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『魔法チートな幼女ですが、冷酷皇帝に拾われて溺愛されてます』  作者: カトレア
第三章:皇帝との恋愛編

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第8話『キス、そしてまだ知らない熱』




春風が夜を撫でるように吹いている。

中庭のベンチで、私はカイゼルと肩を並べて座っていた。


「風、気持ちいいね」


「お前が冷えるのは困るがな」


そう言いながら、ふわりと膝にかけられたのは、カイゼルの外套。

温かくて、ちょっとだけ彼の香りがした。甘い花のようで、でも少しスパイスがきいてる、あの不思議な匂い。


 


「……最近、少しだけ、変わってきたんだ」


「変わった?」


「うん。カイゼルのこと、昔は“怖い”とか“神様みたいに遠い”って思ってたのに……」


目を伏せて、続ける。


「今は……“近くにいてくれる人”から、“ずっとそばにいてほしい人”って、思えるようになってきて」


「……そうか」


 


カイゼルは私の手をとった。指先が熱を持って、心臓がどくんと跳ねる。


「なら、次の一歩を踏み出すのは――俺の役目だな」


「え……っ」


 


その瞬間、肩を抱かれて、唇が塞がれた。


 


「――っ!」


 


深くて、甘くて、逃げ場のないキスだった。

舌先が触れたとき、びくんと体が跳ねて、頭の中が真っ白になる。


「ふ……ん……ッ」


呼吸が奪われて、口の中が熱くて、手も体もどうしていいか分からない。

なのに、怖くはなかった。むしろ、カイゼルにすべてを預ける安心感があった。


 


やがて唇が離れる。


「……リリー」


私の名前を、囁くように呼ぶカイゼルの声が、妙に艶っぽくて。


「お前の身体が成長したら、もっと深くお前を知りたい。肌のぬくもりも、鼓動の速さも、全部……俺だけのものにしたい」


「――っ、それは……」


顔が熱い。体中が熱い。

わかってる、これは、ほんの触りの“恋”じゃない。

本物の愛に踏み込む、直前の境界線。


 


でも私は、まだ震えていた。


 


「……もう少しだけ、待ってください」

「私は……まだ、全部に答えを出せるほど、大人じゃないから」


「――ああ。待つとも」


 


彼は私の髪を撫で、もう一度、今度はそっと唇を重ねた。

触れるだけの、やさしいキス。


それが、次の約束みたいに感じられて――胸が、きゅっと鳴った。

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