第17話 私だって働きに出たことぐらいあります!(5)
「うぅ、ううう……」
「痛ぇ……」
「くそ、このアマ……」
「覚えていろよ、このクソアマ……必ず復讐してやるからな……」
私に天下の往来へと放り出された冒険者達は、呻き声を漏らしながら不満や威嚇を口にしていた。
まあ、情けない負け犬の負け惜しみというやつだ。
彼らにそんなことを荒々しく言われた私は本当ならばこの地を守る守護者の一族の娘……。竜王の娘……。王女殿下としてこの地を治めるはずだったのに、亜人の男達は立場も力もわきまえない連中で、私に不満ばかり告げてくるのだ。
しかし! 負け犬は! 所詮負け犬ですから!
あいつらはいつも『キャンキャン』と子犬のように吠えているだけだったから。
「ふっ、はははっ! お前たち、私に勝てるものなら、やってみなさい! 全員返り討ちにしてやるわ! わっはははははは! はっ、はははははは」と。
私いつも冒険者達へと威風堂々──自分の括れた腰に手を当てて仁王立ちしながら高笑いをしてやった。
しかし中には、私が手加減して相手をしていることに気づかず、自分達技量が劣ることに気がつかず魔力や気力を高めて立ち上がる冒険者達もいる。
「うぅ、ううう……」
「このクソがぁあああっ!」
「このアマがぁあああっ!」
「絶対に凌辱してややるー!」
「俺が屈服させ、アヘアへと言わせてやるからなー!」
まあ、あれですね……。
乙女である私に一方的に殴られたり、店内から外……天下往来へ放り投げられたことが頭にきたのだろう。
冒険者達は呻りながらも立ち上がり。
彼等はまた懲りずに拳を振上げて、か弱い私へと向かって荒々しく怒声を上げながら猪突猛進してくる。
だが私は、亜人のならず者たちの動きは手に取るようにわかるので、その拳を軽々とかわしてしまうこともできる。
しかし私が面倒だと思えば、あえて避けずに、 。
「アタ!」
「タタタ!」
「アッ、チョ~!」
「わりゃぁあああっ!」
「うりゃぁあああっ!」
冒険者達が唸り、怒声を吐きながら、魔力も込め、繰り出される連続パンチを、女性の身ながら堂々と受け止める。
そして受け止め終えると。
「ほっ、ほほほ~」
私は高笑いしてやるのだった。




