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VRゲームで歩む最強への道  作者: 仮面色
2章 校内ギルド
32/40

32戦目 特訓

なんとか書き上げました……!

「さて、じゃあブレイズ」

「……はい!」



 俺が呼び掛けると、ブレイズは薙刀を胸に抱いて勢いよく立ち上がった。いつも通り眠そうな眼だが、その奥には火が灯っている。



「タッグマッチをやるにあたって、連携の練習をしといた方がいいと思うんだ」

「……わかりました。作戦は?」



 ブレイズは近接戦闘型で、俺は後衛、回復役だ。だから役割分担はある意味明確だ。



「とりあえずブレイズが突っ込んでいって、俺が後ろからサポートしよう」

「……でも、ゴースト様の方が強いです」

「そう言うな。二人で一緒に突撃したら作戦も何もないし、ブレイズはサポートには向いてないだろ?」

「……確かに」



 一瞬疑念を浮かべたブレイズだったが、俺の説明に納得してくれたようだった。



「じゃあとりあえず練習とレベル上げを兼ねて、二対二でやってみないか?」

「いいよ!」

「う、うん……」



 タッグマッチの練習として、ティアーとリンクスに相手をお願いした。早速ステージへと移動する。



「ここは……」

「……『街中』ステージですね」



 移動した先のステージは、立派なビルが立ち並ぶ街中だった。以前百獣団と戦った時は廃墟ステージだったが、ここは見上げるほどの高いビルが並ぶ大通りとなっていた。



「よし、じゃあ作戦通り行くぞ」

「……了解です」



 辺りを見回しながら、ブレイズと共に慎重に歩いていく。人通りがないので、景色を見るのは楽だ。



「見つけたよ!」



 前方から声が響く。見るとリンクスが仁王立ちしており、その後ろの少し離れたところからティアーが銃を構えていた。



「にゃあ!」

「……!」



 突撃してくるリンクス。それに合わせてブレイズも前に出た。およそ中間地点辺りで互いの武器が激突する。


 入部してすぐブレイズとリンクスが戦ったことはあった。だがあの時は、ブレイズは銃を使ってたから今とは違うだろう。



「はっ、とっ、にゃっ!」

「…………」



 ブレイズは薙刀を素早く振り回し、遠心力による重たい一撃を繰り出す。だが、リンクスは両手の手数とスピードでカバーし、互角に渡り合っていた。



「え、えい!」



 しかし均衡が崩れる。ティアーからの援護射撃が加わったからだ。リンクスはブレイズと戦いながらも、ティアーの射撃を巧みにかわしていく。


 一方、ブレイズはスピードはそこまでない。リンクスのスピードに追い付く為に集中しているし、どうしても射撃にまで気が回らないようだ。着実に被弾していく。



「だが、それはそれで問題ない、っと」



 俺はというと、黙ってやり取りを見つめていた。時々ティアーの銃口はこちらにも向くが、距離が遠すぎる。流石にこれだけ離れていれば、かわすのは簡単だった。そしてスキルゲージが溜まるのを待つ。



「『万死一生デッド・アンド・アライブ』!」



 頃合いを見計らって俺はスキルを発動させた。対象はもちろんブレイズだ。削られていた体力がみるみる回復していく。



「にゃっ!? しまった!」



 そして回復させたことで、『死』が充分溜まった。チャンスだ。


 俺はブレイズとリンクスを避けるように回り込み、ティアーに近づいた。ティアーも下がろうとしたが、若干距離は縮まっている。



「喰らえ、『最悪の終わり(バッド・デッドエンド)』!」



 黒い光線がティアーへと飛んでいく。ティアーはかわそうと体をひねったが、避けきれない。光線が腹部にかすっていった。


 惜しい……。頭や心臓に当たれば即致命傷だったものを。だが、充分ティアーの体力は削ることができた。ここが勝負所だ。



「ふっ!」

「こ、来ないで……!」



 俺はそのままティアーへと距離を詰めていく。俺もティアーもそんなに足は速くないので、回りから見ればゆっくりした追いかけっこかもしれない。だが、そこはレベル差がある。じわじわと距離は縮まった。



「こ、このっ!」



 途中、苦し紛れにティアーは銃撃を行う。俺はそれを被弾しようとも無視して追いかける。



「『万死一生』」



 ある程度溜まったところで、回復技で自身を回復させた。そしてとうとう手が届く距離まで追い詰めた。



「うりゃ!」

「かはっ!」



 基本的に俺の戦闘スタイルは徒手空拳なので、どうしても通常攻撃は地味になってしまうのだが仕方ない。俺はティアーに拳や蹴りを繰り出す。


 着実にダメージを与えていた。もちろん至近距離から離れないように気をつけている。こうなると遠距離タイプのティアーは非常に苦しい展開だろう。



「お姉ちゃん!」



 しかし、そこで邪魔が入った。反射的に振り向くと、リンクスがブレイズを振り切って、すぐそこまで来ていた。その後ろをブレイズが追いかけてくる。どうやらティアーを助ける為に、一旦こちらに移動してきたらしい。



「にゃあ!」



 リンクスは飛び上がると、腕を大きく振って鉤爪の一撃を加えようとする。俺は腕を上げて受け止めた。だが、武器でもなんでもない体で受け止めたので、当然ダメージは受ける。俺はリンクスに向けて手のひらをかざした。



「くっ!?」



 リンクスはしゃがんで避けようとする。が、何も起こらなかった。おそらくリンクスは俺がスキルを使ってくると思い、反射的に回避の体勢を取ったのだろう。だが、それはフェイントだ。実際には俺はスキルを使わなかった。そして素早く腕を下ろすと、蹴り技に切り替えた。



「しっ!」

「にゃっ!?」



 腹部に俺の蹴りがもろに入った。その衝撃でリンクスは空気を吐き出す。追撃しようと思ったところで、後頭部に衝撃を受けた。振り返るとティアーが銃を構えていた。挟み撃ちの形だから、忙しいな。



「……!」



 ここまでほんの十数秒の攻防。そして追い付いたブレイズが、今度はティアーを狙っていく。先に体力の減っているティアーを片付けようと考えたのかもしれない。と、なると……。



「俺の相手はリンクスか」

「いてて……まだまだこれからだよ!」



 接近戦が始まった。俺としてもダメージを受けてばかりでは、少々厄介なことになる。襲いくる鉤爪を捌き、いなし、かわす工夫が必要だ。その辺は経験則に乗っ取ってやるしかない。



「なかなかやるなぁ」

「余裕そうにしか見えないよ!?」



 流石に片手でさばけるとまでは言わないが、ある程度はなんとかなる。とはいえリーチの問題からどうしてもこちらの攻撃が届きづらいので、そこはカウンター気味にタイミングを合わせるしかない。



「『猫招き(キャットパンチ)』!」



 そうこうしてる間にリンクスがスキルを発動させた。だが、ばか正直に受ける訳にもいかない。俺の回復スキルにも限度があるからだ。


 俺は伸ばしてきた腕の手首部分を掴むと、グイと引っ張った。そしてそのまま顔面にパンチを繰り出す。



「にゃっ!?」



 大した衝撃ではなかったが、大抵の人間は顔面に衝撃を受けると一瞬意識が飛ぶ。そしてその一瞬を狙い、身を低くしてリンクスの懐に入った。



「はあっ!」



 地面をしっかり踏みしめながら、掌底を打ち出す。リンクスの腹部へと直撃し、体がくの字に折れ曲がった。



「がはっ!」



 リンクスの体が吹き飛ぼうとする。だが、俺はそのまま距離を詰めて手のひらを押し当てたままスキルを発動させた。



「『最悪の終わり』」



 黒い光線が背中まで突き抜けて貫く。そしてリンクスの体力はゼロとなった。その場に倒れ伏し、動かなくなる。



「リ、リンクスちゃん……!」



 ティアーは妹がやられたことに動揺して、一瞬意識がそれた。が、その隙をブレイズは見逃さなかった。



「……『炎の輪舞曲(バーニング・ロンド)』」



 炎の輪が薙刀の先から飛び出す。一直線に飛んだそれは、ティアーに直撃した。水属性で有利とはいえ、スキルを喰らってしまえば大ダメージは避けられない。



「ああっ!?」



 体勢を崩したものの、ティアーはまだやる気だった。そこへ俺が近づき、拳をぶつける。


 通常攻撃ではあるものの、地味にダメージを受けたティアーはその場に膝をついた。







「くあー、負けたー!」

「リ、リンクスちゃん、落ち着いて……」



 戦闘を終えてギルドホームのリビングに集まっていた。リンクスは頭をかきむしり、悔しそうにしていた。それをティアーが宥めているという、いつもの逆パターンになっていた。



「まぁまぁ、結構善戦した方だと思うぞ」

「そう言われても……負けは負けだもん」



 俺も一応フォローは入れるが、リンクスの膨れっ面は直らなかった。仕方ないので話題を切り替える。



「これで連携はだいたい掴めたと思うけど……ブレイズはどうだ?」

「……バッチリです」



 ブレイズはちょこんとソファーに腰かけたまま、満足そうに頷いている。



「さて、後は相手が誰になるかだな」

「それって秘密なんでしょ?」



 少し機嫌を直したのか、リンクスが質問してくる。俺はそれに無言で頷いた。



「先生が秘密だってさ。……そうだ、ブレイズをパートナーにしたことを報告しないとな」



 そこで話題が途切れそうになったが、ティアーが手を挙げた。



「お姉ちゃん?」

「え、えっと、みんなの武器を強化するって話は……」

「そういえば、そうだったね!」



 そうだった。素材を手に入れたまま後回しにしていたが、いい機会だからやっておくか。



「メニュー画面を開いてと……」



 実は武器の強化自体は簡単だったりする。使用する素材と武器を選んで、合成を選択するだけだ。それだけで強化が完了する。これが一から武器の作成となると話が変わってくるのだが……今は置いとこう。


 そして武器の強化にも注意する点がある。それは合成するとどのように強化されるのかは、試してみないとわからない点だ。市販の武器なら、ある程度合成の組み合わせについて情報が出回っているから容易ではあるのだが。



「よし、じゃあみんなそれぞれこの前手に入れた素材を使って、合成してみて」

「オッケー!」

「う、うん……」

「……了解です」



 各自メニュー画面を操作していく。一分もしないうちに合成が終わる。簡単なものだ。



「無事終わったよ。ちゃんと強くなってた!」

「そりゃ良かった」



 リンクスが早速強化された鉤爪を取り出して、嬉しそうに眺めている。見た目は変わってないが、威力が上がっているはずだ。ティアーとブレイズも同様に嬉しそうにしている。



「えーと、じゃあ他に報告とかある人?」



 一通り盛り上がったところで、リンクスが皆に問いかける。俺としては特に何もなかったので、そのまま終わると思っていた。だが、意外なことにブレイズが手を挙げた。



「ブレイズ?」

「……報告がある」

「なになに?」

「……さっきの戦闘でレベルが上がってた」

「おおー、良かったじゃん!」



 戦力強化は素直に喜ばしいことだ。



「……それでレベル60になったから、新たなスキルを覚えた」

「えっ、えっ、すごいじゃん! いーなー」



 これは嬉しい誤算という奴だ。予想してなかったところから、いい知らせがやってきた。



「これでますます強化されるな」

「そうだね! ギルド戦で勝てる可能性も上がってきたね!」



 後は、ティアーとリンクスもレベル上げていかないとな。

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