第4話 僕は自身の夢の為に注文住宅を購入すると決めた!(2)
「……すみません、中古住宅で、下が店舗、二階が居住スペースの物件はありませんか?」
僕は賃貸物件の管理会社の営業、山本さんに尋ねた。
だが、幼い頃からの夢があっさりと砕け散るような現実を、彼は淡々と告げた。
僕は《《あの時》》、唖然とし、呆然とした。
肩を落とし、心が折れた音が『ガク~ン!』と響いた。
しかし、山本さんは微笑みながらこう言った。
「大島さま、注文住宅を建てませんか?」
僕は顔を上げ、驚愕の声を上げた。
「……えっ! 注文住宅?」
中古住宅や建売住宅とは違い、注文住宅は高額な見積もりになることを僕は知っていた。
以前勤めていた会社の部長や課長が、飲み会の席でローン地獄の愚痴をこぼしていたのを思い出す。
《《あの時》》、山本さんの言葉に僕の顔色は急変した。
注文住宅か……。
高価な代物だろう。
僕にそんなローン返済ができるのだろうか……?
あの時、営業の山本さんの提案を聞きながら、僕は葛藤していた。
だが、幼い頃からの夢が僕を突き動かしていた。
今の現状がどうであれ、僕の店【さつき】は閑古鳥が鳴いていても、その夢を諦めたくなかった。
夢の中で泣く、僕を探して泣く三人の女神たちが、必ず僕の前に現れてくれると信じていたからだ。
女神たちのためにも、この【広島お好み焼き屋さつき】を手放すわけにはいかなかった。
あの時、僕は何とか自営業を始めるための店舗付き住宅が欲しかった。
欲しくてたまらなかった。
注文住宅は高価で、予算も膨らむだろう。
どうするべきか、僕は何度も自問した。
店舗付き住宅は欲しい……。だが、脱サラして自営業を始める僕にとって、貯金は一千万円を少し超える程度。それだけが全てだった。
店の運転資金と生活費は、商いが軌道に乗るまで貯蓄から切り崩さなければならなかった。
あの日、僕は不動産会社でそう考えながら、担当の山本さんに「一度帰宅して考えます」と告げた。
家路につき、一晩中思案を巡らせ、後日また不動産会社へ足を運び、山本さんと商談を重ねた。
そして、僕は注文住宅を購入する決意を固めたのだった。
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