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灰と花、届かない場所で  作者: LEON
第五章 崩壊
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「囚われて」

一週間後、再びあの黒い車が現れた。


今度は、明確な目的を持っていた。


「――今度は、お前に用がある」


家に押し入ってきた男たちの言葉に、嫌な予感が確信に変わった。


「――ゆずには手を出すな!」


叫びながら応戦するが、既に消耗しきった体では、以前のような動きはできなかった。


数人がかりで組み伏せられ、後ろ手に縛り上げられる。


「――咲亞!」


ゆずの悲鳴が聞こえたが、今度は彼女に手を出す様子はなかった。ただ、俺だけを引きずるように連れ出そうとしている。


「――お前らの組長を殺した落とし前、じっくりつけてもらうからな」


耳元でそう囁かれ、頭に袋を被せられた。視界を奪われたまま、車に押し込まれる。


「――咲亞ッ! 咲亞ぁッ!」


遠ざかっていくゆずの叫び声を、俺はただ、聞いていることしかできなかった。


連れて行かれた先は、山奥の廃屋だった。


手足を縛られ、薄暗い部屋に転がされたまま、何日が経ったのか、正確には分からなかった。時折与えられる水と、殴られる痛みだけが、時間の感覚を教えてくれた。


「――お前をどう料理してやるか、今、上の方で相談中でな」


見張りの男が、退屈しのぎのようにそう言った。


「もう、殺されても構わねえよ」


半ば本気でそう答えると、男は面白そうに笑った。


「そう簡単に殺しゃしねえよ。お前には、まだ利用価値があるからな」


その言葉の意味を、深く考える気力もなかった。ただ、一人残してきたゆずのことだけが、頭から離れなかった。


無事でいるだろうか。あの後、一人でどうしているのだろうか。


答えの出ない問いを繰り返しながら、俺はただ、冷たい床の上で、時間が過ぎるのを待ち続けるしかなかった。

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