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女自衛官が異世界裏技攻略!!  作者: 小説書こう


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4/12

RPGの村探索って大事だよね!

長老のいる建物を離れると、夕方の柔らかな光が村全体を鮮やかな橙色に染め上げていた。

潮風が吹き抜け、魚の干物と土の混じった素朴な匂いが鼻腔をくすぐる。

レイたちはこれからの行動を話し合うように、ゆっくりと村の中を歩き始めた。

だが、進む先々で常に周囲からの視線を感じる。

粗末な家の窓から。共同の井戸端から。通り過ぎる村人たちから。

誰も彼もが、異様なボロボロの隊服を着た彼女たちを遠巻きに観察していた。


「……まるで、好奇の目に晒されて値踏みされてるみたいね。まったく」


レイがため息混じりに肩をすくめる。


「准尉! 言葉遣いに気をつけてくださいよ、もう!」


部下の一人が、彼女の物言いに慌てて注意を促した。

「あら」


レイは口元にニヤリと不敵な笑みを浮かべる。


「あんた、私のことちゃんと気遣ってくれてるんだ?」


「ッ!!」


不意を突かれた隊員の顔が、一瞬で真っ赤に染まる。


「そ、そういう意味じゃ……!」


「あははは!」


レイは可笑しそうに、お腹を抱えて笑った。

どのような極限状態に置かれようとも、彼女のマイペースな調子は普段と一ミリも変わらなかった。

その時だった。


「……ん?」


広場の端で、数人の子供たちが何かを囲んで騒いでいるのが目に入った。

歓声が上がり、妙な盛り上がりを見せている。

「すげー!」「また変わったぞ!」

好奇心を刺激されたレイは、ずいずいとそちらへ近づいていく。人だかりの中心には、十歳くらいの少年が立っていた。

茶色いボサボサ頭に、泥だらけの服。だが、その瞳だけは自信に満ちあふれている。


「よく見てろよ!」


少年は不敵に笑うと、自分の指先に一本の髪の毛を乗せた。


「……?」


次の瞬間、少年の身体が淡い光に包まれる。


「うおっ!?」


背後にいた部下たちが驚きの手声を上げた。

光が収まるとともに、少年の姿が劇的に変化していく。

輪郭が変わり、目が鋭くなり、髪が短くなる。そして数秒後――そこには、まったく見知らぬ中年男が立っていた。


「誰ぇ!?」


レイのツッコミが炸裂する。

周囲の子供たちは大爆笑だ。

「変なおっさんになった!」

「似てる似てる!」

「昨日、魚売ってた人だろそれ!」

少年。いや、中年男の姿に変貌したその人物は、得意げに胸を張った。


「どうだ!」


「いや誰って話だし! 普通に凄すぎて怖いわ!」


レイは笑いながら半歩後ずさる。


「なにこれ!? マジでどうなってんの?」

少年は元の姿に戻ると、ニヤリと鼻を鳴らした。


「“模倣術”だよ!」


「模倣術?」


「相手の髪とか血とか、身体の一部をちょっともらうと、その姿に変身できるんだ!」


「なにその便利すぎる隠密スキル」


レイは思わず本音を漏らした。

部下たちも興味津々な様子で少年を囲み込む。


「それって、誰でも使えるようになるのか?」


「練習すればね!」


「え、マジで?」


「ただ、長い時間は維持できないんだ。あと、自分より強い人ほど変身しにくい!」


完全にゲームの「スキル詳細説明」を読んでいるかのようだ。レイの瞳が一気に輝きを増す。


「またゲームっぽい神要素が増えた!!」


すると、少年はニヤリと笑ってレイを見上げた。


「姉ちゃん達、外の海から来たんだろ? だったら教えてやろうか? 模倣術!」


部下たちが色めき立つ。


「准尉! これ、めちゃくちゃ実戦で役立つのでは!?」


「潜入任務や敵地での偵察にうってつけですね……!」


「うん、普通にチート級の便利さでしょ……」


レイは腕を組みながら、邪悪な笑みを浮かべ始めた。


「待って待って。この模倣術、仮にボスの髪の毛さえ手に入れば、変装して戦闘をスルーできたりするわけ? 絶対そういう裏ルートあるじゃん!」


「しかも敵拠点に正面から堂々と侵入できるタイプのアビリティっぽいし……ヤバい、夢が広がりすぎるわぁ……」


完全にゲームを最速攻略しようとするプレイヤーの顔になっていた。


「あと“模倣術”ってちょっと長いから、今日からこれ“コピー”って呼ぼう」


「こぴー?」

  

「そう、コピー」


少年は意味を理解していない様子だったが、勢いに押されて頷いた。


「ちなみに、授業料とか取るわけ?」


「干し肉!」


「安いね!?」



数十分後。

レイたちは村の広場に直に座り込み、少年から直々に“コピー”の講義を受けていた。

「いい? まずは相手の“情報”を頭と身体に覚えさせるんだ」

少年は地面に枝で謎の魔方陣のような記号を書きながら説明する。


「髪でも血でもいいから、変身したい相手の“身体の一部”を媒介にする!」


「なるほどね……一種のDNA情報の同期みたいなものか」


「でぃーえぬえー?」


「なんでもない、続けて」

レイは腕試しにと、隣にいた部下の髪をブチッと一本引き抜いた。


「痛っ!? 何するんですか准尉!?」


「ごめんごめん、ちょっとした臨床実験だから。ほら、動かないで」


「扱いが軽いなぁ……」


「それを手のひらに乗せて、強く“変われ”って念じるんだ!」


「手順が雑だなぁ……」


半信半疑のまま、レイは少年の指示通りに全神経を集中させてみる。

すると。

レイの身体が一瞬だけ、眩い光を放った。


「お?」


光が霧散したとき、彼女の顔立ちと体型は劇的に変化していた。隣で呆然としている部下と、鏡写しのようにそっくりになっていたのだ。


「えっ!?」


「うわあああ! 准尉が私になってる!?」


「本当に瓜二つだ……!」


レイは自分の頬や輪郭をペタペタと触り、新感覚を確かめる。


「……すっご。これ、使い方次第でいくらでも悪用できるやつじゃない」


「准尉、自衛官としての倫理観を思い出してください!?」


少年は満足そうに鼻を鳴らした。


「だから言ったろ? 模倣術の成果だよ!」


そして少年は、ふと思い出したように腰の後ろの袋をごそごそと漁り始めた。


「そうだ、姉ちゃん。合格祝いにこれもやるよ」

差し出されたのは、一本の古びたなたと、革製のさやだった。

刃はあちこち欠けており、柄も黒ずんで擦り減っている。だが、その形状は驚くほど洗練されており、武器としての実用性をひしひしと感じさせた。

レイは受け取った瞬間、目を見開いた。


「……これ、マティーチェ(山刀)?」


「へえ、知ってんだ?」


「ジャングル戦の基本装備だからね、ちょっとだけ」

重量バランスを確かめるように、空間を軽く一閃する。

古いものの、驚くほどしっくりと手に馴染んだ。


「あら、ありがと。いいショタね」


「准尉、その褒め方、ちょっと怪しいですよ……」


レイは鉈をポンと肩に担ぎ、快活に笑った。


「いいのよ。今のところ私たちの装備は壊滅的だからね。こういう初期の支給品は本当にありがたいわ」


すると、部下の一人が名案を思いついたように声を上げた。


「准尉、私たちが流れ着いた浜辺をもう一度探索してみるのはどうでしょう? もしかしたら、空母から漂着した武器や物資が残っているかも

しれません」


その瞬間、レイの目が今日一番の輝きを放った。


「いいね!! イベント直後の『初期装備回収パート』って感じがしてきたわ!」


「また何でもゲームに換算してる……」


「しかも海岸沿いって、大体レアアイテムがポップする定番の場所じゃない! 隠しコンテナとか絶対に落ちてるって!」


レイは俄然やる気を取り戻し、大股で歩き出した。


「よーし、野郎ども! 海岸トレジャーハント作戦開始よ!」


部下たちは互いに顔を見合わせ、呆れつつも苦笑いを浮かべながら、頼もしい上官の背中を追いかけていくのだった。

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