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最終章 第1話『皇帝の執着と激情』


 


俺が、心を動かされたのは、あの冬の日だった。


幼く、儚く、けれど誰よりも鮮やかに輝く存在。


リリー......


彼女を拾ったとき、俺の世界は色を持った。


そして、手にした瞬間に悟ったのだ。


この子を、絶対に誰にも渡さない。


 


それは決して、慈愛ではない。

恋とも、きっと違うものから始まった。


彼女の笑顔を見れば、世界が許せる。

彼女が誰かに触れれば、胸が軋む。


彼女が他人に笑えば――俺の手でその者の口元を潰したくなる。


 


何度も、己の感情に戸惑った。


「これは、王にあるまじき――支配欲だ」と。


だが気づいた。


違う。


これは――“愛”だ。


そう定義してしまえば、いくらでも許される。


「誰にも触れさせない。

 彼女の選択肢から、“俺以外”をすべて排除してやる」


それがどれだけ歪んでいても構わない。


たとえ、彼女が怯えようと、憎もうと――


それでも、俺は、彼女だけを選び続ける。


 


時が経つにつれ、彼女の中にも“俺”という存在が染み込んでいくのが分かった。


俺を頼り、俺を見上げ、俺の指先ひとつで笑う。


そのたびに、俺は思った。


 


ああ、やはり間違っていなかった。


この感情は、狂気ではない。

“本能”だ。


 


14歳の誕生日が近づいている。


もう“ただの保護者”でいる必要はない。

建前も、理性も、もういらない。


 


次は、奪いに行く。


彼女の唇も、体温も、未来も――すべて俺の手の中に閉じ込める。


 


リリー。

お前がどれだけ逃げても、許しても、怯えても、抗っても――


お前は、俺のものだ。


 


その運命を、正式に刻みつける日が、すぐそこにある。


 


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