鬼に金棒、異世界に現代武器
村を抜けると、潮の匂いが一気に強くなった
波の音
砕ける白波
夕陽に照らされた海岸には、嵐の爪痕が色濃く残っている
流木、壊れた木箱。、見たこともない魚の死骸。
そして――
「……あった」
レイが立ち止まる。
砂浜に半分埋もれるようにして、黒い物体が転がっていた。
部下の一人が駆け寄る。
「准尉、これ……!」
砂を払い除ける。
現れたのは、折り畳み式ストックを備えた小銃だった。
「89式……!」
隊員の声が震える。
レイも目を見開いた。
「うわ、あったね……!」
海水で濡れてはいる
だが、見慣れた海上自衛隊の制式小銃
89式5.56mm小銃
間違いなく、空母から流れ着いた物だった
レイはすぐに銃を持ち上げ、状態を確認する
「マガジンあり。……泥入ってるな」
「分解清掃すれば使えるかもしれません」
「かもじゃなくて使うの。今この世界、銃とか絶対チートだから」
レイの目が輝いていた。
「ゲーム序盤で軍用装備拾えるとか裏技ルートすぎるでしょ……!」
さらに少し離れた場所から声が上がる。
「こっちにもあります!」
一同が駆け寄る。
そこには防水ケースが流れ着いていた。
レイがロックを外す。
中には――
「うわっ」
9mm拳銃。
予備マガジン。
そして大量の弾薬。
「神箱じゃん」
「准尉、言い方」
「いやでもこれ完全にイベント報酬でしょ!」
レイは興奮を隠せなかった。さらに探索を進める。
すると今度は、波打ち際に巨大なケースが引っかかっていた。
部下たち総出で引きずり出す
「重っ……!」
「開けます!」
ロックを叩き壊し、蓋を開く。
中に入っていたのは――
「ミニミ……!」
隊員の一人が息を呑む。
5.56mm機関銃。
予備バレルまで入っている。
「ちょ、待って待って」
レイは完全にテンションが壊れていた。
「この世界の難易度バランス崩れない!? 序盤装備じゃないってこれ!」
「准尉、声大きいです!」
「だって見て!? 現代兵器だよ!? 樹人とかいう木人間に対して5.56ミリ弾ぶち込めるんだよ!?」
部下たちは苦笑しながらも、どこか安心した顔をしていた。
ようやく、自分たちの世界の物を取り戻せたからだ。
その時だった
レイがふと、少し離れた岩場を見る。
「……あれ」
岩陰に、もう一つケースが引っかかっている
だがそれは、他より明らかに大きかった
「まさか……」
レイは駆け出す。
海水を蹴り上げながらケースへ飛びつき、乱暴に開け放った。
そして。
「っしゃあああああ!!」
海岸に、レイの絶叫が響いた
「准尉!?」
「裏技武器きたぁぁぁぁ!!」
ケースの中には
対物ライフルが入っていた。




