーマインド伯爵野郎ぉ!!」
「だまれぇ!! 私に傷をつけたに飽き足らず!! 邪悪な者の擁護なすか! 混血児と言えども!! 貴様に魔道王国イオシスの民の誇りはないのか? 天然パーマのクソ野郎がぁああああああ!!」
「うるっせ! この、心的概念退化野郎!! いいこと教えてやろうか? 娼婦ってのはぁよ? おめえじゃ思い及びもつかねえくらい名声を持ってるんだぜ?! 偉そうにご高説唱えて税金大喰らいのてめえらとは違って! 一生女を抱けることのないであろう、貧者や弱者に夢を与える! 弱きものの女神だからよぉ!! わかったか? この、タコマル!!」
はっはっはっはーぃ!! そういうことだぞ伯爵さんよぉ!! オメエらみてぇなリッチリッチなリッチモンドワールドに生きられねえ俺たちが『どんだけきつくて辛くて。それでも前見て』『だからこそ生きることを大切に思えてるか分かったか!!』ってんだ!!
「……だめだ。生かしておけんな!! 貴様らはくたばらせてやるぞ!! ゆくぞ!! 土魔導術五段呪! マグネス・バル・フィールド!!」
んだぁ? ウドールの右腕に!! すさまじいエナジーのボルトが宿ったと見えた!! 奴は、その腕を地面にたたきつけ、拳からエナジーを大地に叩き込んだようだけど……!!
「踊れ!! 溶岩の奔騰!! 銀髪とあのこざかしい混血児を!! 吞み込んでしまえ!!」
ぐわああ!! 俺のところまでは届かない。俺は素早く邸の門際にまで走り去ったから!! でも、やべえ!! 庭の土が融けて、どろどろのマグマになったじゃねえか!!
ウドールの奴の発動させた術は!! 土魔導術五段相当の!! 『溶岩熱陣』!! とんでもねえ威力をもつ、広範囲魔導攻撃!! どうすんだよこんなの!! シン!!
7話 END




