第2話 序章(2)
――また、こんな退屈で重苦しい日々が、俺の胸を締めつける。
まるで、錆びついた鎖が骨の隙間に食い込むように。
広島の片隅で細々と営むお好み焼き屋【さつき】……
このまま続けるべきか、それとも静かに幕を下ろすべきか。
答えのない問いが、夜ごと俺の頭の中で渦巻く。
眠れぬ夜、胸の奥でざわつく不安は、まるで暗闇の中で蠢く何かの気配のように、じわじわと俺を蝕んでいく。
他人から見れば、ただの情けない若造だろう。
「まだ若いんだから、店なんて畳んで、どこかの会社にでも勤め直せばいい」
──そんな言葉は、耳にタコができるほど浴びてきた。
だが、俺には捨てられない夢がある。
幼い頃からずっと抱き続けてきた、狂おしいほどの夢が──
【さつき】が軌道に乗ったその先に、あの銀髪の女神のような、冷たくも麗しい女性が現れるはずだと。
物心ついた頃から、毎晩夢に現れ、悲しげな瞳でじっと俺を見つめる彼女……
そして、なぜか最後には、華奢な両手で顔を覆い、嗚咽混じりに泣きじゃくる。
「シクシク……」
俺は、その銀髪の女神を探し出し、必ずや自分のものにする。
そして、彼女と二人で、この【さつき】の大型鉄板の前に立つ。
客の冷たい視線も、嫉妬の視線も、すべて無視して……。
「お前~!」「貴方~」と呼び合い、寄り添い、慎ましくも激しく愛し合いながら、店を切り盛りする。
そんな夢を胸に、俺は結婚準備のために住宅ローンを組み、いつでも夢の中の麗しい銀髪の女神が嫁いできてもいいように、店舗付き住宅を建ててもらい購入した。
◇◇◇
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