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ヒスティマ Ⅳ  作者: 長谷川 レン
第六章 開戦
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腐敗花(ラフレシア)



「わぁ!」

「ちょっと、何するのよハナさん!!」


 ボクとソウナは緊急回避をしてわき道にそれた。ハナの放った魔法は明らかに敵意があった。足元に仕掛けられていたのは草に偽装された爆発系のトラップ魔法。

 ……しかし、何故?


「罠魔法は世界の鍵が無くなったから使えないはず……ッ」

「知の鍵だったら此処にあるのね!」


 ハナが笑いながら見せてきたのは右手に隠れるようなくらいの大きさの鍵があった。


「それ……」


 どこで、だなんて言葉はいらなかった。


「知の鍵を持っていれば、罠魔法なんていくらでも使い放題なのね」


 ハナが持っているという事は、ハナが守護十二剣士を倒したという事。

 ただの一般生徒じゃない。そうだったらボクを狙ってくる意味は無い。そしてボクを狙う理由と言ったら、まだ真相の分からない聖地だけであって……。


「ハナさん、一体いつからヘレスティアの(、、、、、、、)仲間(、、)になったんですか?」

「なった? まったく違うのね。初めっからなのね」


 ハナはきっぱりと言い放つ。


「そして準備が整ってしまったから、もうお友達ごっこは終了なのね。そろそろ、他にも侵入していた『死海(ダイ・シー)』も、『死神(ゴットオブデス)』も動き始めるのね」


 その言葉を聞いた時、別の場所から巨大な魔力と爆発音が聞こえてきた。


「何!?」


 場所は方角的に桜花魔法学校がある方面と、病院がある方面。


「話した結果。学校に居る英名と病院に居る英名をまず先に消すという話だったのね」


 病院だって!?

 あそこにはまだ意識の戻っていないシーヘルやたくさんの病気の方々が入院しているのに!?


「だ、誰ですか!? その人達は一体!」

「リクちゃん。もう全員に会っているのね」


 会っている……?

 つまり、全員が全員、ボクの目の前に姿を現した事のある人達……。


 そこでボクは一人だけ一般人でありながらおかしな程強い力を持っている人を思い浮かべていた。


「まさか……」

「白夜さんもヘレスティアの五刑囚とは言わないわよね?」


 ソウナがボクと同じ結論にたどり着いているようだった。

 そしてハナの答えは……。


「当たりなのね。一番自由に気の赴くままにしか行動しないけど実力はヘレスティア王に次ぐ実力なのね。私なんか戦ったら手も出ない内に殺されるのね」


 白夜が……いや、白夜にはいろいろと不可思議な事はあった。逆にどうして今まで疑問に思わなかったのだ。

 信じては居た……友達だったから。


「コードネームは死神かしら? 白夜さんが海のような水系統を使うとは思えないもの」

「もちろんなのね」


 そして五刑囚の内一人だけ名前が出ていないのがハナだという事。

 『追跡者(チェイサー)』は漆原竜田。『暗殺者(アサシン)』が風香。『死神(ゴットオブデス)』が口無白夜。『死海(ダイ・シー)』が病院に居るとして残るは……。


「『腐敗花(ラフレシア)』。それがハナさんのコードネームですか?」

「もちろんなのね。さて、そろそろお話も良いと思うのね。今すぐに生け捕りにしてやるから覚悟するのね」


 魔力が地中に集め始める。

 道が舗装されているとはいえ、アスファルトの下は土だし先程の爆発でアスファルトは粉々に飛び散った。つまりは植物が育つのだ。そしてハナは華属性を得意としていた――。


「ソウナさん! 一度逃げましょう! こんな所で戦ってしまったら手足が出ません!」

「わかったわ! 〈セイントウルフ〉!」

「逃がさないのね! 狂い咲け! 〈黒薔薇(ブラックローズ)〉」


 地面から複数の異常なほど大きい植物がボク達めがけて襲ってくる。先端には黒薔薇が咲いており、茎にある棘などがとても鋭かった。当たったらおそらく刺さって抜けなくあるだろうと思わしきほどの大きい棘だ。

 ボクはすぐさまルナとツキを顕現して襲ってくる植物を切り捨てていく。強度は植物だからあまりないのだが、捕まったら幾重にも巻き疲れて動けなくなるだけでなく体中に傷がつくだろう。


「リク君行くわよ!?」

「はい!」


 ボクは襲ってくる植物から逃げるためになるべくアスファルトの方へと抜けて行こうとするが、急に目の前のビルが倒れてきた。


「きゃぁ!」

「道が!」


 よく見てみるとそのビルの一階の部分がこちら側だけ丸々腐っていた。ビルが耐えれなくなって倒れてきたのだろう。

 一体何がと思った時には、後ろから迫ってくる植物に突き飛ばされて倒れてきたビルに叩きつけられた。


「がぁっ!」

「リク君!? ディス!」


 ソウナがディスをその手に掴み、植物へと剣を叩きつけていく。

 飛ばされたボクはというと、背中に鋭い痛みが走る。おそらく血が流れ出ているのだろう。ボクは氷魔法を使ってその部分を凍らせて出血を止める。

 ソウナが襲ってくる植物に応戦しているがまったく劣る気配は無く、むしろ段々と増えているような気がしてきた。


「もう逃げられないのね。〈薔薇の檻(ローズガーデン)〉」


 ビルの下から思いっきり突き上げるようにして空に昇った巨大な茎。それはボクとソウナとハナ全員が確実に入るような範囲を取り、上部の方でしっかりと結ばれてしまった。

 それから茎からは細かい棘が張りめぐされて手で引きちぎろうものなら手が血だらけになってしまいそうな茎で覆われてしまった。


「こんな物ッ」


 ボクはその茎にルナで斬りつけるも、ほんの少し切れただけでまったくの無傷だった。


「どうして!? これは魔法なハズ!」


 魔法を無効化できるはずだ。なのにどうして消されないッ!?


「無駄なのね。その茎に魔力供給線は繋がっていないのね」

「どういう事、よ!」


 ソウナが迫りくる植物に対抗しながら聞く。


「簡単な話なのね。これは全て植物。魔力供給線は全て地面の奥深くを通らせて繋げているのね。植物の魔力供給が必要な部分は根の部分。さすがにリクちゃんでも地面の奥深くまではその刀は当たらないのね」

「この植物に対してはルナの効果が効かないってこと!?」


 それはマズイ。これではこの植物の外に出られないではないか!


「そしてここのアスファルトは全て吹き飛ばしたのね。これで私の土俵の上に立っているのね。もう、勝ち目はないと思った方がいいのね! あーはっはっは! なのね!」


 手を広げながら悪役のように笑い飛ばすハナ。


「あぁ。でも一つだけ抜け出せる方法はあるのね」

「教えては、くれないのでしょう?」


 ソウナが言うと、ハナは口端を釣り上げて答えた。


「私を倒せばいいのね。リクちゃんに、今まで友達だった人を殺せるのなら(、、、、、、)、なのね。〈黒薔薇(ブラックローズ)〉!」



 殺す……ハナを……?

 そんなの……。


「できる、ハズが無いじゃないですか!」

「だったらおとなしく捕まるのね!!」


 ボクは迫りくる植物を斬り裂きながら捕らわれないように逃げまくる。

 ハナに攻撃なんてしない。そんなことをしたら……。



 ――今までハナを大切にしていたアキを悲しませてしまうではないか!!



 だったら選択は一つだけだ。


「殺さない。でも気絶はしてもらいますハナさん! アキさんがまだ知らない内に!」

「そんな事が出来るんだったら……やってみろなのね!」


 その場から動かないハナが魔法を放った瞬間、足元に伝わる巨大な魔力が大爆破を引き起こした。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

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