表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRゲームで歩む最強への道  作者: 仮面色
1章 始まり
15/40

15戦目 百獣団

「もしかして、お前達もボスの討伐に来たのか?」



 朗らかに笑いかけながら、俺達に質問してくる。百獣団のギルドマスターというからには、もっと怖そうな相手をイメージしていたのだが。


 まぁ相手は俺達と同じ高校生。そこまで変わりはないということだろうか。



「そうなんです。でもタイミング悪かったみたいですね」



 相手が上級生だろうと、リンクスは物怖じせずに話している。……反対にティアーは、ブレイズの後ろに隠れるようにして覗き込んでいるが。



「そうか……。まぁこればかりは仕方ないな。予約がある訳でもないし」



 レグルスは一人でうんうん頷いている。そこにグリズリーが口を挟んできた。



「はっ! お前達みたいな雑魚がボスに挑んだって、勝てる訳ないだろ!」



 嫌味な物言いをやめようとしない。ある意味平常運転と言えた。しかしそこにレグルスの怒号が飛ぶ。



「グリズリー!!」

「は、はい!」



 その表情は端から見ても、明らかに激怒していた。怒気を向けられているのはグリズリーだが、こちらにも伝わってくる。



「お前、人様を馬鹿にするような発言するとは、どういうつもりだ!」

「すす、すみません!」



 おお、あの威張っていたグリズリーが猫のようにおとなしくなっている。今はあの巨体が小さく見えるほどだ。一方俺達も若干気圧されていた。ティアーをチラリと見ると、既に涙目になっていた。レグルスがこちらに向き直る。



「大変失礼した。うちの者が迷惑かけたようですまない」



 グリズリーの頭を掴んで下げさせつつ、自らも頭を下げてみせるレグルス。予想以上にいい人のようだった。



「いえ、そんな気になさらないで下さい」

「そう言ってもらえると助かる」



 レグルスはほっとしたようだった。グリズリーは不満げにこちらを睨み付けている。なんとなく丸く収まりそうだと思ったその時、そこに新たな人物が現れた。



「あー! お前ら!」

「さっきはよくも!」



 後ろにいた百獣団のメンバーの中から出てきたのは、なんとあのブレイズを勧誘していたソフトモヒカンと兜だった。ドタドタとこちらにやってくる。



「お前らが邪魔しなければ!」

「そうだ、責任取れ!」

「ちょ、ちょっと待って下さい!?」



 先頭にいたリンクスに詰め寄り、喚いていた。リンクスも押され気味だった。



「待て待て、いったいどうしたんだ」

「聞いて下さいよ、ボス!」



 なんとかこの場を収束しようとしていた。そこへソフトモヒカンが説明を始める。レグルスは相槌を打ちながら聞いている。その隙にこっちも四人で集まる。作戦タイムだ。



「まさか、あいつら百獣団の仲間だったとはな……」

「……そういえば、どこのギルドか聞いてなかった」

「どどど、どうしよう……」

「落ち着いてお姉ちゃん、まだ何か問題があるって決まった訳じゃないから!」



 しばらくして、向こうに向き直る。どうやら向こうも話が終わったようだった。



「なるほど、話はわかった」

「そうなんですよ!」



 レグルスは腕組みして頷いていた。そしてモヒカンがこっちを睨んでいる。



「確かに勧誘を横取りされたようにも聞こえる」

「それは……!」



 その発言に、リンクスが言い返そうとした。だが、レグルスは手のひらを向けてそれを止める。



「しかし、だ」

「え?」

「お前達の話だけでは証拠がない。もしかしたら本当に昨日から約束していたのかもしれない」



 驚いた。身内贔屓ではなく、きちんと考えた上で客観的に判断しているようだ。



「そんな、ボス……俺達の話が信じられないんすか!?」

「そうは言ってない。この場合、双方ともに証拠が無いだろうと言ってるんだ」

「それはまぁ、そうですが……」

「そこで、だ。こういうのはどうだ?」



 レグルスは指を立てて、俺達四人を見回す。



「この決着はギルド戦で着けようじゃないか」

「ふえ!?」



 最初に反応したのは、ティアーだった。あわわわ……と動揺しまくっている。気になった俺は一歩前に出た。



「その、ギルド戦とは、もしかして……」

「ああ、団体戦のことだ」

「やっぱり……」



 頭を抱えそうになる。俺達平和の園はたった四人の弱小ギルド。対して百獣団は、今見えているメンバーだけでも十数人はいる。圧倒的不利だ。



「そんな……それじゃ私達が負けるに決まってるじゃないですか!」

「落ち着け、リンクス」



 俺はリンクスをまぁまぁと抑えにかかる。



「よく考えろ。そもそも俺達が勝負を受ける理由がないじゃないか。最悪試合を拒否すればいいだけだ」

「そ、そっか……それもそうだね……」



 冷静さを取り戻しかけたリンクス。しかしそこにレグルスから追い討ちがかかる。



「ああ、拒否はできないぞ?」

「なに?」



 それはおかしい。デイドリにおいてフィールドで無差別に戦闘する以外は、対戦の申し込みが必要だ。そして対戦を受けるかどうかは、本人が決められるはず。



「確かに普通ならそうだな」

「じゃあ……」

「だが、ここには()()がある」

「校則……?」

「詳しい説明は省略するが、特別な理由がない限りギルド戦の申し込みは受けないといけない。うちの校則で決まってるんだ」

「なんだと!?」

「ルールを破れば、最悪停学もあり得るぞ」

「お姉ちゃん、本当?」



 リンクスは震えてる姉に確認を取る。ブレイズは何も言わなかったが、黙ってティアーを見ていた。



「う、うん、確かにあるよ……」

「そんな……」



 これはまずいことになってきた。今のままでは勝ち目が薄すぎる。……俺も覚悟を決める必要があるかもしれない。



「だが今回の件は、こちらにも問題があるようだ」

「えっ?」

「そこでだ、ここは人数を揃えてのチーム戦にしよう」



 人数を揃えてということは、四対四の戦いということになる。それならまだ可能性があるか? しかし俺も出なきゃいけなくなるな……。レグルスの言葉は更に続く。



「更に、元々の原因も賭けよう」

「どういう……」

「そこの、ブレイズと言ったか。もし俺達が勝ったら、彼女は百獣団に入ってもらう」

「えっ!?」

「嘘!?」

「……」



 リンクスとティアーの驚き方がそっくりだった。ブレイズは何も言わず、じっとレグルスを見つめている。そこに俺が口を出す。



「待った。こっちがブレイズを出したとして、そっちは何を賭けるんだ? 別にそっちから欲しい人材はいないぞ」

「お前、先輩だぞ! 敬語使えや!」

「そうだ!」

「落ち着け」



 激昂するモヒカンと兜。俺の言い方が気に入らなかったようだ。それをレグルスは軽く止めていた。



「人がいらないなら、そうだな……なら、こっちは領地を賭ける。それでどうだ?」



 賭け自体をうやむやにできればと思っていちゃもんをつけたが、うまくいかなかった。さて、どうしようか。



「……わかった」

「お?」

「ちょっと、ブレイズ?」



 そこで今まで黙って話の成り行きを眺めていたブレイズが、初めて口を開いた。その視線はレグルスをまっすぐ見ている。



「……その勝負受ける」

「そんな!?」

「よし、決まりだな」



 レグルスはニヤリと笑った。他の連中もニヤニヤしている。



「試合については、また改めて申し込みさせてもらう。今日のところはこれで帰るとしよう」

「楽しみにしてろよ」

「せいぜい待ってろ」



 試合が決まった途端、百獣団はさっさと引き上げていく。俺達は突然の展開に戸惑って混乱していた。







「ブレイズ! どうしてあんなこと言ったの!?」



 ギルドホームに戻ってきた俺達は、それぞれソファーに座っていた。テーブルを取り囲むように四方向だ。一番奥がティアー、その左右に俺とリンクス、ティアーの向かいにブレイズだ。座った途端にリンクスが声を荒げる。



「……あのままじゃ、困ったことになってた」

「それはそうだけど! もし負けたら、移籍になっちゃうんだよ!?」

「……勝てば問題ない」

「だから根拠が無いでしょ!」



 リンクスとブレイズの言い争いはヒートアップしていく。ブレイズは淡々としているが、若干声が硬い。俺は二人の言い争いを横目に、ティアーに話しかける。



「なぁ、ティアー」

「何……?」

「ぶっちゃけ百獣団の実力ってどの程度なんだ?」



 ギルドランク三位と聞けばすごく感じるが、果たしてそれがどの程度の物なのか。基準が知りたいところだった。



「へ、平均レベル70くらいはいくって聞いたことあるけど……」

「70か……」



 高校生にしてはかなり高いと言わざるを得ない。そう考えるとこの勝負、分が悪いかもしれない。



「だから、どうやって勝つつもりなの!」

「……それは努力するしかない」

「確証もないのに……!」



 リンクスとブレイズの言い争いは続いている。俺は熱くなっているリンクスを抑えにかかった。



「まぁまぁ、落ち着け二人とも」

「ゴースト……でも……」

「気持ちはわかるが、冷静になれ。話が進まないだろ?」

「うん……わかった……」



 リンクスは渋々だろうが、ソファーに座り直した。ブレイズはどこ吹く風だ。



「状況を整理しよう。まずティアー、ギルド戦は避けられないと思った方がいいんだな?」

「う、うん……校則があるから……」

「次に賭ける物だけど……うちのギルドの領地は……」



 もう一度ティアーの方を見た。ティアーは悪さが見つかったかのようにビクッとしていた。



「こ、このギルドホームしかないかな……」

「そうだよな……」

「ご、ごめん……」

「お姉ちゃんのせいじゃないよ!」



 立ち上がり姉を抱きしめに行くリンクス。よしよしと頭を撫でている。本当にどっちが姉なんだか。



「結局、受けるしかないってことか……」

「うん……そうだ! 賭けないってのはどうかな?」

「どういう意味だ?」

「だからさ、ギルド戦は受けないといけないかもしれないけど、特に賭けなきゃいけないってのは決まってないはずでしょ?」

「なるほど……!」



 確かに一理ある。そもそも何かを賭けないでやればいいのでは?



「……でもそれだと百獣団は納得しない」

「それもそうだな……」



 そもそもブレイズの勧誘で揉めたのが原因だしな。これでただ戦うだけと言われても、納得しないだろう。



「……例えばだけど、ギルドホームを賭けて負けたらどうなる?」



 全員の視線がティアーへ向く。ティアーは視線をさ迷わせながら答えた。



「え、えっとギルドホームが無くなっても、一応ギルドは存続すると思うけど……」

「どっちがリスク高いかだが……」

「うん……」



 俺とリンクスは腕を組んで考える。そこにティアーが更に口を挟んだ。



「こ、困るよ……!」

「お姉ちゃん?」

「こ、このギルドホームは先輩達から受け継いだものだから……無くしたくない……!」

「……」



 いつものティアーと違って、気合いの入った声だった。それだけティアーにとっては重要だと言うことなんだろう。



「……じゃあやっぱり、私を賭けるしかない」

「でも……!」



 結論として、そこに戻ってきてしまうよな。



「こうなったら仕方ないな」

「ゴースト……?」

「ブレイズの言うとおり、ギルド戦に勝つ。それしかこのピンチを乗り切る方法はないだろう」



 他に道は残されていない。ここは腹をくくるしかない。



「うん……わかった! そうだね、勝つしかないよね!」

「……腕が鳴る」

「こ、怖いけど、頑張る……!」



 三者三様にやる気を見せる。なんか俺がリーダーっぽくなってしまったな。そんなつもりは毛頭ないが。



「よし! みんな、ギルド戦勝利に向けて頑張ろう!」



 リンクスの掛け声に合わせて三人でおー、と続く。

少しずつでも評価して頂けるように頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ