夜
イタリアの夜景は美しい。
家々が立ち並び、窓から漏れる温かい光が街を包み込む。しかし、そんな美しい景観とは裏腹に物騒なことも多い時間である。
バンッッッッ!!!!
時折、銃声が鳴り響く。これ自体珍しいことではない。街中では子どもがドラッグに手を出したり、借金を抱え住処がない者など、発展した都市ゆえにこうした者たちも現れる。
そんな街を守っているのはなんだろうか。
政治家、警察、資産家…まぁ、全て正解だ。だか、また違う正解もある。
ギャングだ。
彼らは街を分けて縄張りとしている。その地域の治安を守るのが彼らの仕事だ。表は行政。裏は反社。
なんとも矛盾が生まれるものだろう。
しかし、イタリアギャングの中の大半が所属する組織がある。
——ナイトウォーカー——
イタリア一のギャング組織。夜にのみボスから命令が下され、部下たちも夜に動く。夜行性のギャング。
組織の人間のほとんどは違う職を持ち、昼間はそちらで働く。家庭を持つ者もいる。
そんな大規模な組織を抱えるボスは一体誰なのか…
そんなことを知るチンピラはいない。いや、知ろうとしないのだ。ボスの素顔に近づこうとする命知らずは名の通り、命はない。
ボスの噂は多々ある。
学生、女好き、ギャンブラー、政治家…などなど
その中で有名なのはタバコ好きだろうか。
これは噂ではなく実話なのだが、とある部下が眠りにつこうとしたらボスから命令が入った。タバコ2カートンのおつかいだった。その一週間後には違う部下が、そのまた一週間後には違う部下が…
コレ以来、ボスはタバコ好きだと噂され、ミスをした部下や新人はボスにタバコ2カートンを献上品として贈るらしい。
もうお分かりいただけただろう。
そのボスこそ、スザンだ。
「♪〜」
現に彼は自由気ままな生活をしている。
「あのときは夜で買いに行くの面倒くさかったから」
月明かりに照らされ、部屋の床には彼の気だるそうな影が映る。
さて、今宵はどんな仕事があるのだろうか—




