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VRゲームで歩む最強への道  作者: 仮面色
1章 始まり
17/40

17戦目 準備

「で、後は準備だけど……」

「はい」



 今度は俺が挙手して発言の許可をもらう。俺のおふざけに投網も乗ってくれた。



「はい、真偽君」

「情報収集は俺に任せてくれないか?」

「え、でも……」

「俺は戦わないんだし、せめて裏方で頑張ろうと思ってさ」



 投網は腕を組んで考え込んでいる。そして網目先輩に振った。



「お姉ちゃんはどう思う?」

「わ、私? えっと、真偽君がやりたいなら、お願いしてもいいんじゃないかな、って……」

「……特に異論はない」



 網目先輩とついでに一縷も、積極的ではないものの賛成してくれていた。



「よし、決まりだな。後は明日までに出来る限りの練習をした方が良くないか?」

「確かにそうだね」



 昼休みも終わりかけだったので、俺達は慌てて教室に戻ることにした。



「おい、真偽。調べたぜ」

「仕事が早いな!」



 情報を調べるのを引き受けた俺は、内助に協力を仰いでいた。昼休み教室に戻ってから、明日までになんとか頼むと伝えていたのだが……放課後になるとすぐ話しかけてきた。



「予想以上のスピードだな」

「そこはまぁ、こっそりSNSで聞いといたんだよ。ギルドの先輩や、同中出身の同級生にな」



 こっちは放課後動き出そうと思っていたから、大助かりだった。頼んで良かったな。



「とりあえず、調べた情報はまとめてお前の端末に送っとくから、確認してくれ」

「わざわざすまないな」

「気にすんな! 俺にできることがあれば手伝うって言っただろ?」



 特に恩に着せることもなく、爽やかに笑ってみせる内助。世話になりっぱなしでは申し訳ないな。



「ありがとな。お礼と言ってはなんだけど、もし俺の協力が必要なら、いつでも言ってくれ」

「ああ、その時は頼むぜ」



 情報の確認は後回しにして、ひとまず部室に行くとしよう。







「お待たせ」

「待ってたよ、ゴースト!」



 部室に着いた俺は扉を開けたが、三人は既に到着していた。しかも意識の無い状態、というかリンクしてる状態だったので、俺も早速席に着きギルドホームへとリンクした。



「じゃあ早速だけど、情報を集めてもらったからそれを確認しようか」



 メニュー画面を操作して、もらった情報を映し出す。三人は俺の周りに集まり、画面を覗き込むようにしていた。そこにはこう書かれていた。



─────

畑江 アバター:【グリズリー】

・一年生

・パワータイプ

・斧を武器とする

・巨体から繰り出す攻撃は破壊力が高い



筑紫(ちくし) アバター:【ゴズ】

・二年生

・パワータイプ

・金棒を武器とする

・一撃を溜めて撃つのが好き



前原(まえはら) アバター:【メズ】

・二年生

・パワータイプ

・金棒を武器とする

・小さな攻撃が得意


─────



「「「「………………」」」」



 データを見た感想は、なんとも微妙だった。全員パワータイプだし、似たような相手だ。



「えーっと、これは……」

「……力自慢ばかり」

「な、なんか強そうだね……」

「これ作戦とかいるかな?」



 将棋やチェスでもそうだが、同じ駒ばかり揃えても勝つのは難しい。何か狙いがあるのか? ふと思ったので、ティアーに聞いてみる。



「網目先輩、百獣団って男子と女子どっちが多い?」

「た、確かほとんどが男子だったと思う……」

「脳筋ばかりか……」



 でも今回は好都合だ。相手のタイプがわかれば、いくらでもやりようはある。



「作戦は簡単だな。遠距離攻撃やスピードを活かして戦えばいいだけだ」



 メズとゴズには既に一度勝ってるし、グリズリーは俺との戦いで傾向はつかんでる。後はそれに最適な戦術を取ればいいだけだ。



「よーし、じゃあ三人の連携を練習しないと!」

「その前に……俺から提案がある」

「えっ?」



 張り切って練習を始めようとしていたが、聞きたいことがあった。なので流れを断ち切らせてもらう。



「ティアー、そしてブレイズ」

「な、何……?」

「……?」



 二人は対照的な反応だが、どちらも不思議そうにしていた。



「二人の扱ってる武器なんだが……どうしてそれを使ってるんだ?」



 気になったのはそこだった。ティアーの薙刀とブレイズの二丁拳銃。なんとなく合わない気がしていた。



「わ、私は近づかれないように、相手を吹き飛ばせるからかな」

「……二丁拳銃なら弾数が多く撃てるから」



 考えなしだったりなんとなくだったりせずに、一応二人とも理由があったようだった。だが……。



「俺の見たところだけど……二人の武器は逆の方がいいと思うんだよな」

「「「逆?」」」

「ああ、ティアーが遠距離武器で、ブレイズが長物を使った方が合ってると思う」

「か、考えたことなかった……」

「……私も」



 あくまで俺から見た意見だが、我ながらいいと思ってる。



「ティアーは近づかれるのが苦手なんだろ?」

「う、うん……」

「なら、尚更遠くから攻撃した方がいいと思う」

「で、でも近づかれたら……」

「近づかせないようにすればいいんだよ」



 俺があまりにはっきり言ったせいか、ティアーはポカンとなっていた。



「常に離れ続けて、遠くから撃ち抜く。そしてもし近づかれたら、スキルを使って距離を取るんだ」

「な、なるほど……」



 俺は説明しながら、メニュー画面を片手間に操作していた。そして装備品の一つを取り出す。



「だからこれを使ってみてくれ」

「これは……?」

「『インディゴ・リボルバー』だ。水属性の攻撃に補正がつく武器だ」



 二つセットになった、濃い青色のリボルバーを手渡した。大きすぎず、ティアーの細い手でも扱えるだろう。



「とりあえず、的を狙う練習してみてくれ」

「わかった、やってみる……!」



 リボルバーを色々な角度から眺めながら、ティアーはドアからギルドホームの外に出ていった。試し撃ちをするつもりだろう。次はブレイズだ。



「ブレイズ」

「……はい」

「お前は、見てるとあんまり動きたがらないように思えたんだが……どうだ?」

「……間違ってない。近づいてきた相手を仕留める方が得意」



 いわゆる待ちの姿勢というやつだ。それをするなら銃のような遠距離武器よりも近距離武器の方が合ってる。



「ティアーにも今言ったけど、飛び道具を使うなら動き回る方が基本なんだ」

「……あんまり得意じゃないかも」



 ブレイズは眉根を寄せている。やはり苦手科目なんだろう。



「なら槍とか薙刀とか、リーチがあって破壊力のある武器の方がいいぞ」

「……わかった。でも、私は持ってない」



 困ったように呟くブレイズ。普段から銃を使ってたなら持ち合わせが無いのは当たり前かな。


 俺は再度メニュー画面をいじる。そして長い棒状の武器を取り出した。



「じゃあこれ」

「……?」

「『フリッカー・トーチ』だ。火属性の威力を上げる効果がある」



 デザイン的には、まるで長く細い蝋燭のような形をしている。先端は燃える炎ではなく、炎のような形の刃がついているが。



「多分、ブレイズなら大丈夫だと思うけど……それで練習してみてくれ」

「……わかった」



 こくりと頷くと、静かに外に出ていく。最初は一人で練習した方がいいからな。



「あとは……」



 チラリと残ったリンクスを見る。彼女は何かを期待するようなキラキラした目で、俺を見つめていた。



「リンクス」

「はい!」

「リンクスには特にない。そのまま頑張ってくれ」

「ええ!? 私だけ何もないの?」



 そう言われても、リンクスの戦闘スタイルは特に口出しできるところが無かった。



「スピードを活かして、両手の爪での連続攻撃。割りと完璧じゃないか」

「そうかなー……?」

「そうとも。だからリンクスはそのスタイルを突き詰めていけば、強くなれる」

「うーん……なんか納得いかない気もするけど……わかった」



 一応わかってくれたようだった。拗ねたりしなくて良かった。



「じゃあ明日に備えて、俺達も練習しようか」



 と言っても俺は出ないつもりだから、一緒にと言うのもおかしいが。



「うん。でもゴースト、一つ聞いていい?」

「どうした?」

「二人に渡した武器って、結構強い奴だよね? どうしてそんなの持ってるの?」

「それは……前のギルドが解散した際に、みんなで装備を分け合ったんだよ。使わないと思ったけど一応取っといたんだ」

「ふーん……」



 こんな機会でもなければ、ずっと俺のアイテム倉庫の中で眠っていた可能性が高いな。嘘は言ってない。だが、なんとなくリンクスは訝しげな目で見ていた。







「あ、ゴースト……」



 外に出ると、玄関のすぐそばにティアーは立っていた。俺を見つけるとこちらに寄ってくる。



「す、すごいよ、この銃……! 威力も高いし、射程も長くて……!」

「わ、わかったから落ち着け」



 いつになくティアーは興奮しているようだった。あのおどおどしたティアーがグイグイ俺にくる。



「良かったね、お姉ちゃん」

「うん、これなら今までより安心して戦えるかも……」



 気に入ってもらえたようで何よりだ。ティアーの方は心配なさそうだな。



「じゃあ一回戦ってみよ!」

「う、うん、いいよ……」



 二人は実際に戦ってみるようだった。なので、向こうは任せて俺はブレイズの様子を見に行くことにした。少し離れたところでブレイズがトーチを振り回している。



「ブレイズ、それはどうだ?」

「……かなりいい」



 両手でトーチをくるくると右へ左へ振り回してみせるブレイズ。渡したばかりでここまで扱えるとは、俺も驚きだった。



「初めてとは思えないくらい、うまいな」

「……自分でもびっくり。でもなんとなく使い方がわかった」



 これも一種の才能という奴だろうか。何にせよ、ぎこちないよりは滑らかに使える方がいい。



「問題なさそうだな。なら後は三人の連携だな」

「……ゴースト」



 リンクス達を呼んでこようと、向こうを向いた瞬間ブレイズがポツリと話しかけてきた。



「ん?」

「……ゴーストはどうしてレベル1?」

「それは……」

「……あれだけの観察力があって、弱いなんて信じられない」



 適当に誤魔化そうとしたところで、言葉に詰まった。ブレイズは眠そうな眼でまっすぐに俺を見ている。参ったな……。



「俺にも色々理由があるんだよ……」



 そう返すのが精一杯だった。あんまり嘘はつきたくないし、かといってうまい言い訳も浮かばない。



「……わかった。今はそれでいい」

「ああ、すまないな」



 ブレイズはそれ以上追及してこなかった。その心中は俺にはわからない。



「おーい、リンクス、ティアー! ちょっと来てくれ!」



 俺は話題を切り替える代わりに、向こうにいる二人を大声で呼んだ。戦っていた二人がこちらに来る。



「明日の作戦について、俺なりに考えてみたんだ」



 集まった三人は特に口を挟むこともなく、俺の話に真剣に耳を傾けている。



「作戦としては、各個撃破でいくべきだ」

「どういうこと?」

「向こうはパワータイプばかりだ。だから集団で来られると破壊力は半端じゃなくなる」

「……だから、一人ずつ倒していこうと?」

「そうだ。だから必ず一人相手に二人か三人で仕掛ける」

「で、でも、向こうも集まって行動するかも……」



 ティアーの懸念は尤もだ。だが、そうさせない為の布石は打ってある。



「その為に、廃墟ステージを選んだんだ」

「もしかして……」

「ああ、隠れる場所の多い、入り組んだ廃墟なら相手を分断するのも難しくないはず」



 具体的にはスピードのあるリンクスが囮になっておびき寄せるとか、ティアーが遠距離から牽制するとか。やりようは色々ある。



「大丈夫だ、この三人ならきっと勝てるさ」

「うん!」

「……問題ない」

「が、頑張るね……」



 その後、下校時刻になるまで徹底的に話し合った。相手がどう動いてくるかのパターンを予想し、それに対する対応まで必死で覚え込んだ。同時に連携の練習も行った。

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