22 悪意の一端
異形の怪物と化したクロフォード医師と遭遇した操。
その姿に強い恐怖心を抱きつつも、地下の探索を再開していた。
怪物が天井を伝って去って行ったのは、方角的に操が目指している霊安室の方向だ。
その為操は、まず白衣の男が隠れていた機械室を調べてみる事にした。
男が姿を現した時から気になっていたのだが、管理室から逃げた際に手にしていたバッグを男は持っていなかったのだ。
廊下に転がっているズタズタになった男の下半身を視界の端に捉えつつ横を通り過ぎる。
開けっ放しになっている扉を足で更に開け放ち、銃を構えながら室内に入った。
機械室の中は暗かったが、廊下と同じく扉の側にあるスイッチを操作する事で明かりを点ける事が出来た。
明るくなった室内を見渡してみると、室内には大型の発電機が設置されていたが、どうやら稼働していないらしい。
そして、稼働していない発電機の横に見覚えのあるボストンバッグが置かれている事に操は気が付いた。
近付いて良く見てみると、やはり白衣の男が持っていたバッグで間違いないようだった。
(後生大事に何を持って行ったんだろう……ってお金?)
バッグを開いてみると、中には札束がぎっしりと詰め込まれていた。
(こんな物を持っていたって何の役にも立たないのに……)
恐らくフィッチャーの金庫から盗んだ物だと思うが……今の状況でこんな物を持ち出してどうするつもりだったのだろうか?
あの男について同情する気は無いが、その浅ましい行動に呆れを通り越して憐みすら感じる。
(まあ、あの男の事はもういいとして……他には……?)
それ以外には銃弾が装填されたサブマシンガンのマガジンと……一枚のカードキーが入っていた。
(あの男が言ってた『院長のカードキー』ってやつ? 特に何も書いてないけど……どうやって使うんだろう?)
操が見つけたそのカードキーは銀色の地に赤線が引かれているシンプルなデザインであり、文字などは一切書かれていない。
白衣の男曰く、『霊安室の仕掛けを解除するカードキー』との事だが……。
(こればっかりは行ってみないと分からないか)
重要な物である事に変わりはない為、腰のポーチにカードキーを仕舞う。
バッグの中を探りつつ、めぼしい物はそれぐらいかと思った操だったが、バッグのサイドポケットに何か入っている事に気が付いた。
(これは……もしかしてあの男のネームプレート?)
見覚えのあるネームプレートは、院長のハロルド・ニーマンスが付けていた物と同じ物のようだった。
そこには、『副院長:レナード・ニーマンス』とある。
(え……あいつ、副院長だったの……?)
このネームプレートが正しければ、白衣の男ことレナード・ニーマンスはこの病院の副院長だったらしい。
あの狂態を目にした後では全く信じられないが、ここに書いてある以上事実なのだろう。
(完全に親の七光りじゃない。 この病院、本当になんで成り立ってたんだろう?)
病院の施設を半ば私物化していた上、管理体制は杜撰。
更には人身売買の闇取引まで行っているというおまけ付きだ。
ここまで好き放題にしていて、今まで世間にばれていなかったのが不思議なくらいだ。
もっとも、クロフォード医師には怪しまれていたようだが。
(もしかしてだけど……『取引先』がそういう話を揉み消せる立場にある?)
そういう事なら話は分かるが、そんな組織が片田舎の街に存在しているのだろうか?
グリーンフォレストについての知識を持っていない操には、その辺りの判断は出来なかった。
(ライナなら知ってるかな? 戻ったら聞いてみよう)
この街に仕事で来たと言っていたライナの事を思い出し、この件について相談する事にした操。
そして、入手したカードキーを使用するべく霊安室へ向かう事にした。
操は廊下から霊安室内の気配を慎重に伺うが、内部に動く物の気配は無い。
少しだけ開いた扉をそっと押し開け、室内に歩みを進めるが、やはり中には何もいないようだった。
扉の近くにはお馴染みとなった電灯の操作盤があった為、スイッチを入れて明かりを点ける。
(…………)
一気に明るくなった室内を素早く見渡すが、特に異常は見られない。
念の為扉を閉めて部屋の中を調べて行く。
(特に何もない……けど、場所が場所だから、不気味ね……)
霊安室、つまり遺体を保管する場所である為か、室内の空気はひんやりしている。
そして、明かりが室内を照らしているとはいえ、死体を収納しておく保管庫が整然と並び、手術台のような運搬代がある光景は何処か気味が悪かった。
そんな雰囲気に思わず寒気を感じていた操だったが、その保管庫に目を向けた際にある物が目に入った。
(……ん? あれは……?)
保管庫の扉はすべて閉じられた状態だったが、そのうちの一つに何かが貼ってある。
3段ある保管庫の内、中段の一番左端にある保管庫だ。
近付いて確認してみると、殴り書きに近い文字でこう書かれていた。
『故障中 使用禁止』
(……こんな所まで杜撰なのね)
操はもはや何度目か分からないが、呆れの感情を多分に含んだ溜息を吐いた。
院長一味にとって重要な場所である筈のこの部屋ですら、管理が行き届いていないとは……。
だが、そこまで考えた時、張り紙がしてある保管庫の扉を見て、ある事に気が付いた。
(扉の取っ手がこれだけ錆が浮いてる? ……いつから故障中なの? これ?)
他の保管庫の扉は古びてはいるが、一応綺麗な状態になっている。
だが張り紙が貼られている保管庫は古びている所ではなく、取っ手部分に錆が浮いている。
しかし、それは取っ手の一部分のみであり、他はそれ程錆びていない。
(……一か所だけが他と比べて錆が多い。 故障して放置されてからも、同じ人間が何度も触れていた?)
そう考えてよく見ると、張り紙はここ最近張り替えた物のようで、使用された紙やペンは比較的新しい物が使用されていた。
少し考えて操は、張り紙のある保管庫の扉に手を掛けた。
中に死体が入っていない事を祈りつつ、意を決して保管庫の扉を開いた。
(空……だね)
内部を覗き込んでみると、保管庫の中には死体どころかゴミ一つ入っていない。
しかし、操は保管庫の扉の外からは死角になった上側の部分に、他とは違う材質で作られたパネルがある事に気が付いた。
下から見上げる様にしなければ発見しにくい所にあり、最初から疑っていないと見つけるのは難しかっただろう。
パネルに触れて調べてみると、どうやら押し込む事が出来そうだという事が分かった。
(間違いなくこれが『仕掛け』だよね……。 物は試し……かな)
そして、操が手に力を込めてパネルを押し込んでみると、カチッ、という音と共にパネルが開き、内側に設置された何らかの機械が出て来た。
どうやらカードキーを通す機械のようで、赤いランプが点灯している事から稼働しているようだ。
(こんな所に……つまり、これに通せって事だよね?)
白衣の男……レナードが持っていたカードキーを恐る恐る機械に通す。
すると、ピッ、という電子音がして、点灯していたランプが赤から青へと変わった。
直後、部屋の奥の保管庫の陰になっている場所……何も物が置いていないスペースから物音がした。
すぐに音がした場所を確認しに行くと、壁の一部がゆっくりと奥側に開いて行く所だった。
(隠し扉って……。 もう何も言いたくないわ……)
一体どうやってこんな所に隠し扉を作ったのだろうか?
操は呆れると同時に疑問にも思うが、今は気にしないでおくことにした。
隠し扉の先は左手方向に下り階段があり、薄暗いが一応蛍光灯が周囲を照らしている。
階段の下には扉があるようで、操はまずそちらに向かう事にした。
蛍光灯に照らされた狭い階段を慎重に降りて行く操。
周囲の物音にも気を配るが、今の所怪しい音はしていない。
そこそこの長さがあった階段を降り切り、扉の前まで辿り着くと、ドアノブに手を掛けた。
ゆっくりドアノブを回すと、鍵は掛かっていないようで扉は軋みながら開いた。
扉の先は短い廊下になっており、階段と同じく蛍光灯が頼りなく周囲を照らしている。
そして、廊下を進んだ正面奥には、両開きの大扉があった。
(多分……あれが、この病院の連中が隠していた何か……ね)
操は深呼吸をすると、ホルスターにハンドガンを戻し、スリングで下げていたショットガンを手にした。
ショットガンの安全装置を解除し、残弾を確認し終えると、意を決して大扉に近付いて行く。
扉の取っ手に手を掛けゆっくり力を入れると、ガコン、と音がした後、重々しく扉が開いて行った。
「……!? こ、これは……!?」
扉を開いた先。 室内の様子を見た操は思わず声を上げた。
扉の先は天井の低い大部屋になっていた。
部屋の左側の壁には何らかの薬品を保管しておくためと思われる大きなタンクがいくつも並んでいる。
この部屋も廊下や階段と同じく蛍光灯で照らされた薄暗い部屋…………「だった」のだろうという事が分かる。
しかし、操の目に移った室内の様子はそんな状態ではなかった。
まず、大部屋には無数の手術台のような物が並んで置かれており、その上に死体袋に入った人間の遺体が寝かされている。
全ての台に死体が乗っているわけではないが、それでもその数は10や20どころではなく、部屋の隅から隅まで整然と並んでいる。
それだけでも異常な光景なのだが、部屋の殆どを『青い花』とその葉や蔦が覆い尽くしているのだ。
床も壁も天井も、全てが青い花と薄緑色の蔦で覆われ、まるで自分が植物の中に飲み込まれてしまったような感覚を覚える程だ。
室内を照らす蛍光灯にも細い薄緑色の蔦が巻き付いている所があり、破損してしまっているのかチカチカと明滅している。
空気の入れ替えの為の換気扇は辛うじて稼働しているようだが、そちらも蔦が伸びて今にも埋まってしまいそうだ。
そして、目を凝らして床を良く見てみればあちこちに死体が転がっており、手術台の上に乗せられた死体も含めて全て『青い花』とその蔦で覆われていた。
ありとあらゆる所を蔦が侵食し『青い花』が咲き乱れる様子は花畑のようにも見えた。
(これは……どうしてこんな場所に青い花が群生してるの? それにこの死体の山は……)
近くにあった死体の蔦や葉を退けてみると、その死体は警察の特殊部隊が着るようなボディアーマーを身に付けていた。
すぐ隣に転がっているのは看護師のようだが、少し見た限りでは性別が分からない程に干からびている。
それ以外にも、警察や病院の関係者ではない私服姿の死体がいくつも転がっている。
いや、むしろ私服姿の死体……恐らく一般人と思われる死体の方が多いように感じる。
そこら中に転がる死体と、その上に根を下ろす『青い花』。
それはまるで『青い花』の為の苗床として死体が集められているようだった。
(まさか、ライナが言ってた病院に避難した人達が見当たらなかったのは……)
操は背筋に寒気を感じた。
当初操は、避難所となっていた聖メアリー記念病院に避難した人々が、怪物に襲われ死亡した結果更に怪物が増えたのだと考えていた。
しかし、実際に病院内に踏み込んでみたところ、怪物には遭遇するが数はそれ程多くなかった。
その為避難民はどこに消えてしまったのかと思っていたのだが……。
(ここに集められていた? でもどうして? そもそも誰が?)
そもそもこの霊安室の地下2階は、院長を始めとした病院内の一部の人間が行う人身売買の取引に関わる場所だ。
しかし、この大部屋にあるのは手術台に乗っている、恐らく死体と思われる物だけだ。
操は部屋の壁際の、死体が少ない場所をショットガンを構えながら慎重に進んで行く。
すると部屋の奥、東側の端に簡素な机と何かの操作端末があるのが見えて来た。
近付いてみると端末以外にも書類が数枚そのままになっており、内容を確認した所、それは取引の記録だった。
(搬出記録……? 搬出した数と日時、入金記録……こっちはフィッチャーの部屋で見たパーソナルデータと似てるけど……)
この資料によれば、この場所は『搬出口』らしく、ここからどうにかして『商品』を運ぶらしい。
詳しい方法は書かれていないが、運んだ先で『葬儀屋』に引き渡すという事のようだ。
(でも、この資料の内容からすると……『商品』って……)
白衣の男、レナード・ニーマンスは、院長やフィッチャーが人身売買を行っていると言っていた。
しかし、この資料とこの部屋の状況を見るに、実際に取引されていたのは……。
(人間の死体……?)
確かに『人身』売買ではあるのだろう。
しかし、取引先である『葬儀屋』は、これ程大量の人間の死体を集めて一体何をしているのだろうか?
院長は『花』の研究を取引先である『葬儀屋』が行っていたと言っていた。
であれば、この死体は『花』の研究に必要な物という事だろうか?
(『青い花』は死体を苗床にして花を咲かせる……関係が無いとは思えない)
『青い花』とこの死体の山の関係は不明だが、『葬儀屋』が何らかの非人道的な研究の為に、院長達と結託していたのはもう間違いない。
(後はこっちの端末だけど……)
資料を一通り確認し終わった操は、机の上にある端末を調べてみる。
意外にも、キーボードを操作するとすぐに画面が表示された。
(水路管理……? 管理室にあったような、何かの管理用端末?)
キーボードを操作して画面の表示を変えて内容を確認してみると、どうやらこれが『搬出口』その物を制御している端末らしい。
(現在の状況は閉鎖中……開放は……エラーが出てる。 ゲートに異常が発生中?)
端末に表示された情報を要約すると、搬出口を閉鎖しているゲートに異常が発生している為ゲートの開放が出来ない、という事のようだ。
画面に表示されているゲートの位置に目を向けてみると……部屋の最奥に他にはない窪んだスペースがあった。
しかしその一帯は青い花の蔦で完全に埋め尽くされており、一見するとゲートのような物があるようには見えなかった。
しかし、端末から離れゲートがあるとされる場所へ近づいて確認してみると、蔦の隙間から確かにシャッターのような物が見えた。
恐らくこれが『搬出口』なのだろう。
(蔦をどうにかしないと開けられないかな……。 ゲートの異常って多分これだよね?)
シャッターを覆っている蔦の一部を引っ張ってみる。
しかし、思った以上にガッチリと蔦が這っているらしく、現在の操の力でも一部を引きちぎる事が出来ただけだった。
(これは燃やすか何かしないと無理かな……)
全てとは言わずとも、搬出ゲート周辺の蔦だけでも焼き払った方が早いかもしれない。
しかし、大部屋全体が蔦で覆われている以上、ゲート周辺に火を放てば全体に燃え広がってしまうだろう。
どうにか穏便に蔦を除去出来ないか、と操は頭を悩ませる。
しかしその時。
「……!?」
室内に突然轟音が鳴り響いた。
音の出所は操の背後、部屋の中心辺り。
慌てて振り返るがそこには何も無い。
だが良く見ると、通気口のカバーと思われる金属板が床に落下しており、天井にぽっかりと通気口が口を開けている。
瞬間、操の背筋に緊張が走る。
先程、同じような光景を目撃したばかりだからだ。
そして、そんな操の予感に違わず、天井の通気口内から何かが動く音が響いて来た。
音は段々と近づいて来ており、やがて聞こえて欲しくない『声』も聞こえて来る。
「あ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛…………・」
人間の声に金属音のような甲高い音が混じったその唸り声に操は嫌と言うほど聞き覚えがあった。
ぬるり、と通気口から触手がまず見え、続いて『顔』が出て来る。
そして更に、少し引っ掛かったような動作をしてから異形の怪物が通気口から引っ張り出したのは、肥大化した右腕だった。
その腕は全体を植物質の瘤に覆われ、瘤の先端から鋭利かつ長大な一本の棘が生えた奇怪な形状をしていた。
それは腕というよりは、レイピアや馬上槍と言った方がしっくり来るような外見だ。
異形の怪物は槍状の右腕と触手状の左腕を床にぶら下げたかと思うと、そのまま床に向けてべちゃり、と落下した。
「ひっ……」
しかし、そんな異形の怪物の間抜けとすら言える行動を見た操は思わず小さく悲鳴を上げた。
何故なら、露わになった怪物の下半身があまりにも理解を超えた形状をしていたからだ。
それはもはや自然界に存在するどんな生物とも異なる形をしていた。
一番近い物を敢えて挙げるとすれば、『蜘蛛』が近いだろうか?
しかし、それは何処まで行っても「一番近い物」でしかない。
何せ蜘蛛の節足に当たる部分が全て人間の腕で構成されているのだから。
目の前の異形の怪物の全体像を見たままに表現するなら、「青い花の蔦と人間の死体が絡み合って出来た巨大な肉塊から人間の上半身と無数の腕が生えている物体」となるだろう。
神話の中に登場する蜘蛛の怪物であるアラクネ―が形状としては似ているかもしれない。
しかし、この怪物はどう考えても神話の中の怪物を遥かに超える気味の悪い姿をしていた。
下半身の肉塊から生えた10本以上の腕……もしくは足がもぞもぞと蠢いて床に倒れた怪物が身を起こす。
よく見れば、肉塊部分には人間の頭部と思われる部位も巻き込まれているようで時折ピクピクと震えている。
見ているだけで精神的ダメージを受けそうな悍ましい姿に操は戦慄し、固まってしまう。
そして、そんな操を視認したのか、異形の怪物は辛うじてクロフォード医師の姿を保った上半身を操に向けると、咆哮を上げながら突進して来た。
「け゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!!!!!!」
「くぅっ!!?」
蜘蛛の節足のように下半身の腕を超高速で動かし、猛烈な速度で突進して来た異形の怪物を、操は横に飛んでギリギリで躱す。
怪物はそのまま進路上にあった死体の乗った台を跳ね飛ばしながら、一瞬前まで操がいた場所を通り過ぎ、ゲートに激突した。
バランスを崩しそうになりつつ回避行動を取った操だが、床に手を突いて立ち上がろうとした時、背中に悪寒を感じた。
振り返る余裕も無くすぐさま再び身を屈めると、操の頭上を横薙ぎに振るわれた怪物の触手が、重い風切り音と共に通過して行く。
振るわれた触手はそのまま周囲の死体や手術台を纏めて薙ぎ払い、けたたましい騒音を立てて吹き飛ばされた物が辺りに落下した。
鞭の様に振るわれた触手を手元に手繰り寄せつつ、異形の怪物は体の向きを再び操へ向ける。
そして、舌なめずりをする様に花弁のような口を開き、内部から太い蔦の触手を覗かせた。
「あえええああ……」
「…………っ」
事ここに至ってはもう逃げる事は出来ない。
先程この怪物が弾き飛ばした手術台が折り重なって入口の扉前に積み重なってしまっている。
生き延びる為には目の前の異形を倒すしかない。
覚悟を決めた操は手にしたショットガンを構え、震える体に力を籠める。
そんな操を目にし、異形の怪物は興奮したように体を揺らし始めた。
「お゛え゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!!」
そして、狩りの獲物を見つけた喜びを表現するかのように再び咆哮を上げると、目の前の操に襲い掛かった。




