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ヒスティマ Ⅳ  作者: 長谷川 レン
第四章 森の中の小屋
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黒騎士・白騎士


「まさか、もう外までッ」

「決して逃がすわけにはいかんぞ? 戦力が増えたからには、腕に覚えがある奴がいるのだろうな」


 黒騎士が前へと出て剣を構える。ボク達も全員がそれぞれ武器を構え、対応をする。


「今回はお前も頼むぞ?」

「わかってる」


 白騎士は黒騎士に答えると、その手に現すは黒騎士と対照的な白い剣。魔力がかなり含まれていて、ルナで断ち切ることは難しいそうだ。腕を斬られればいいと思ったのだが、鎧が邪魔をして斬らしてくれそうにない。斬るとしてもそうとうな魔力を込めなければ斬れないだろう。


「では、始めるか。〈風速〉」


 黒騎士がその身に風を纏って突進してくる。

 あの重鈍そうな装備をしておいてここまで速く動ける事に驚きつつ、ルナやツキを構える。

 突進してきた黒騎士は前に躍り出たユウが受け止め、更に続けて撃ち続ける。すると途中から寝虚がクマのぬいぐるみを投げた。

 黒騎士はそれに気がついて一度下がるも、なおも追ったユウが追撃を始めた。


「なかなかの腕前。名を何と言う?」

「【朱】の赤砂ユウよ! 〈焔神技・乱ノ型 蒼焔撃〉」

「俺はギエン・ラルカだ。〈神速〉」


 ユウと黒騎士、ギエンが共に剣を打ち合う。しかもその速度が目で追えない。ボクだと身体強化に〈雪麗〉を使わなければ必ず追うことはできなさそうなそんな次元だ。寝虚も片手にクマのぬいぐるみを持っているけど投げようとはしていなかった。

 すると、徐々にギエンの姿が消え、その次にはユウの姿も消え始めた。


「ギエンは一対一が好きだ。こちらに攻撃してくることは無いだろう。それに比べ、自分は一体多が好きだ。手合わせ願う」


 白騎士の剣が構えられる。逃げれないのかなと思いつつも、その手に武器を構える。手に汗がにじみ出て、自分がどれだけ緊張をしているのかが分かる。


「お前らバカか。そんな奴と戦うな」

「え?」


 突如として聞き覚えのある男の声が聞こえる。だけど、ここに居るはずもないし、味方でもない男だ。


「死にたくないんだったら一歩後ろに下がれ。聖地様じゃない、もう一人の銀髪の女には俺の声が聞こえてないだろうからな。動き回ってちゃ使えない。どうにかして意思疎通しろ。あと、この魔法はお前らの方から一方通行になってる。こっちにきたらもう戻れないと思え」


 信じてもいいのだろうか。だが、目の前に居るこの白騎士とは戦ってはマズイと本能が言い続けている。


「ユウ!! 〈一の太刀 鏡花水月〉!」


 ボクは辺り一面に魔力を放つ。


「〈雷迅〉!」


 キリが目で終えていたのか、その身に雷を纏ってその場から消えた。

 すぐに他のメンバーに目配せをすると、他のメンバーも頷いてくれた。


「何を……」

「〈爆煙〉!」


 マナが魔法を使った事により、その場が煙で見えなくなる。その隙に、ほとんど全員が一歩後ろへと下がったと思ったら、その場から全員消えた。


「リク、行くぞ。ユウには伝えた」

「わかりました」

「どこへ行く」

「「!?」」


 すぐ真横まで近づいてきて、剣をふるってくる白騎士。ボクはマズイと思ってその白騎士の剣に合わせてルナとツキを交差させる。

 次に来るのは何かとても重たい物がぶつかってきたような錯覚を覚えていた。


「ぐっ」


 何とか踏みとどまるも、少しでも気がそらされれば飛んでいってしまいそうだ。

 すると、白騎士が何かに気がついたようにする。


「よく見れば聖地様ではないか。これは王へと献上しなければ」

「邪魔だテメェ! 〈雷剛拳〉!」


 キリが振るった拳は、白騎士と一度後退させ、隙を作る。


「リク、今の内に!」


 キリにそう言われ、一歩下がろうとしたのだが、ふと思った。

 ここでボクやキリまでがいなくなったら白騎士が追ってくるのではないかと。

 まだどうやって逃げたかは分からないはずだ。ボクが魔力を辺り一面に放ったおかげで何の魔法を使って消えたのかわからないはずだ。


「キリさんは先に! ユウを待ちます! 〈二の太刀 雪麗〉」

「はぁ!? ユウは……ってそうか! クソッ。俺も残る!」


 ボクはその身に光を纏って白騎士へと走る。〈鏡花水月〉のおかげでボクの姿と気配。魔力は分からないはずだ。不意打ちぐらいにはなればいいだろうと思って、ボクは白騎士へと刀を振るう。

 だが、白騎士はそれを予知していたようにして刀を避けた直後にカウンター気味に攻撃してきた。

 もう片方の刀で防御するも、力が入らなくて地面を滑る。


「魔力の発生源さえ付きとめれば、どうということは無い魔法だ」

「発生源だぁ? テメェ、どれだけ難しいと思ってんだよ」


 キリが呆れながら四肢に入れる魔力を増幅させる。地面を蹴って、白騎士へと近づき、拳を振るう。ボクはそのキリに合わせて反対から両手に持つルナとツキをそれぞれ振るった。

 白騎士は迫りくる刃と拳に、一振り。体を回転させながらキリの拳と、ボクの刃を斬り裂いた。


「ぐぁッ」「うわぁ!」


 キリは受け身を取りながら後ろへとステップをしたが、そこが境界線だったのか、姿が消える。

 ボクは反対側へと飛ばされたので、受け身を取るも、〈鏡花水月〉の範囲外へと出たために魔法が強制的に解除された。


「何かの魔法……か。自分には使わないのか? 聖地様」

「使いますよ。でも、まだ使いません」


 白騎士を倒すには……いや、倒せはしないだろう。まだ白騎士は魔法すら使っていない。ただの剣による振りだけで圧倒する。

 だって〈雪麗〉で速度は倍速以上されているはずなのに、ついてくるのだ。


(何かいい魔法は無い?)

『例の範囲魔法はどうじゃ? はた迷惑な』


 ルナがそう言う。なるほど。あのはた迷惑な魔法なら相手を凍らせる事も出来るかもしれない。

 はた迷惑という言葉にボクは否定をしなかった。


「〈フローズン・クリスタル〉!」


 ボクが魔法を発動した瞬間。一気にボクを中心とした範囲五十メートルほどが凍土となった。


「ほぅ。美しい魔法だ。寒いのが難点だ」

「えっと、まさか平気……とか?」

「極寒の地での戦いの演習をしていないとでも?」


 白騎士がけろっとしたような雰囲気でいう。剣には血が付着しているので、凍っていたが、白騎士が思いっきり振るうと血の氷は振りはらわれた。

 白騎士に何か対抗するような魔法が無いかと考えるが、さすがに刃を当てれそうもないために〈三の太刀〉は使えないだろうし、近づくのはもっと危険そうだ。


「〈焔神技・直ノ型 焔紅波動〉!」


 そう考えていると、真上から白騎士めがけて巨大な炎のエネルギーが降ってきた。

 白騎士はその炎に直撃したかと思うと、中から炎が真っ二つに割れる。


「ギエン。何をしている?」

「悪い。意外と強くてな。そしてあの大剣。明らかに神使いだ。それも高等神の」


 白騎士の隣に立つ黒騎士。先程まで居なかったがユウと戦ってこちらに来たと言ったところか。


「大丈夫? お兄ちゃん」

「う、うん。何とか……」


 実際、白騎士と一人で戦えはしないと思う。ユウが来たのは心強いが、黒騎士も来たのが難点だ。

 真上から振ったあの高エネルギーの炎はユウが使った魔法かと納得する。かなりの魔力が込められていたのにも関わらずに簡単に剣で斬り裂く白騎士に冷や汗が止まらない。


「お兄ちゃん。何か目をくらませるような魔法って無い?」

「持ってないよ。だってボクの魔法は大体が氷魔法だし……」


 よくよく考えると、炎を使うユウと氷を使うボクとではかなり相性が悪いのではないだろうかと思う。


「じゃあユウが使う。雑賀たちの方には届きませんように。〈焔神技・崩ノ型 炎爆れ――」

「させん!」


 ユウが魔力を込めて魔法を放とうとしたその瞬間。黒騎士が剣を構えて目の前まで迫っていた。

 その驚きの速さに、振り遅れながらユウが対応する。魔法は途中で中断され、放つことはできなかった。


「〈二の太刀 雪麗〉!」


 そしてボクは身体強化魔法も発動し、速さと力を増大させるも迫ってきた白騎士が邪魔で、黒騎士には攻撃できずに白騎士へと刃を振るった。


「くっ。やぁ!」


 二つの刃を振るうと、それに追いつく速度で白騎士が剣をふるってくる。そして、徐々に押され始める。

 ボクは横に跳躍し、何とか逆方向へと対立するようにするも、白騎士が追いすがって来てなかなか撤退する事が出来ない。


「どこへ行くつもりだ。まさか逃げるとか言うはずがあるまい」


 白騎士が挑発してくるが、ボクはそれには乗らなかった。


 移動しながらボクと白騎士は打ち合い続けるが、それも限界が来て、とうとう白騎士の剣がボクの刀を二つとも後方へと飛ばす。


 そして剣がボクへと降り注ぐその瞬間。


 ボクと白騎士の間に入ってくる一つのカメラ。


 近づいてきている事に気がつかなかったのか、白騎士から驚くような感情が漏れてきた。


「フルマックスで発動してあげる! 〈フラッシュ〉!!」

「ぐぅッ!? これはッ。目くらましか!」


 白騎士が兜越しに目を押さえるようにして手をやるも、まともにくらってしまったのか、フラフラとした足取りで剣をふるってきた。

 ボクはそれを避けると、〈フラッシュ〉を放ってくれたアキに礼を言う。


「アキさん、ありがとうございます。でも、さっき逃げたんじゃ……」

「説明は後! ユウちゃん! こっちに来て!」


 アキが力の限りユウを呼ぶ。


「ちょっと、厳しい! 〈焔神技・破ノ型 焔舞煉獄〉!」

「〈黒点〉!」


 ユウと黒騎士の激しい魔力のぶつかり合いにより、そこに壮大な魔力のエネルギーが集まったかと思ったら、爆発が起きた。両者それで弾き飛ばされ、好機と思ったユウがこちらへと戻ってくる。


「行くよ! ヘルちゃんお願い!」

「わか、った。〈テレポート・陰〉」

「く、逃がさん!!」


 白騎士がもう治ってきたのか、剣を構えて振ってくると同時に、目の前が白くなった。




 ――次に視界が晴れたのは、誰も居ない、そしてみた事のない風景。草木が生えてきている、どこかの小屋の中だった。


逃げ道を作ってくれたのは『あの』人ですよ~(==*

誰だかわかるかな?(・・*

まだ出ないけどね……(。。;


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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